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町を出る

「あかり、少しやっておきたいことがあるんだが。」

「なに?」

「晩飯なんだが、俺が作ってみてもいいか?」

「え?孝介の手作り?」

「いや、そんなわけないだろ。《想像》スキルでだよ。ぶっつけ本番だと怖いからな。」


そう、まだ食べ物を作ったことはないのだ。作れること自体は知っていたのだが、まだやったことがなかった。


「じゃあやってみるか。」


今回は無難にハンバーグを作ってみる。想像で作るため、今まで食べたものに似てくるが大丈夫だろう。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


結果としてはとても良かった。家で作るようなハンバーグになったが、美味しいものになったので良かった。


「さて、じゃあそろそろ寝るかな。」

「うん!」


さて、まだ一つあかりに話さないといけないことがあるな。そう、あかりに俺の気持ちをちゃんと伝えるのだ。


俺はあかりがベットに向かった瞬間、後ろからあかりを抱きかかえてベットに飛び込んだ。


「きゃっ!こ、孝介!?どうしたの!」

「あかり、少し聞いてほしいことがある。」

「う、うん。」

「まず一つ聞きたいことがあるんだが、あかりは俺に付き合ってほしいって言ってたが、それは今もそうなのか?」

「え?も、もちろん!」

「そうか。すまないが、俺は自分があかりのことをどう思っているのかはわからない。」

「そ、そっか・・・。」

「だけど、俺はあかりと一緒にいるとたのしいんだ。だから、これが好きってことなんだと思うんだけど・・・。違うかな・・・。」

「それは私にもわからないなぁ。けど自分が好きなんだって言えれば好きなんじゃないかな。」

「そ、そうか。ならちゃんと言おう。俺はあかりが好きだ。」

「っ!う、うぅぅ・・・。」

「え?す、すまない。嫌だったか?」


泣かしてしまった・・・。ど、どうしよう。


「そ、そんなわげないじゃんよぉぉ。」

「そうか。良かった。じゃあ改めて、あかり、俺と付き合ってくれ。」

「こ、こちらこそ。私と付き合ってください。」

「あぁ!よろしく頼む。」

「う、うぅぅ・・・。うわぁぁぁん。よかったよぉぉ。」

「な、泣くなよ・・・。あかりは笑ってたほうが可愛いんだから。」


そして俺はあかりが泣き止むまで抱きしめた。途中であかりからも俺を抱きしめてきたので、そのまま布団をかぶって二人で眠りに着いた。おやすみのキスをしてから。


「おやすみ、あかり」

「うん。孝介、おやすみ。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ん、ふわぁぁ~。暖かいな。


「あかり~、起きてよ~」

「ん~ん、キスしたらおきる~」

「はいはい」


要望通りキスをした。今回はほっぺたではなくちゃんと唇に、


「おはよ~、孝介」

「あぁ。おはよう、あかり」


あー、可愛いなぁ。昨日付き合い始めたばっかりなのに、なんでだろ。


さすがにいつまでもこのままではダメなので、ベットから起き出した。


「今日はこの町を出るからな。冒険者ギルドぐらいには挨拶しておくか。」

「うん、わかった。」

「なにもなければ今日の夜ぐらいにはつくだろ。」


この距離を馬車で行くと早くても3日ほどかかるのだが、あかりの《超速》スキルのおかげだな。


冒険者ギルドに着くと、なにやら騒がしくなっていた。


「何かあったのかな?」

「聞いてみるか。」


「すいません、なにかあったので・・・!?だ、大丈夫か!」


そこには魔物にやられたとみられる重傷者がいた。


「あ、横井さんと井上さん!彼は数日前に出没した大型の魔物の討伐に向かったうちの一人なんですが、その魔物がSランクの《ビッグベア》だったみたいで、かろうじて彼だけは帰ってこれたのですが重症で大変なんです!」


Sランクとは魔物のランクを表していてF~Sまである。同じく冒険者にもF~Sまであり、同じランクが討伐適正になるわけだ。


それよりひどい怪我だな。どうにかできないものか。


「昨日作ったあのポーション使えないかな?」

「そうか。あれがあったな。」


おれはマジックバックから白色の淡く光るポーションを取り出した。


「すいません受付さん。これをあの人に飲ませてあげてくれませんか。」

「こ、これは?」

「自家製のポーションです。どうにかなるんじゃないかと。」

「わ、わかりました。」


受付係はすぐさまポーションを飲ませにいった。

あのポーションは体の欠損回復に特化したポーションだ。ついでに時間経過で徐々にHPも回復するようにしてある。


「リックさん。これはあの方がくださったポーションです。飲ませますので口を開けてください。」


あの冒険者はリックというのか。うまく治るといいのだが。


「んくっ、んくっ、んくっ、はぁ、はぁ」


するとリックの体が淡く輝き、欠損していたところが時間を戻すかのように回復した。


「うまくいったみたいだな。」

「な、なんなんですか、このポーションは・・・。」

「だから自家製だって。」

「そ、そうですか。と、とにかくありがとうございます。明日にでも改めてお礼をさせていただきます。」

「いや、俺たちは今日でここを出るんだ。ポーションの効果が試せただけで充分だよ。」


正直あのポーションもほとんど魔力を消費せずに作れたからな。


「ここを出られるのですか?で、でも近くにはまだビッグベアが・・・。いや、横井さんたちには弱い相手ですかね。」

「たぶんな。まぁ途中で出くわしたらぶっ飛ばしておくよ。」


最悪あかりのスキルで逃げられるしな。


「なんなんだあの二人・・・。」

「そういや昨日ギルド長と話してるの見たよ。」

「そ、そんなに強いのか。」


できればあまり詮索されたくないな。


「では俺たちは今からこの町を出ますので、ありがとうございました。」

「はい!いつでも来てくださいね。」

「わかりました。では」


そして、俺たちはペック村を後にした。


「さて、次はやっと獣人国だな。」

次話は王都のお話です

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