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プロローグ

今回は召喚されてからダンジョン攻略をしている間に裏で行われていたことについてです。

 ~?????~


「ご報告します。王国に潜ませていた諜報員から重大な情報が届きました」

「ほう、してその情報とはなんだ?」

「はい、諜報員からの情報によりますと、どうやらアークライン王国は勇者召喚を行い成功させたようです」

「なんだと!?」


 まさか王国が勇者召喚に手を出すとは・・・


「それは真か?」

「はい、王城に忍び込ませた者の1人が召喚するところを確認したようです。また、勇者として召喚された者たちは王城で生活しているため、使用人として忍び込ませた者たちはその姿を確認したそうです」

「なんということだ」


 余はあまりの報告に、眩暈がした。勇者召喚って呼び出されたものは皆、例外なく強い力を持っている。過去の記録によると、この世界の住人よりも成長速度が速く、一人1つは必ずギフトを所有しているという。その中でも勇者の職業を持つ者はそれ以上の成長速度と高いステータス、勇者専用のスキルなどを持っており、その強さはまさに一騎当千だ。他にも召喚された者たちはレア職業のものが多いという記録もある。それにアークライン王国は勇者しか使用することのできない神器の聖剣を王家が所持していたはず・・・


 ハッ!?

 

「まて、アークライン王国都だと!?よりにもよってあの国か勇者召喚を成功してしまったのか。あの国の王家は、慈愛の女神様から与えられた、勇者専用である神器の聖剣を王家の家宝として所持していたはずだ。記録によれば、普通よりも効果の高い身体強化などを行えるというではないか。そんなものが勇者にわたってしまったら、儂ら帝国に戦争での勝ち目はないぞ!!」


 勇者とは元々魔王を討伐するために人類に与えられたものだ。ただ、魔術を発動させるのには世界でも所有者が少ない希少なスキルが複数必要だったはずだ。それに、今の魔王は大人しく自国の統治をしていたはずだ。帝国が魔国とは正反対の位置にあるとしても、情報は入ってくるはずだ。しかし、魔族が現れたなどの情報は聞いていない。だとすると、確実に儂ら帝国との戦争のために召喚したのだろう。

 このままでは本当にまずいぞ。帝国の悲願である中央大陸統一が達成できなくなってしまう。


「それについてもう一つご報告があります」

「まだ何かあるのか?」


 余は王国に対してどうやって対抗するか考えようとしたが、もう一つ報告があるということで思考するのを中止した。


「その王家の神器ですが、所有しているのは勇者ではなく、一緒に召喚された別の少年です」

「なに?」


 勇者が2人もいたというのか。勇者は一人のはずではないのか?


「神器を持ってる少年ですが、職業は勇者ではなく超希少職の眷属使いです」

「眷属使いだと?あの最弱職のことか」

「はい、なぜかその眷属使いが勇者専用の神器を所持しているようです。そのため、勇者が所持しているのは、普通の聖剣です」


 聖剣自体が強力なのだが、神器ではなく普通のものであれば装備者の制限がない。いや、正確に言えば勇者ではないと持てない聖剣も存在する。制限のある聖剣は制限のない元と比べてやはり性能に差はある。それと使いこなすためには魔剣と同様で相応な実力が必要だ。実際に、勇者召喚によって異世界から召喚された勇者以外にもこの世界の勇者は存在する。ただやはり、異世界の勇者のほうがこの世界の勇者よりも数段強くなっている。


「神器を所持しているのが眷属使いなら問題ないだろう。所詮は眷属使いだ。あの職業では成長速度の遅さや戦闘力の低さ、それに眷属使いに掛かっている制約などによって神器を使いこなすことは不可能であろう」


 眷属使いという職業については殆どの情報が存在しない。理由は眷属使いを過去に数回というか2回しか発見できていないからだ。眷属使いの職業になった者は、成長の遅さと戦闘力の低さによって魔物と戦うことが出来ないためレベルを上げることが出来ない。また、誰かの協力によってレベルアップできたとしても殆どステータスが上がらないため、結局は弱いままなのだ。眷属使いの真骨頂であるジョブスキルの〈眷属化〉というものを使用できない。眷属化というスキルは自身の強さに依存するからだ。まぁ、初代勇者様が勇者の職業と同時に眷属使いでもあったと記されている文献も存在するのだがな。ただ、初代勇者様が召喚されたのは数千年前のことだから、詳しくはわかっていない。


「報告は以上か?」

「いえ、まだ朗報があります」

「朗報とな」

「はい、勇者召喚について詳しいこと分かりました」

「詳しいことだと?」

「はい、勇者召喚に必要なものがすべてわかったそうです」

「そ、それは真か!?」


 余はまさかの朗報に歓喜した。


「は、はい。報告者によりますと勇者召喚に必要なものは専用の魔法陣、大量の魔力、召喚魔法、空間魔法、時魔法の5つだそうです」

「大量の魔力は用意できるとしても、召喚魔法、空間魔法、時魔法、専用の魔法陣の用意は難しいぞ。特に専用の魔法陣は資料がなければ用意できぬぞ?」

「それについても、問題ありません。どうやら、忍び込んでいた者の一人が魔法陣の複写に成功したようです」

「お、おぉ!!この報告をしてきた者たちには別で報酬を用意しよう。して、王国はどうやって召喚魔法、空間魔法、時魔法の使い手たちを準備したんだ?専用の魔法陣は分るがこの3つはどれも所有者が少ない希少なスキルだぞ」


 召喚魔法、空間魔法、時魔法の3つは魔法の中で最も難しく使えるものがほとんどいない魔法スキルだ。我が帝国にはそれぞれ1人ずついるが、王国には1人もいなかったはずだぞ。


「それがですね。どうやら第二王女がギフト所有者らしく、しかも時空間魔法という時魔法と空間魔法の2つを合わせてさらに専用の魔法を使えるようにしたギフトらしいです。しかも召喚魔法のスキルまで所持しているようです。今回の召喚は第二王女と数十人の魔導師で行ったようです」

「第二王女というとフローラ王女のことか。確か第一王女と合わせて”可憐なる美姫姉妹”と呼ばれていたな。長男のアガルもフローラ王女を妻として娶りたいといっていたな。それにしても、なるほどな」


 フローラ王女1人で持っているなら、わざわざほかに探す必要はない。道理でそういう情報が流れていないわけだ。


「勇者召喚は帝国でも行えるということだな?」

「そうなります」

「だとすると、神器も欲しいな。その神器をもっている少年を我が国に引き込むか殺して奪うことは可能か?」

「恐らくは不可能かと思います」

「なぜだ?」

「報告によりますとパーティメンバーは眷属使いである例の少年以外は全員女性でそれぞれが精霊魔導師、賢者、剣豪、舞姫の職業でフローラ王女もこのパーティに入っています」

「伝説の職業が2人もいるのか。それにしても女性なら、適当に美形の男たちを与えればいいのではないか?」


 帝国の騎士団には美形が多いからな。彼らを与えれば一緒に引き込むと元可能ではないか?


「それも無理だと思います。どうやらパーティメンバーの女性全員が例の少年に惚れているみたいで、しかも諜報員として潜ませている女性全員が「あんなエルフを超える美少年見たことないわ」と頬を赤く染めて報告していたそうです」

「うーむ、なら殺して奪うのも無理なのか?神器を持っているとはいえ眷属使いだぞ。メンバーが離れているときにでも殺せないのか?」


 神器を持っているとはいえ所詮は眷属使いだ。などと思っていたが次の言葉で


「例の少年は聖剣以外にも、もう一つの王家の家宝である神器の魔剣と教会の所有していた神器の魔導書も所持しているようです」

「神器を3つも所持しているだと!?しかも教会の神器を持っているとは・・・。だから聖国の連中は慌てていたのか」


 ここ最近聖国のやつらが慌てていたが、どうやら神器が無くなったことで慌てていたようだ。


「仕方ない、今はほかっておくしかあるまい。報告は以上か?」

「はい」

「なら、下がってもよし。お前と今回の報告をしてきた者たちには後日追加で褒美を渡そう」

「ありがとうございます。それでは、引き続き情報収集を続けます」


 報告に来たものが部屋を出て行ったのを確認してから、余は勇者召喚の準備に取り掛かることにした。


「おい、爺や、宮廷魔導師たちに勇者召喚の準備に取り掛かるように指示をしろ。準備が完了し次第すぐに始める」

「かしこまりました」


 そう言って、、どこかからか現れた爺やはすぐに部屋から出て行った。


「神器を持つ少年については気になるが、これで王国との戦争も本格的に始められるぞ」

 

 それから数か月後に帝国にも勇者が召喚された。

次回からまた、主人公の視点に戻ります。

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