第23話
「ふぅー、やっと24階層までこれたね」
ダンジョンに潜り始めてから半日以上たつがやっと24階層の入り口に到着した。
『マスター、やっとなんて言いますが普通よりも攻略速度が速いということを自覚してください』
『普通は1日かけて1、2層を攻略するんやなかったっけ?』
『妾もそう聞いたような気がするぞ』
「そうかな?まぁ、ソフィーの自動地図化やニーアの身体強化、レヴィの体力、魔力吸収があるからそれほど疲れていないんだよね。魔力感知や気配察知のおかげで魔物もすぐに見つかるし、鑑定眼でなぜか罠も見分けることが出来るし。まぁ、もっとも僕一人だったら20階層のボスは絶対に倒せないからね」
最近レベルが上がってきたおかげで増えたとはいえ同レベル帯の人たちと比べて低い僕のステータスでは10階層ならまだしも20階層のボスはまず無理だ。オークを倒せるかどうかすら怪しい。もっとも今の僕には彼女たちがいるからそんなことは関係ないんだけど。
「それにしても、本当に便利だよね。このままのペースなら明日中には30階層まで行けるかな」
『そうですね。せっかくなのですから30階層の転移陣を使えるようにした方がいいでしょう。ボスは確かオーガ系だったはずですし、ジェネラル以上じゃなければハイオークより少し強いくらいですからね。最悪の場合は帰還石を使えば迷宮から出られます』
『まぁもっとも。21階層から再度攻略し直しになるがな』
『死ぬよりはええやろ』
「命大事にだからね。僕が死んじゃったら眷属の皆も巻き添えになっちゃうし。だったら部屋で大人しくしてろって話になるんだけどね」
『妾の身体強化を限界まで発動すればドラゴンでもない限り、1撃くらいなら耐えられるじゃろ。もっとも体がどうなるかは分からぬがな』
「はは、怖いこと言わないでよ。もし本当にドラゴンが出てきたらどうするのさ」
ドラゴン――――竜種は魔物の中でも頂点に位置する最強の種族だ、下位の竜種である飛竜のワイバーン当たりならB、Cランクの冒険者パーティで討伐できるが上位種の地竜や火竜なんかになるとAランク以上のパーティじゃないと討伐なんてできない。
ニーアの強化を使っても今の僕じゃワイバーンにすら手も足も出ないだろう。
「それじゃあ、進もうか・・・・お?宝箱発見」
24階層の入り口から少し進んだ場所に小部屋があり、その部屋の奥に宝箱が置いてあった。
「入り口付近に小部屋と宝箱なんて確実に罠だよね?」
『モンスターハウスの可能性が高いですね』
「モンスターハウスか。今の僕でどうにかできるかな?」
『モンスターハウスの罠は基本、その階層にいる魔物が出現しますので、レヴィでの攻撃をメインとして体力、魔力吸収を発動させながら戦えば問題ないかと。むしろレベルを上げるチャンスではないかと思います』
『うちの能力は、集団との長期戦に超便利やからね』
「よし、それじゃあ折角だから僕たちの糧になってもらおう」
そうと決まりすぐに小部屋へ入り込んだ。
次の瞬間小部屋の入り口が閉まり、大きな魔法陣から大量の魔物が現れた。
「よっし、それじゃいくよ」
ニーアの身体強化を発動し、レヴィを中心にスキルを駆使して、敵の殲滅を開始した。ちなみに、火属性魔法は使っていない。
それから15分ほどで敵の殲滅は完了した。
「ふぅー。レベルは1しか上がっていないかぁ。最近はレベルの上りが悪くなってきたな」
『それはまぁ、普通レベル50を超える者のステータスであればここら辺の魔物は全く相手になりませんし経験値もそこまで多くないですからね」
「そうだよね。こればっかりはどうしようもない。ってことでさっそく宝箱を開けよう」
何が入っているかわからない宝箱を開けるときはすごくワクワクする。
「何が出るかな、何が出るかな?お、おお!?ってまたポーションか。一応鑑定眼」
【名称】最上級回復薬
【品質】最高品質
【詳細】部位欠損、呪いは無理だが、殆どの傷や状態異常は治すことが出来る。
品質が高くなるほど効果が上がる。
「はぁ、また最上級回復薬なのか。これで7本目だよ」
『いやいや、あのですねマスター。普通最上級回復薬なんてもっと下の階層へ行かないとほぼ出ませんよ。出るとしても下級回復薬や良くて上級回復薬の品質普通が出ればいいほうです。それをこうも連続で引き当てるっていうのは、はっきり言っておかしいです。それに1つ金貨数枚はしますよ』
「そうなのかなぁ?そういえば下級回復薬って引き当てたことなかったな。まぁ、いいや。それよりも探索を再開しようか」
回復薬をインベントリにしまって、小部屋を出ると察知系のスキルを発動して次の魔物を探し始めた。




