第26話
「はぁ!!」
「グガァァァ!!」
レヴィで切りかかった瞬間にハイオーガの雄叫びを直で受けてしまい、動きを止めてしまった。すると、チャンスとばかりに別のハイオーガが殴りかかってきた。
「くぅぅぅぅ、はぁっ!!」
ハイオーガの拳が当たる直前に硬直が解けたためギリギリレヴィで受けることができた。
レヴィで受け止めた拳は、思っていたよりも威力が高く重い一撃だった。しかし、腕の強化を強くすることで何とかはじくことができた。
「はぁ、はぁ。攻撃が重い。これは、受けるよりよけることを優先した方がいいな」
27階層へ上がって少し進むと、ハイオーガを発見した。1体なら大丈夫だろうと思って攻撃をしたらなんと後ろからほかにも2体現れて、3対1になってしまった。
「あの雄叫びが危険だから何とかしたいんだが、2体全員持っているのか?」
ソフィーに聞くとすぐに返事が返ってきた。
『いえ、鑑定で確認してみたところ、先ほど使った真ん中の個体のみが持っているようです』
「なら、あいつを最初に仕留めるべきか」
真ん中の個体しか持ってないことが分かったので、すぐに作戦を考えた。
「ニーア、足と腕の強化を強くしてくれ」
『了解したのじゃ』
全身に掛けてある身体強化を消さず、足と腕のみの強化をさらに強くした。
「レヴィ、新しく解放された能力を使ってくれ」
『了解や』
レベルが50を超えたことで開放されたレヴィの新しい能力である〈始炎〉を発動させ、レベル35で開放された〈炎操作〉でレヴィとニーアの刀身に始炎を纏わせた。
「ソフィー、周りの2体を火魔法で牽制しておいてくれ。ただし、迷宮ではあるがここは建物の中だから空気だけは気を付けておいてくれ」
『わかりました』
僕は中央のハイオーガに集中するため、唯一僕のスキルを使用できるソフィーに魔法での他2匹のハイオーガへの牽制をお願いした。
「俊足発動。それじゃあ、いくよ」
悠璃は俊足を発動させて、中央のハイオーガ目掛けて、駆け出した。
「グガァ!!」
「遅いよ。軽業、フッ!!」
ハイオーガが棍棒を振り下ろした瞬間に軽業を発動させてた。そして、ハイオークの棍棒をよけるようにジャンプした瞬間に足元から魔力を放出し天井付近まで飛び上がった。
「天歩、くらえ!!始炎双刃斬!!」
空中で体を捻って無理矢理体勢を整えると天歩を発動させ、逆さまの状態からオーガ目掛けて突っ込んでいく。
「グガァァ!!」
「まだまだ!!天歩、始炎双刃斬!!」
ハイオーガの右腕の棍棒が宙を舞った。
悠璃はハイオーガを切りつけた瞬間、体を蹴って一度離れると、再度空中で天歩を発動させて、痛みで悶えているハイオーガに再度斬撃を浴びせた。
「グガァァァ、ガ・・ガ・・・」
始炎によってさらに切れ味を増したニーアとレヴィに背中を深く切られて、内側から焼かれたことで、ハイオーガの体力は0になり音を立てて倒れた。
「あと2体もこのまま倒しきる!!」
それから、数分ほどで残り2体のハイオーガを倒した。
最初に雄叫びを使うハイオーガを討伐したことで対策するスキルもなくなり、そのあとの2体は簡単に討伐することができた。
「はぁ~、疲れた。最初の雄叫びをくらったときは死ぬかと思ったよ」
『あれは予想外でしたね。これからは戦う前に鑑定でステータスをチェックしておきます』
「うん、お願いするよ」
次からはちゃんと確認してから戦闘するようにしよう。今回の戦闘はいい教訓になった。
『主、うちの新しい能力はどうやった?』
「始炎と炎操作だよね。あれはすごかったよ。2人とも切れ味がすごく上がってたし、切りつけた瞬間に炎が強くなってハイオーガを内側から焼き殺しちゃったからね」
『主が切りつけた瞬間に、うちが炎操作で炎の強さをあげたからやんね』
「うん。ただ、魔力の消費量が大きいね。今はレヴィの他の能力で回復出来てはいるけど」
〈始炎〉はファイアボールと比べて、魔力の消費量が多い。ただ、その代わり威力は比べ物にならないほどに高い。まぁ、下級魔法と比べること自体がおかしいんだけどね。
「さてと。休憩したしそろそろ先へ進もう」
悠璃は28階層への階段を目指して探索を再開した。