第17話 初心者ダンジョン攻略4
遅くなってすみません。
新しい能力が解放されても効果が分からなければ意味がない。鑑定眼で確認してもいいんだけど、本人に聞いたほうが詳しくわかるかもしれないからね。
『まず、この能力を1度発動するとマスターの魂との強い永続的な繫がりができます。簡単に言うとマスターの中にもう一つの人格ができるようなものだと思ってください。この繋がりはマスターが死なない限り永遠に続きます。これから解放されていく私の能力は、〈支援する叡智の案内人〉による魂の繋がりが必要になるので、この能力が最初に解放されるようになっているのです』
「なるほどね。でもさ、契約だけじゃダメだったの?」
『はい、確かに契約も魂で繋がりますが、これはあくまでも所有者であることを証明するためのものでそこまで強いものではないんです。だから、ニーアやレヴィが眷属化したいというのはより繋がりを強くしたいということなんですよ。眷属化は契約よりも繋がりが強く、眷属は主の魂の系譜に連なるものとなるのです。まぁ、はっきり言いますと、マスターとより強く親密になりたいということですね。私もですけど、自分はマスターの物であるという確かな証が欲しいのです』
「女の子にそんな風に言われるとめちゃくちゃうれしいけど照れるね。ただ、最後のほうは人化した美女の状態で言ってもらいたかったなぁ」
『なるほど、確かに本の姿よりも人間の女性の姿で言われたほうが男性としてはうれしいのですね』
つい本音が漏れてしまった。
「ま、まぁそれはいいとして、ほかに効果はないの?」
『ありますよ。ただ、他の能力はこの繋がりがないと使えないので最初に説明しました』
「なるほど、理解したよ」
『では、続きを説明させていただきます。まず1つ目は、先ほどマスターに行ったように鑑定やステータス画面などの仕様変更です。マスターの記憶からマスターが最も分かりやすいように変更しました。』
なるほど、ゲーム画面を参考にしていたんだね。これなら、前のステータス表示よりわかりやすい。
『2つ目は記憶の共有です。まぁ、共有といってもマスターの記憶だけを私と共有するのですが。ああ、大丈夫ですよ、マスターの恥ずかしいあんな記憶やこんな記憶などは誰にも言いませんので』
「それ、全然安心できないよね!?見ないっていう選択肢はないの!?」
『ありません!』
「さいですか・・・」
これは神器契約の代償として受け入れるしかないか。
『えー、話を戻しますが3つ目は処理能力の補助です。スキルや魔法は発動するの脳内で演算処理を行っているのですが、これの代行や補助を行うことが出来ます。具体的にはスキル発動の速度を向上させたり私自が補助することで脳の処理限界を大幅に向上させることが出来ます』
「それはまた、すごい能力だね」
『そうですね。あとは、これから解放されていくスキルと合わせることで絶大な効果を発揮します。これは解放されてからのお楽しみですね』
「なるほど、神器と呼ばれるだけあって能力がチートだね。でも、この能力でどうやって那月たちに見せるの?」
『鑑定時に現れる画面の仕様を一時的に変更して他者にも見えるようにします』
「なるほど、分かった。お願いするよ」
『任せてください』
僕がお願いするとすぐに実行してくれた。
「みんな、こっちに来てこれを見てほしい」
僕は全員に一美、二夜、三津紀のステータスを見せた。
「ウソ?!本当に3匹ともギフトを持っているわ」
「それも、すべて珍しいものですよ」
「本当に浦之君は運がいいんですね」
みんな相当驚いているようだ、それにこのパーティ全員がギフト持ちという普通ではありえない集団になっているんだよね。
「まぁ、そういうわけだからこの子たちを僕の使い魔にしたんだ。ついでに今から眷属化しようと思っているんだ」
みんなにそう言って僕は3匹の前に来た。
3匹とも僕が前に来るとその場で止まって体を揺らしている。
テイムしてから3匹の感情が何となくわかるようになった。
「今から眷属化をしようと思っているんだけど、僕の眷属になってくれるかい?」
ぽよんぽよん
ぽよぽよ
3匹とも”いいよ”と言っているように跳ねたり体を揺らしたりしている。
「ありがとう、じゃあ始めるよ」
僕は3匹同時に眷属化をさせることが出来ないため1匹ずつ行った。
最初は一美を眷属化した。
〔個体名:一美の眷属化を確認しました。獲得するスキルを選んでください〕
「やっぱり〈亜空間庫〉だよね。荷物持ったりするのが楽になるからね」
【名称】亜空間庫
【スキル種別】固有技能
【分類】空間系
【タイプ】アクティブ
【詳細】体内に異空間を作り出し、〈捕食〉によって喰らったものを消化せず異空間に収納することが出来る。ただし、生きた生物を収納することはできない。収納可能容量は魔力量に依存し、魔力1につき10キログーラ収納することが出来る
「ただ、僕は捕食のスキルを持っていないけど大丈夫かな?」
そんな心配をしながら僕は〈亜空間庫〉を選択した。
〔亜空間庫を獲得しましたが、ギフトの特性により使用することが出来ません。称号*****勇者の効果を発動します〕
「ん?」
〔保有スキルに同系統のものを確認しました。統廃合のレベルを一時的に上昇させ強制発動します。亜空間庫を時空間魔法に統合・派生し、新たなギフトを作成しました。ギフト〈時空間収納を獲得しました〕
「ど、どうしたんですか?」
「あぁうん、一美を眷属にして獲得するギフトに亜空間庫を選択したんだけどギフトの特性で僕は使用できないらしいんだ」
「それでは一つ無駄にしてしまったってことですか?」
「いや、それが称号勇者の効果で統廃合が強制発動して、時空間魔法と統合・派生を行い新しいギフトを創ったみたいなんだよね。統廃合には派生なんて能力なかったはずなんだけど・・・」
ダンジョンに入る前に確認したときは派生なんて効果はなかったはずなのだ。
『マスター、先ほどのアナウンスで一時的にレベルを上昇させるといっていました』
「なるほど、一時的に上昇させていたのか・・・って、なんでなんでソフィーにも聞こえてるの!?」
僕にしか聞こえてないはずのアナウンスがソフィーにも聞こえていて驚いた。
『それは、ナビゲーションの能力で繋がっているからですよ』
「ああ、なるほど」
僕は先ほどのソフィーの説明を思い出していた。
「一時的ってことはレベルは戻ってるんだよね。なら、レベルを上げればそのうち使えるようになるってことだよね」
『そうなりますね』
これは楽しみだね。
「そうだ、時空間収納の効果を確認しておかないとね」
【名称】時空間収納
【スキル種別】固有技能
【分類】空間系
【タイプ】アクティブ
【詳細】亜空間庫だったものを時空間魔法と統合・派生させたことで新たに創られたスキル
時空間魔法と統合されたことで収納した物の時間を停止させるかさせないか選択できるようになっている。また収納容量は無限になっている
「収納量量が無限になっている・・・」
これはあれだね。チートスキルの代名詞で有名な収納系スキルで、しかも容量制限なしの無限収納の方だよ。
「フローラ、少し聞きたいんだけど、この世界に収納系のスキルって存在する?」
「はい、アイテムボックスというスキルが存在します。このスキルは保有者の魔力量によって容量が変わります。空間魔法にも似たようなものが存在しますね。あとは、高価ですが収納袋や魔法鞄と呼ばれる魔道具もあります」
「アイテムボックスって持ってる人は多いの?」
「うーん、そうですね。アイテムボックスはギフトなので保有者はそこまで多くないですが、ギフト保有者のみで見たら比較的多いほうですね。ただ、アイテムボックスは収納袋や魔法鞄よりも容量が大きいので国で囲っているケースが多いですね。あとは、商人達からのスカウトが多いです」
「もし、容量に制限がなかったらどうなる?」
僕は一番肝心なことをフローラに聞いた。
「容量に制限がなかったらですか?それはもうどこの国も商人も欲しがりますよ。アイテムボックス保有者を雇うには結構お金がかかりますかね。それが一人いるだけでよくなるのですから戦争まではいかないと思いますが、誘拐などはあり得るとおもいます・・・って、まさか!?」
「そのまさかなんだよねぇ、ハハハ・・・」
「ぜ、絶対にばれないようにしてください!!いいですね!?絶対ですよ!!」
「わ、わかっているよ。ちゃんと鞄などを使って隠すから、ばれないようにするからね」
フローラはてんぱって何度も念押しに言ってくる。
僕は落ち着くようにフローラに深呼吸をするように言った。
「スー、ハー、すみません、驚いて取り乱してしまいました」
フローラは恥ずかしかったのか顔を赤くして俯いている。
「気にしてないから大丈夫だよ」
僕がそう言うとフローラは顔を上げてくれた。
「さて、次は二夜を眷属化しようか」
僕は話を変えるために、二夜の眷属化を行った。
〔個体名:二夜の眷属化を確認しました。獲得するスキルを選んでください〕
ここはやっぱり〈形態変化〉一択だよね。
〔形態変化を獲得しましたが、ギフトの特性により使用することが出来ません。称号*****勇者の効果を発動します〕
「えぇ~、またなのか・・・」
〔保有スキルに同系統のものがないため保有者に合わせて新たなギフトへの適応・改変を行います・・・完了しました。ギフト〈変身〉を獲得しました〕
僕は獲得したギフトを鑑定した。
【名称】変身
【スキル種別】固有技能
【分類】干渉系
【タイプ】アクティブ
【詳細】自身の姿を他の者に変身させることが出来る。ただし、物などの人種以外に変身することはできない。1度変身すると解除しない限り元の姿に戻ることは無い。また、見た目と同時に身長なども変えることが出来るが、性別を変えることはできない。たとえ姿をを変化させたしても元となった者の能力を使用したりすることはできず、ステータスもそのままである。
1度発動すれば解除しない限りそのままらしい。また、魔力も使用時に消費するだけでそれ以降は魔力を消費しないようだ。能力やステータスはそのままみたいだけど、潜入などに使える超便利なスキルだね。
「じゃあ、最後は三津紀だね」
僕は三津紀の前まで行って眷属化を発動させた。今回は3匹を眷属化しても倒れることは無かった。多分、生まれたばかりで能力が低いためそこまで魔力を消費しなかったのだろう。
〔個体名:三津紀の眷属化を確認しました。獲得するスキルを選んでください〕
〈解析・理解〉のギフトを選ぶべきなんだろうけど、鑑定眼と似たような能力なんだよね。それに、ソフィーが同じ能力を獲得しているんだよね。それに、実を言うと〈捕食〉ってスキルにすごく興味があるんだ。種族スキルだから選択できない可能性が高いけどね。
「てことで、試しに〈捕食〉を選択してみようか。どうなるのかすごく興味があるし」
というわけで、好奇心に負けてしまい〈捕食〉を選択してしまった。
〔捕食は種族スキルのため習得することが出来ません〕
ですよね~。うん、わかってたんだけどやっぱり気になったんだよね。
〔称号勇者を発動し、対象スキルを獲得できる形に改変します〕
「は?え?まじで?」
〔対象が種族スキルのため、保有者が習得できる形へ変換・応用・適応・改変の4つを行います。対象スキルの技能への変換を開始・・・完了しました。変換したスキルの応用と保有者への適応を開始します・・・完了しました。応用・適応したスキルを対象者が習得できる形へ効果の改変を開始します・・・完了しました。改変したスキルは技能として不適応なためギフトへの再変換を開始します・・・完了しました。ギフト〈吸収〉を獲得しました〕
「・・・・」
「急にしゃべらなくなってどうしたのよ?」
那月が心配そうに声をかけてきた。
急にしゃべらなくなったことで何か問題が起きたんじゃないかと心配になったらしい。
「ハハハ、はぁ~。いやさぁ、この勇者って称号、もうなんでもありなんだなぁ~と思って。種族的に不可能だろうっていうスキルを無理やり変換して使えるようにしたり、適性のないものを適性のあるものに変換したりしてチートすぎるよなぁと思っただけだよ」
なんでもありすぎて、この称号を持ってたら不可能なことは無いんじゃないかって思えてくる。まぁそのおかげで僕の生存率は上がっているんだけどね。この称号をくれた慈愛の女神さまには直接会って感謝の気持ちを伝えたいくらいだよ。女神様、ありがとうございます!!
「確かに、チートすぎよね」
「兄さんがどんどん人間から離れていく」
「やめてください。僕はまだれっきとした人間だよ!!」
「まだ、ということはそのうち人間をやめるってことですか?」
「わ、私はどんな風になても浦之君と一緒にいるからね」
みんなは僕をなんだと思っているんだろう。
僕はれっきとした人族だし、ステータスの表記も人族になっている。それに、この先人間をやめるつもりはないからね。
「いいよ、僕は絶対に人間をやめないからね!」
「とかいいながらも」
「最終的には人間をやめてるんですよね」
みんながいろいろ言っているけど無視することにした。それよりも〈吸収〉を鑑定しておこう。
【名称】吸収
【スキル種別】固有技能
【分類】強化系
【タイプ】アクティブ
【詳細】魔物の肉を食べることで食べた魔物を吸収しステータスの一部を自身のステータスに加算する。加算されるステータスは食べた魔物のステータスの中で一番高いものが加算される。また、加算されるのは1種類に付き1回までで、同じ種族の別の個体の肉を食べても加算されることは無い。
おお、僕の弱いステータスをこれで補うことが出来るようになる。
『やりましたね、マスター。このギフトが今回のダンジョン攻略1番の当たりではないですか?』
「そうだよ、このギフトが僕にとって今回の一番の大当たりさ」
どれだけの数値が加算されるかわからないけど、それでもステータスの数値を上げられるのは僕にとって本当にありがたいし、僕の生存率が上がれば、僕の死と同時に死んでしまう眷属になった鈴華たちを守ることもできるからね・
「さて、スキルの確認も終わり、休憩もできたからそろそろここから出ようかといいたいところだけど、せっかくだから、ここにある鉱石とかすべて採取してもらっていっちゃおうか」
「そうですね、これだけあれば相当な金額になりますよ。それに、すべて悠璃さんのギフトで持ち運ぶことが出来ますしね」
僕の言葉にみんな賛成のようだ。
僕たち、とくに五十嵐さんたちは持ち前の高いステータスを生かして天井に生えている鉱石などを素早く回収してくれている。それからすべて回収が終わったころに支給されている時計を確認してみると時間が夜を回っていたので今日はここで止まっていき、明日出発することになった。
テスト期間も終わったので明日から毎日更新を頑張っていきます。