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第15話

屋敷に泊った翌日、今日は朝早くから王城に戻ってきている。


『主様や、今日はどうするんじゃ?』


「うーん、まぁ、ギルドでクエストでも受けてランクを上げようかな」


『マスター、まだ王都に戻ってきたばかりじゃないですか。もう少し休まれてはいかがですか?』


「そうだね。わかったよ、今日は簡単な依頼だけ受けることにするよ」


『結局、依頼は受けるんやね』


「あはは、まぁね。少しでも強くなりたいから」


 僕は、3人と話しながら通路を歩いている。3人は念話を使用しているため、周りからは僕が一人でしゃべっているように見えているんだろうなぁ。まぁ、もう慣れたんだけどね。とはいえ、この時間は使用人が通ることはほとんどない。それぞれが各自の持ち場で、朝食の準備など朝の仕事を行っているからだ。

 とはいえ、普通はこんな朝早くから王城に入ることなんてできないんだけどね。門が開くのは10時ころからで、それ以降じゃないと王城に入れてもらえないんだ。僕の場合は、門番の人と仲良くなったっていうのもあるんだけど、フローラとよく一緒にいるのが一番大きいかな。あとは、召喚された勇者の仲間っていうのもあるだろう。でもまぁ、それでもセキュリティ的にはどうかと思わないこともないんだけどね。


「ここら辺の道も、もう見慣れたね」


 自分の部屋の前に着いた僕は、いつものようにノック無しで部屋に入った。自分の部屋なのにいちいちノックするのもおかしいからね。


「一美、二夜、三津紀、今帰った・・・・よぉ?」

「ゆぅりしゃ~ん、ふふ・・・」


 バタン


「うーん、部屋を間違えちゃったのかな?今桃髪のお姫様らしき人影が見えた気がする」


 周りを見渡してみるが、通路に置いてある物はいつも見てるものと同じだった。


「うん、部屋は間違えていないようだね。なら、さっきのはきっと見間違いだったんだよ」


 僕は、もう一度扉を開けてみることにした。


 ガチャン


「ムフフ、お兄さまの匂いがする~、フフフ」

「だ、だめですよ~、ゆぅりさ~ん、そんなことしちゃだめですぅ・・・」


 僕のベットの上には、一美、二夜、三津紀を抱き枕にした鈴華たちが眠っていた。


「やっぱり見間違いじゃなかったのか・・・。それにしてもこれはいったいどういうことなんだ?」

「う、うーん。ふぁ~あ、よく寝たわ」


 那月が最初に目を覚ました。


「やあ、おはよう那月」

「あら、悠璃じゃない。おはよ、う・・・え?悠璃!?何でここにいるのよ!!」

「いや、なんでと言われましても、ここ僕の部屋だし。それより那月たちの方こそどうして僕の部屋にいるのさぁ?」


 僕にキレられても、困るんだけど。


「うーん。んーっ、あ、おはようございます、那月」

「お、おはよう、フローラ」

「おはよう、フローラ。寝間着がはだけて下着が見えているよ」

「ユーリさん、おはようございます・・・ッ!?キャァッ!!

「はぁ~」

「ムニャムニャ・・・ん?おはよう」

「おはよー」

「おふぁようごじゃいます・・・」


 フローラの叫び声で鈴華たちも目が覚めたようだ。


「おはよう、はぁ~、3人とも寝間着と下着がはだけて、見えちゃっているよ」


 3人にそう伝えると僕は耳を塞いだ。


「「え?キャァッ!?」」

「私と兄さんは兄妹だから気にしないし問題もない。だから、今日は一緒にお風呂入ろう。兄妹なら、やはり一緒に入るべき。昔みたいに」

「さらっと変な要求しないでよ。というか、兄妹だからって気にしないのはどうかと思うぞ。女の子なんだし。それと、一緒に風呂に入っていたのは小さい頃の話だろ。兄妹だからって、もう年ごろの男女なんだからそれはどうかと思うぞ」

「?私は兄さんの入浴を毎日覗いていた」

「なん、だと!?」


 鈴華はうっとりしているように頬を染め、手を当てながらさらに爆弾を落とした。


「それに、写真も撮ってあるよ?入浴シーンとか体をふいているシーンとか」


 そう言うと鈴華はどこからか写真を取り出した。


「あ、その写真なら私も持っているわ」


 なんと、那月までも写真を取り出したではないか。


「那月まで!?何でそんな写真を持っているんだよ!!てか、鈴華はもう隠す気とかないよね!?」

「フッ、日本での盗撮は犯罪。しかし、ここは異世界だから日本の法律は適用されない。ゆえに、盗撮だろうと、なんだろうと他者に迷惑を掛けなければ問題ない」

「いやいや、僕に迷惑が掛かっているよね!?」

「兄さんなら問題ない。なぜなら、私たちは兄妹なのだから!(キリッ)」

「いや、そんなかっこよく言われても・・・はぁ、ところで、那月はなんでそんなもの持っていたんだ?」

「鈴華にもらったからよ」

「やっぱり鈴華なのか、ハァ~、なんか疲れた。まぁ、この話はもういいとして、それよりもどうして僕の部屋で寝てたんだい?」

「それは・・・」


 詳しく聞くとどうやら、昨日の夜にみんなで鈴華の部屋に集まってお泊り会(同じ建物内に住んでいるけど)をしていたらしい。そこで、誰かが僕は外泊で部屋にいないということをしゃべったらしく、鈴華が僕の部屋に行こうと提案を出したらしい。そして、全員がそれに賛成し、僕の部屋にいたらしい。


「いやいや、誰か一人でも止めようとしなかったの?」

「「・・・・」」


 全員が無言で目を逸らした。


「さいですか・・・まぁ、僕の部屋に来ることになった経緯は分かった。しかし、それなら寝る前に鈴華の部屋に戻ればよかったじゃないか」

「それはそうなんですけどね・・・」


 そのあとも話を聞いたが、どうやら雪乃とフローラが、先に僕のベットの上で眠っちゃったらしく、運ぶのも大変だということで、そのまま僕の部屋で就寝、そして現在に至ったということらしい。


「「すみませんでした!!」」

「はぁ、まぁいいよ。でも、次からは気お付けてね」


 元々は鈴華が言い出したことみたいだし、あとでしっかりと言っておけばいいだろう。


「それじゃあ、みんな起きたことだし朝食を食べにいこか」

「「はい」」

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