第18話
ハイオークの討伐依頼を受けてから2カ月がたった。
ほとんどが依頼を受けるか迷宮に潜っていいたため、僕の冒険者ランクはAになっており、レベルも45まで上がっている。とはいえ、最近はレベルが今までよりも上がりにくくなってきた。
そして今日、急遽大切な話があるということで異世界組のほとんどが謁見の間に集められていた。
「今から、国王様より大切なお話がございますのでしっかりとお聞きください」
「うむ、実は帝国に潜入させていた密偵の者たちが、帝国にて勇者召喚が行われたことを確認したのだ」
「それって、帝国も僕たちと同じような異世界人を異世界から召喚したということでしょうか?」
「うむ、密偵の情報によると、召喚された者たちは6人でやはり勇者の職業を持つものが一人いたようだ」
帝国――ここアークライン王国の西側にある国で長年王国と戦争をしている場所だ。現在は王国が勇者を召喚したことで休戦状態となっていた。
(ねぇ、今までは僕たちが召喚されたことで、帝国とは休戦状態だったんだよね?なら、向こうも勇者を召喚したってことは、休戦状態が終わり本格的に戦争が始まるんじゃない?)
『本来勇者召喚は一度行ったら数十年以上は次の勇者召喚を行うために期間を開けないといけないのです。そうしなければ、世界中に満ちているマナが枯渇を起こして世界が崩壊する危険があるんです』
(え!?それってやばくない!?)
衝撃に事実に背筋に冷たいものを感じた。
『はい、帝国が行ったことは相当ヤバイんですよ。そもそも勇者召喚はここアークライン王国にある女神様から直接与えられたものでしか行えないはずなんですよ。ですから女神様の想定外のことが起きたということです』
(じゃあ、この世界はこのまま崩壊してしまうってこと?)
今、一番大事なことをソフィーに聞いた。
『いえ、どうやら勇者召喚に途中で気がついた女神様の介入によって、最悪の事態は回避されたようです。ただ、いくら女神様でも召喚自体を止めることはできなかったようです』
ソフィーの話にほっとした。
この世界には何柱もの女神様がいるため、どの女神様かわからないけど、心から感謝の気持ちを伝えたいと思う。
(ねぇソフィー。帝国はなぜ勇者召喚を行ったんだと思う?王国に協力して魔王の討伐って訳じゃないよね?)
『そうですね。多分戦争のため、王国に対抗するためじゃないかと思います。戦争に勇者一人を投入するだけで戦局は大きく傾きますからね』
(やっぱり、ソフィーもそう思うんだね)
『フローラは魔王討伐だけが目的だと思っているみたいじゃが、もしかしたらあの国王は主様達を魔王討伐のついでに戦争にも利用しようと考えておる可能性が高いのじゃ』
ソフィーとニーアの話しを聞いて国王様の話を聞いてる振りをしながら、考えてみる。
帝国との戦争中に、僕たちを勇者召喚によって呼び出した。もし仮に戦争を休戦させるのが目的だったとするなら、僕たちに関してはともかく戦略としては確かに有効だろう。実際に戦争は休戦状態になったわけだし。ただ、しかしこの国王が戦争をほぼ確実に勝てるであろう戦力が在るとしたら、本当に戦争には使わないといえるのだろうか?最近王城のメイドや執事とカップルになるうちの学校の学生が増えてきている。考えすぎかもしれないけど、この国に大切な人ができることで、この国から離れられないようにして、大切な人達を守るために戦争に参加させるという作戦なのかもしれない。
(うーん、色々考えてみたけどやっぱり情報がまだすくなすぎるよね)
考えても考えても結局のところ、情報が少なすぎるためどれも憶測の域をでない。
もう少し情報が集まってから考えるということにして、国王の話に集中することにした。