第25話 素材の換金
「う、うーん、ふわぁ~、よく寝た」
今日は自然と目が覚めた。
周りを見るとニーアたちはまだ眠っているようだ。
「毎回思うけど、神器というか魔道具なのに睡眠って必要なのかな?」
彼女たちは人化のスキルによって人型になっているが元は神器と呼ばれる、神が自ら創造したり手を加えた最高ランクの魔道具でる。神器には契約条件がありこれを満たさなければ使用することが出ない。ただし持つことはできる。そして、ソフィーたちの話によれば全ての神器は自我と意思を持っており、別名意志ある魔道具とも呼ばれている。
「今度詳しく聞いてみようかな。とても気になるし」
そう決めると僕は窓のほうまで歩いていきカーテンを開いた。外は既に明るく街の住民たちが忙しそうに動き回っている。
「おーい、3人とも起きる時間だよ」
僕は3人に声をかけるとすぐに服を寝間着から私服に着替えた。
コンコン
僕の着替えが終わると同時にノックが鳴った。
「悠璃さん起きてますか?」
「うん、起きてるよ。今開けるから少し待ってね」
「分かりました」
どうやらフローラが来たようだ。
「おはようございます、悠璃さん」
「うん、おはよう」
僕が扉を開けると、扉の前にフローラが立っていた。その後ろには鈴華、那月、颯、雪乃もいる。
「おはよう、悠璃」
「おはようございます、兄さん」
「悠璃君、おはよう」
「お、おはようございます、悠璃さん」
「うん、おはよう。今日はみんな揃ってどうしたの?」
みんな揃って僕の部屋に来たけどどうしたのかな?
「私たち、昨日でダンジョンの10階層まで攻略しちゃったでしょ。だから、他のパーティが終わるまでずっと自由時間になるんだけどその間の予定を決めようと思ってね」
「ああ、そういえば昨日は何も決めずに解散しちゃったからね」
僕たちは4番目らしいから、まだ攻略できてないパーティが30以上残っている。勇者パーティ以外の1組目が1パーティしかクリアできてないことを考えるとうーん、多分最低でも5日以上は自由時間があると思う。初心者ダンジョンと言われているから魔物自体は僕たち異世界人にはそこまで脅威ではないけど、フィールドがすごく広く迷路のようになってるから、それで時間がかかってるんじゃないかな?僕たちのパーティは1度も行き止まりに当たらなかったけど。だからその間をどうするかみんなで決めようってことらしい。
「なら、せっかくみんなが僕の部屋まで来たんだし、少し狭くなっちゃうけどいいかな?」
「「はい!!」」
みんなの了承がもらえたので僕の部屋で決めることにした。
「それじゃ、決めようか。みんなは何かしたいことある?」
「「買い物!!」」
「兄さんと既成事実」
見事に全員一致!!ではなくなぜか一人だけおかしなこと言ってなかった?
「なんか今、鈴華だけおかしなこと言わなかった?」
「兄さんの気のせい」
「うーん、そっかならいいや。みんな買い物行くならお金が必要だよね?なら、今日は皆で一緒に行動しようか。最初に冒険者ギルドに行って素材の買取をしてもらおう」
「そうね、せっかくだから換金しておきましょう」
「じゃあ、今日の予定は冒険者ギルドで素材を換金してから買い物ってことでいいかな?」
「「はい!!」」
問題ないということで今日は皆で行動することになった。
「それじゃあ、明日からの予定だけど、僕は少しやりたいことがあるんだ。だから、3日間は一人で行動するよ」
「「ええ~!!」」
「本当にごめんね」
みんながっかりしている。どうやら僕と街を回りたかったらしい。
「悠璃は1人で何をする予定なの?」
「ま、まさか兄さん、歓楽街に」
「行かないよ!!はぁ、錬金術について調べようと思ってるんだ。ソフィーの話によるとスキル〈錬金術〉はジョブスキルではなく普通のスキルらしいんだ。だから、習得方法を探そうと思ってね」
錬金術というスキルは、普通のスキルになるため何か習得の条件があるはずなんだ。現在でわかっているのは錬金術師の職業の者は最初から持っているということだけだ。ソフィーはまだ能力が解放されていないためスキルを調べられない。だから、調べて実践してみようと考えているんだ。まぁ、実のところ錬金術を持っている奴隷を買って眷属にすれば簡単に獲得できるんだけどね。ただ、錬金術師は貴重らしいから売られていない可能性が高いんだよね。
「そういうわけだから、本当にごめんね。ただ、それ以降なら空いているからね」
それから僕たちは3日後までの予定を決めて、朝食を食べてから冒険者ギルドに向かうことになった。
♦
さて、朝食の後すぐに宿を出たため昼前に冒険者ギルドに着くことが出来た。
ギルドの中に入ると冒険者の数は少なかった。多分みんなクエストに行っているんだろう。
受付を見てみると、この前僕たちの登録をしてくれた受付嬢のお姉さんがいたため僕たちはそこへ向かった。
「おはようございます、リザさん」
「あ、皆さん、おはようございます。今日は依頼を受けに来たのですか?」
リザさんは笑顔で挨拶を返してくれる。
「いえ、買取をお願いしたいのですがここでいいのでしょうか?」
「はい、ここに素材を出してください」
「分かりました」
僕は袋から出すふりをして時空間収納からオークの魔石を10個残してそれ以外すべての魔石を出した。
「え?」
次にオークの肉を一部残してすべて出した。ゴブリンとコボルトはとれる素材が魔石しかなく、スライムゼリーも入れ物がなかったため持ち帰ることが出来なかった。オークの肉は美味しいらしいし。
ちなみにオークは時空間収納の中で自動解体してくれた。鑑定したときに詳細に書いてなかったんだけど、オークの死体を収納したら条件を達成したみたいで自動解体が解放されたんだよね。この自動解体だけど、素材別に分けて解体してくれるんだ。ただ、素材にならない残った部分はどこかに消えてるんだよね。
「え、え?」
最後にハイオークの素材と鉱物の一部を取り出した。
「ええええ!?皆さんFFランクですよね!?この量は一体何なんですか!?」
「いや、まぁ、モンスターハウスのトラップに引っ掛かりまして」
「だ、大丈夫だったんですか!?」
「誰一人怪我していませんよ」
僕がモンスターハウスのトラップに引っ掛かったって言うとリザさんはすごく慌てて心配してくれた。うん、美人に心配してもらえると嬉しいよね。
ちなみにここでは宝石は出さない。買取もしてくれるみたいだけど今回は宝石専門店にもっていくことにした。
「以上です」
「わ、分かりました。少しお待ちください」
そう言ってリザさんは素材をもって奥の部屋へ入っていった。
それから、30分ほどで戻ってきた。
「こちらが今回の金額になります。金貨1枚、小金貨7枚、大銀貨4枚、銀貨8枚、大銅貨9枚、銅貨3枚で174万8千930ルダになります」
物価を見た感じだと1ルダ=約1円くらいだと思われる。まぁ、これはあくまで目安だけどね。
4日で174万とかヤバすぎでしょ。
「ありがとうございます」
僕はお礼を言った後、リゼさんの耳元で小声で言った。
「近いうちに依頼を受けようと思います。その時はよろしくお願いしますね」
「はい!!」
僕たちはお金を受け取って冒険者ギルドを出た。
「それじゃ、次は宝石店行こうか。宝石を換金したいからね」
僕たちは続けて宝石店を目指した。
次回の更新は明日になります




