表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/64

第11話 第一王女

『お見事です、マスター。オークジェネラル、ハイオーク1、オーク5体の死亡を確認しました。残りはハイオーク2体、オーク11体です』


「了解、先にハイオーク2体を先に仕留める!!」


 空中で体を捻り、再度天歩を発動させ、膝をばねのようにして衝撃を緩和した。


(クッ、あぁ、足が痛い。だけど、これくらいなら我慢できる)


 緩和したとはいえ少なくない衝撃による足の痛みを我慢して、天歩を連続で発動した。


(うーん、魔力の残量はもう、半分も残ってないね)


 天歩の発動には魔力を使用するため、ニーアの身体強化と合わせる天歩の使用回数によって数分しか持たないだろう。


『主、うちで斬れば、斬った対象の魔力を吸収できるで』


「そういえば、レヴィは体力吸収と魔力吸収を持っていたね」


 レヴィこと宿木剣レーヴァテインは焔滅剣レーヴァティーンと吸樹剣ミストルテインを合わせて鍛造しなおした剣だ。焔滅剣レーヴァティーンは火や炎を支配する魔剣に対して、吸樹剣ミストルテインは敵から体力などを奪い弱体化させ、自身を回復、強化する魔剣だ。

 宿木剣レーヴァテインは2種の魔剣が元になっているのだから当然、元となった2種の魔剣の能力を受け継いでいる。そこで、今回使うのが最近解放された魔力吸収の効果だ。

 これは、敵を宿木剣レーヴァテインで敵を斬りつけたとき、斬りつけた相手の魔力を奪い自分へと返還する能力だ。


「オークとハイオークはそこまで魔力は多くないけど、これならまだ戦える」


 鞘へと戻したレヴィを再度抜くと、両手で構えた。


「ふぅ~、フッ!!」


 一度深呼吸すると、そのままハイオークに向かって走り出した。


「ブゴォォォ!!」

「フッ、はぁぁぁぁ!!」


 ハイオークが振り下ろしてきた瞬間に加速して躱し、天歩を発動して飛んだ。ハイオークの顔の前まで飛び上がると首をめがけてレヴィを横に全力で振った。


「ブゴッ!!」

「次!!」


 2体目のハイオークも同じように、首を斬り飛ばした。


「やっぱりレヴィの切れ味はすさまじね。防御力が僕の筋力の約3倍はあるのに一撃で首を飛ばせるから」


 身体強化を使っていても、普通の剣だったら僕の筋力では首を飛ばせないんだよね。あとは刀というのが大きいと思う。


「ふぅ、あとはオーク11体だね。ニーア、強化を少し下げるよ」


 それから、オークはすぐに討伐し終わった。まぁ、オーク自体は討伐ランクの低い魔物だったから、当然なんだけど。

 討伐ランクはF~EXまである。この討伐ランクというのはギルドが調査し決めて、各国が承認することで決定する。

 大体は目安になるが、討伐ランクに対して同じランクの冒険者が4人以上のパーティで挑むことで討伐できる難易度とされている。まぁ、実際は目安だからソロで討伐出来る人たちもいるけどね。

 しかし、Sランク以上からは別だ。

 Sランクは街一つを滅ぼすことが出来ると言われている災害級

 SSランクは首都を滅ぼすことが出来ると言われている災禍級

 SSSランク国を亡ぼすことが出来ると言われている災厄級

 EXランクは世界を滅亡させることが出来ると言われている天災級

 Aランクも、村を単体で滅ぼすことが出来るため準災害級と言われている。

 まぁ、こんな感じに分かれている。あくまでも目安だけど。


 まぁ、それはいいとして、僕的には指揮官のジェネラルと、ハイオークがやられたときに、オークたちは逃げ出すかと思ったんだけど、最後まで攻撃を仕掛けてきたんだよね。


「あぁ、体中が痛い。王都へ戻ったらフローラに回復魔法をかけてもらおう。さてと」


 僕はフローラの姉であるリリーナ王女の方へと歩いて行った。


「アークライン王国第一王女のリリーナ王女殿下ですよね?お怪我はありませんか?」

「え、えぇ、そうですわね。貴方のおかげで私も侍女のミザリーも問題ないわ。ありがとう」

「リリーナ様の専属メイドをしているミザリーです。この度は、主を守ってください誠にありがとうございます」

「いえ、これくらい当然ですよ」


『最初は逃げようとしていましたけどね』


(あれは仕方ないじゃん。今回はたまたま、奇襲だったから勝てたけど、真正面から戦ったら確実に殺されてたよ絶対に)


『冗談ですよ。彼女達がいるときならいいですけど、マスター一人ではステータスが低いですからね。身体強化にも限度がありますし、逃げるというのが一番最良でした。マスターが死んでしまったら、眷属である彼女たちも死んでしましますから。まぁ、マスターは例えリリーナ王女じゃなかったとしても最終的には助けていたと思いますけどね』


(買い被りすぎだよ)


「それでは、僕は行きますね。こんなものしかありませんが、王都までもう少しですしお気をつけてください」


 僕はポーションを取り出すと生き残っていた騎士たちに渡してその場を去ろうとした。


「ま、待ってください。助けていただいたのにまだ何もお礼が出来ていませんわ!!」

「お礼なら既に感謝の言葉を貰いましたよ。僕はそれだけで十分ですからね」

「な、ならせめてお名前を教えてくださいませ」

「すみません、まだ名乗っていませんでしたね。僕は冒険者のユーリです」


(あ、しまった!!普通にユーリって名乗っちゃったよ。召喚された人たちの中に同名の人って僕以外いないけどまぁ、大丈夫だよね。ユーリと悠璃で少し発音が違うから。それに髪の色も変えてあるし)


「ユーリ様ですわね。またお会いできますでしょうか?」

「そうですね。またいつか会えますよ。それでは、行きますね。道中お気をつけください」


 そう言って僕は、痛む体に鞭を売って天歩で王都まで駆け抜けた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ