第25話
翌日、目が覚めた後テントから出てみると、すでにガルフさんたちはすでに安全エリアから出た後だった。
「もうガルフさんたちは出発していたのか」
時計を確認すると現在9時を過ぎたころだった。
「うーんと、ちょっと体が痛い」
硬い地面に寝袋を敷いて寝ていたせいか、少し体が硬くなっており痛みを感じる。
『王宮や屋敷のベットで寝ているのと比べて、寝袋一枚だけなのですから痛くなっても仕方ないでしょう。冒険者や行商人は野営をすることが多いのでこれが普通ですね』
「一、二、三、四っと。それはわかっているんだけどね」
硬くなった体をほぐすために軽くストレッチをしながら、ソフィーに答える。
「そういえば、まだ2人は寝てるのか?」
『はい、熟睡していますね。起こしてきましょうか?』
「そうだね。朝食を食べ終わったらすぐに出発する予定だから、お願い」
『わかりました』
ソフィーは擬人化をすると、テントの中へ2人を起こしに行った。
「さて、僕も朝食を準備しておくかな」
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4人で朝食を食べ終わった後は、野営道具をインベントリに収納し、3人に元の姿に戻ってもらってから安全エリアを出発した。
「今日中に30階層まで行けるかな?」
『私の自動地図化で迷うことはありませんので、あとはマスターの魔力感知と気配察知次第ですね。魔物との戦闘を最低限にして進めばいけると思いますよ』
「そっか。でも、レベルを上げたいしせっかくだから宝箱もできるだけ回収したいんだよね」
少し考えてから、王宮に戻らないといけない帰還までまだ時間はあるということで、できるだけ宝箱を回収しながら進むことにした。
それから20分ほど進むと左右に分かれた場所があり左が行き止まりになっていた。そして、宝箱を発見した。
「鑑定眼っと。よし、どうやら罠はないようだね」
鑑定眼で、罠を確認しながら宝箱の元まで進んだ。
「宝箱を開けるときって何回経験しても、何が出るかわからないドキドキ感があるよね」
『一攫千金を狙って冒険者になる人も多いですからね。ダンジョンを探索する冒険者の方々は皆同じだと思いますよ』
『妾も毎回ワクワクしておるぞ』
『うちも同じやな』
ソフィーたちと話しながら、かぎが掛かっていないことを確認してゆっくりと開けた。
「へぇ~、今度は装備のようだね」
【名前】身代わりのブレスレット
【品質】高品質
【ランク】C
【分類】装飾品
【詳細】瀕死または即死級の攻撃を受けた時、この装備がダメージを肩代わりしてくれる。品質が高いため2回まで発動する。その後この装備は破壊される。
【効果】身代わり+
「おお、瀕死や即死級のダメージを肩代わりしてくれるのか。これ人数分ほしいなぁ」
『身代わり系のアイテムは王族や貴族はもちろんのこと、死亡率の高い冒険者にもすごく人気が高いアイテムです。今回はブレスレットでしたがほかにもピアスや人形などといったものもあります。また、この系統のアイテムは品質が上がるごとに身代わりにできる回数が増えたりします』
「そっか。今度探してみようかな。全員が持っていればすごく安心できるし」
この先、何が起こるかわからないから、今回のブレスレットは念のため僕が装備しておくことにした。
「よし、それじゃあ探索を再開しよう」
来た道を戻るとこの度は右の道を進むことにした。
それから戦闘を数回繰り返すこと1時間ほどで27階層への階段を見つけた。
「ここまでの戦闘で上がったのは1レベルだけかぁ。もう少し上がると思ったんだけどね」
『マスターのレベルに対してこの階層出てて来る魔物のレベルは低いですからね。能力値は断然上なのですが。そもそも、テイマー系の職業は、テイムした魔物に戦闘をさせて自身が後ろから支援するのが本来の戦闘スタイルです。そして、魔物が倒した経験値を得てレベルを上げるんです。間違っても前に出て戦うような職業じゃないんですよ』
「あはは。ま、まぁ、それはわかっているんだけどね。でもやっぱり、3人と契約しているし、戦えるだけの力があるんだ。それに、僕も男だから戦ってみんなにかっこいいところを見せたいんだよ」
『男という生き物は皆そうなのかの?』
『どうなんやろな』
『まぁ、私たちは全力でマスターをサポートするだけですよ』
「そうだね。いつも3人には助けられているからね。ありがとう」
僕は改めて3人に感謝の気持ちを伝えてから、27階層へ降りた。




