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第20話

今日より更新を再開します。

「さてさて、今日は何をしようかなぁ」


『ここ最近ずっと錬金術ばかりでしたからね』

『たまには違うことをせなあかんでぇ』

『そうじゃぞ、主様。久しぶりに冒険者として活動するのがいいんじゃないかのう』


「そういえば、そうだね。うん。今日は久しぶりに冒険者として活動しようかな」


 ここ最近はずっと、錬金術スキルのレベル上げのために、週一回訓練に参加するくらいで、あとは王城の借りている部屋か、屋敷のどちらかにこもっていた。そのおかげで錬金術スキルのレベルは結構上がったが、僕自身のレベル上げが止まっていた。


 僕はただでさえ他の人たちよりもステータスが低いし成長率も悪いからね。少しでも多くのレベルを上げてかないと、何も守れない。


『でしたら、迷宮攻略を目指してみてはどうでしょうか?』


「迷宮攻略・・・ダンジョンを攻略するってことだよね?」


『はい、ダンジョンだと地上と違って魔物が居なくなることはないですし、宝箱などからお宝を手に入れることもできます。それと、ダンジョンを攻略すると。まだ攻略されていないダンジョンに限られますが、攻略報酬がもらえます』


「へぇ、攻略報酬って何がもらえるの?」


『ダンジョンの規模にもよりますが、特別なスキルだったり、国宝級のアイテムや装備など手に入ります』


「なるほど・・・。確かにダンジョンに潜る冒険者たちが減らないわけだよ」


 国宝級のアイテムはどんなものでも最低で大金貨数枚以上になる。中には白金貨や最上位の黒金貨にまでなったものも過去にあったらしい。


『それでどうするんや?』

『妾達は、主様に従うのじゃ』


「ダンジョン攻略かぁ」


 実のところ、ダンジョンの攻略をしてみたいとは思っていた。だって、ダンジョン攻略っていたら、やっぱり異世界物の定番じゃないか。男のロマンとして、ラノベが好きな日本人としてはぜひともダンジョン攻略をしたい。


「よし、今日はダンジョンに行くことによ・・・」


 

前方からどこかで聞いたことあるような声が聞こえてきた。


(うーん、この声って・・・・)


『第一王女のリリーナさんと専属メイドのミザリーさんですね』

『この前主様がオークたちから助けた者たちじゃな』


 リリアーナさんか。そういえば、この前は急いでたし名乗っただけだったんだよね。

 まぁ、僕のことは覚えてないんじゃないかな。そもそも、髪と目の色変えてたからね。

 人間、髪や目の色が変わるだけでがらりと印象が変わるから。


『ククク、さて、どうじゃろうな。女というも生き物は、思っている以上に鋭いからのう。特に・・・いや、なんでもないのう』


 何か言いかけたみたいだけど、途中でやめたってことは気にする必要はないってことだよね。

 まぁ、何はともあれリリアーナさんが覚えている覚えていないにかかわらず、頭を下げるだけでもしておいた方がいいよね。相手は王女様なんだし。


 ♦


「はぁ~」

「リリアーナ様、最近ため息が多いですよ」

「しかないですわ。なかなか見つからないんですもの」


 私は先日のオークに襲われたときのことを思い出してはため息をついてしまいます。


 護衛の騎士たちが倒され、このままではオークたちに連れ去られミザリー共々苗床にされるはずだった。しかし、あの方は颯爽と駆け付けて周りにいたオークたちをすべて倒し私たちを助けてくれたのです。

 作り物の様に整った中性的な顔立ちの美少年。私とそんなに変わらないだろう年でハイオーク数体を倒してしまう強さ。お姫様(自身も王女である)の危機に颯爽と駆けつけて敵を倒し、お姫様を救い出す姿はまるで物語の王子様のようでした。そしてお礼をしたいと申したときに言われた言葉で私の心はあの方に奪われてしまったのです。


「はぁ~、もう一度お会いしたいですわ・・・」


 リリアーナ様の心をここまで奪ってしまうとは・・・。

 まぁ、実のところ私自身もリリアーナ様と同じように心ときめいてしまったのですが、この気持ちは一生心の奥にしまっておくのがいいでしょう。

 と、そういえばリリアーナ様に報告しなければならないことがありましたね。


「そのことで実はいくつかの有益な情報を入手いたしました」

「本当ですの!?」

「はい、まずは冒険者ギルドからなのですが、先日ユーリ様のことについて聞きにギルドへ訪れました。その時に聞いたのですが、ユーリという名前の冒険者は数ヶ月前に登録したばかりの1人だけでそれ以外に同名の人はいないそうです。また、この街に滞在しているとのことです。ただ、これ以上の情報は個人情報になるためギルドの規約によって聞き出すことが出来ませんでした」

「なるほど。では、ユーリという名前の冒険者は現在1人しかおらず、まだこの街に滞在しているということですわね」

「はい」

「それは朗報ですわ!!ではさっそく街を探しに行きましょう!!」


 リリアーナ様が部屋を飛び出していこうとしたので、慌てて止めました。


「待ってください、リリアーナ様。もう一つ報告があるのですよ」

「そうでしたのね。まだこの街におられるということが分かり、つい焦ってしまいましたわ」


 リリアーナ様は、少し恥ずかしそうにしながら椅子に座られました。


「もう一つの情報なのですが、こちらは城のメイドたちの会話から得たものです」

「この城にいるメイドたちですか?」

「はい、先日フローラ様が召喚された勇者様方についてご存じでしょうか」

「ええ、まだ誰ともお会いしていませんが、そのことについてはフローラとお父様から聞いていますわ」

「実はここ最近メイドたちの間で、もしもお嫁さんにしてもらうならどの勇者様がいいかという話題で盛り上がっています」

「メイドたちはそのようなお話をしているのですね。ですが、それとユーリ様にどのような関係があるのでかわかりませんわね」

「今回召喚された勇者の方々は全員で400人なのですが、そのうちの190人が男性なのです。そして、現在メイドたちは主に3つの派閥に分かれている状態なのです。とはいえ少人数ですがほかにもいくつか派閥が出来ていますね」

「は、派閥ですか?」


 メイドたちは、争いでもするのでしょうか?


「リリアーナ様が心配するようなことは起きませんよ。ただのファンクラブだと思ってくだされば結構です」


 顔に出ていたのでしょうか?すぐにミザリーがファンクラブだと教えてくれました。


「まず1つ目は、職業:勇者の雨宮光輝様を支持する”爽やか系勇者コウキ様派”と呼ばれるものです」

「今回の召喚で勇者の職業だった方ですわね」

「2つ目は、職業:聖騎士の賀状明様を支持する”守ってほしい聖騎士アキラ様派”と呼ばれるものです」

「聖騎士は珍しいですわね」

「最後に3つ目なのですが、これがなんと、職業:眷属使いの浦之悠璃様を支持する”眷属にして!ユーリ様派”と呼ばれているのです」

「ユーリ?」

「いえ、メイドたちはユーリと言っていますが悠璃です」

「悠璃様・・・ですか」


 職業は最弱と言われている眷属使いですか。だとすると、1人でハイオークを討伐できるわけがありませんわね。名前が似ているだけなのでしょう。


 はぁ~、ユーリ様に速くお会いしたいですわ・・・


「リリアーナ様、落ち込まれているところ申し訳ないのですが、お話にはまだ続きがありますよ」

「続きですか?」

「はい、私がこの情報をリリアーナ間に話したのは、最も可能性が高いからだと思った理由があるからです。このアークライン王国は2本の神器を所有しています」

「聖剣である慈愛剣トゥリフェロニーアと魔剣である宿木剣レーヴァテインですわね。本物を見たことは無いのですが、この国に住む者ならだれでもしているほど有名ですわね」


 特に聖剣である慈愛剣は初代勇者様が使用していたこともあり、多くの英雄譚に登場しますわ。


「実は騎士団長たちが話しているのを聞いたのですが、今回召喚された勇者様方の内の1人が聖剣と魔剣の2本と同時に契約したそうなのです。いえ、正確に言えば協会が管理していた神器である叡智の教本ソフィア―と合わせて3つ同時に契約したそうです」

「そ、それは本当ですの!?」

「はい、しかもその契約者が勇者である光輝様ではなく、眷属使いの悠璃様だそうです」

「それはおかしくありませんの?慈愛剣トゥリフェロニーアは勇者の職業を持つ者としか契約できないのではなかったかしら?鑑定でもそのように出てたと聞いていますわ」

「そのことについては研究者たちもいろいろ調べているみたいですね。それでなのですが、眷属使いは他の職業と比べても以上にステータスが低い職業になります。しかし、神器と契約しているとなれば1人でハイオークを倒せる可能性が高いのです」

「なるほど、分かりましたわ。では、さっそく悠璃様のところへ直接聞きに行った方が速いですわね」


 そう言うと私は、ミザリーを連れて悠璃様の部屋を訪ねることにしました。

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