王都の状況
時は少し遡り、場所はバードッグ王国の王都。
「どうして横井君を追い出したんですか!」
「どうしてもなにも、あの者は王に無礼を働いた犯罪者です。それにあなたも含め井上さん以外の方はなにもおっしゃらなかったではありませんか。」
これは田畑先生と城の国王補佐の話だ。
実際なぜかあのとき呼び止めようと出来なかったため反論できず、補佐に逃げられてしまった。
「なんであのとき呼び止めなかったのかしら・・・。」
あの後自分や生徒の行動に不信感をもった田畑はみんなに確認した。そもそも横井がみんなから好かれていなかったため、本心から呼び止めなかった者もいたが、何人かは田畑と同じ不信感をいだいた。
「それに井上さんまでいなくなってしまって。」
これも田畑にとっては問題なのだが、一人で追い出された横井くんを追いかけていったはずなので合流していれば横井くんの安全である確率が上がるという理由で少し安心している気持ちもある。
しかし生徒にとっては横井が追い出されたことより大問題で、
「俺はあかりを探しにいくんだぁー!」
と出ていこうとするものや、
「どうしよう、あかりちゃんがでていっちゃったよぉ~」
と塞ぎこむ者など。それに対して国王は、
「出ていってしまったのなら仕方ない。」
と言うだけだった。実は黒魔法が効かず問題視していたところで出ていったので都合が良かった、とは言わず。
(今は反抗するものもいるが、それも少しの間だ。)
勇者を便利な戦力として利用するための準備は着々とすすんでいた。
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「あかりはどこへ行ってしまったんだ。」
天城翔太だ。実は天城もあかりに恋心を寄せる者の一人だったのだが、あかりが横井を好きなことに気づいていなかった。二人のやり取りを見てもただの冗談なのだろうと思っていた。
「あかりは優しいからな。横井をひき止めようとしてくれているのだろう。」
あの後、天城も横井を引き止めにいこうとしたのだが、
「今城の兵士を向かわせていますので。」
といわれ、ならばと行くのをやめたのだった。実際は兵士など向かわせてはいない。
「また横井かよ、」
「あいつのせいであかりがどっかにいっちまったじゃねぇか。」
「次会ったらぶっ飛ばしてやる。」
桐山信吾
大山柊
佐賀仁司
いつも一緒にいて、悪いことばかりをやってるこの三人もあかりがいなくなったことでパニックになっていた。そしてさらに横井への怒りを強くしていた。
自分達がかなわないほど横井が強くなっているとは知らずに。
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