第16話 初心者ダンジョン攻略3
遅くなり申し訳ございません
「う、うーん、イタタ。ここは・・・・?」
落ちた衝撃で痛む体を起こして周りを見てみると薄暗い知らない部屋にいた。
落ちてきたであろう後ろの斜め上を見てみると穴が開いていた。
「うーん、高すぎてジャンプししても届かないなぁ。はぁ~」
僕はため息をつきながら多分前だと思うほうへ進んだ。
薄暗いため少し見えにくいが、歩けないほどではないため足元に気お付けながら進むと細い穴が見つかった。
「うーん、ここを通るのか。ステータスが低い僕一人で大丈夫かな?見た限りだとここにしか穴はないみたいだけど」
周りをざっと見渡すがほかに穴らしきものは見つからなかった。
「大丈夫じゃろ、主様には妾達がついておるのじゃからな」
「そうやね、ウチらが守ってやるで」
「ですから、気にせず進みましょう」
3人に言われて僕は進むことにした。
穴は大人が一人通れる程度のペースしかなかったが女性のように華奢な体を持つ悠璃は余裕で通ることが出来た。
穴はそこまで長くなく入ってすぐに出口についた。
「思ったよりも短かったね」
そう言って穴から出ると目の前には美しい景色が広がっており、中央には宝箱を発見した。
「ほへぇ?」
急に目の前に広がった美しい景色に思わず変な声が漏れてしまった。
「幻想的で綺麗だ。ダンジョンの中にもこんな場所があるんだね~」
ダンジョンの中にこんなに美しい場所があることに驚いた。
3人もダンジョンの中にまさかこんな場所があるとは知らなかったみたいでいつの間にか人化していた。
中央には水中まで見える透き通るほど透明な湖があり、壁や天井には見たことない鉱石が沢山出来ておりきらきらと光っている。
ポヨンポヨンポヨン
「ん?」
ポヨンポヨンと何かが飛び跳ねてるような音が聞こえてきた。音が聞こえたほうに目を向けてみると、すぐ近くにスライムが3匹近づいてきていた。
「ッ!?」
僕はすぐに後ろに飛んで下がり、ニーアとレヴィを抜いて構えた。
しかし、スライムたちは止まろうとせずそのまま近づいてきた。
「・・・ん?なんか、見た目は同じだけど普通のスライムより小さいような気がする」
『実際に、普通のスライムより小さいですよ。鑑定眼で確認してみるとわかると思います』
「そうだね。じゃあ、さっそく鑑定眼発動」
【名前】無し
【種族名】リトルスライム
【年齢】0歳
【性別】雌
【レベル】1 / 20
体力 5/5
魔力 3/3
筋力 1
防御 3
敏捷 2
器用 1
知力 2
運 10
魅力 5
【固有技能】〈三位一体〉〈亜空間庫〉
【種族スキル】〈捕食〉
【技能】無し
【称号】分かれし者 三つ子
【名前】無し
【種族名】リトルスライム
【年齢】0歳
【性別】雌
【レベル】1 / 20
体力 6/6
魔力 2/2
筋力 1
防御 2
敏捷 2
器用 1
知力 3
運 10
魅力 5
【固有技能】〈三位一体〉〈解析・理解〉
【種族スキル】〈捕食〉
【技能】無し
【称号】分かれし者 三つ子
【名前】無し
【種族名】リトルスライム
【年齢】0歳
【性別】雌
【レベル】1 / 20
体力 4/4
魔力 4/4
筋力 1
防御 2
敏捷 1
器用 1
知力 4
運 10
魅力 5
【固有技能】〈三位一体〉〈変身〉
【種族スキル】〈捕食〉
【技能】無し
【称号】分かれし者 三つ子
「リトルスライム?スライムのこどもなのか?」
『いえ、リトルスライムは通常のスライムの特殊個体です。それにしても珍しいですね。特殊個体は滅多に生まれませんのに』
「変異種や亜種とは違うの?」
『はい、変異種はある日突然変化した個体のことで、亜種は普通とは違う特殊な進化をした個体のことを言います。しかし、特殊個体は生まれたときから他の個体と違う種族になっています。そして、殆どがギフトを所持していたり、ステータスが通常種より高くなっていたりします』
「へぇ~、珍しいんだね。そういえば、鑑定眼でスキルや称号の詳細が確認できるなら他の項目も鑑定できるのかな」
僕は、試しにリトルスライムという種族名を対象に鑑定を発動させた。
【名称】リトルスライム
【分類】特殊個体
【種別】スライム種
【詳細】スライム種の特殊個体。通常のスライムと外見は同じだがサイズが小さくなっている。通常のスライムと違い、様々な種族に進化することが出来る無限の可能性を秘めている。進化時、通常のスライムは環境によって決まった種族に進化するが、リトルスライムは環境・スキル・食べたもなどにより、進化先を選ぶことが出来る。リトルスライムは特殊個体のため個体数が少なく、また見た目が普通のスライムとサイズ以外変わらないため同一視されやすく通常のスライムと一緒に討伐されることが殆どである。
「おお~、できたできた。それにしても無限の可能性かぁ。あ、称号の別れし者も鑑定しておこう」
【称号名称】別れし者
【分類】特殊
【詳細】もともと1匹の個体として生まれてくるはずだったのが、何らかの原因で同じ魂が3つに分かれた状態で生まれてしまった。生まれてから時間がたっているため、別々の個体として存在が確定されてしまっている。元々が1つだったためこの称号の所有者は特殊技能〈三位一体〉を獲得しており、同じ魂を持つ者同士でのみ発動することが出来る。
このスライムたちは元々1匹の個体として生まれるはずだったらしい。
珍しいこともあるようだ。
ポヨンポヨン!
「ん?・・・ハッ!?」
両肩と頭の上に重さを感じ近くでポヨンポヨンと聞こえたので、直ぐに右を見てみるといつの間にかリトルスライムが右肩の上で跳ねていた。左を向いても同じようになっていた。頭の上も同じようになっているのだろう。
(考えることに集中しすぎて気づかなかった。てっきり攻撃されるかと思ったけどそんなことは無かったね。それにしても、怖くないのかな?こっちは一応攻撃しようとしたんだけど)
考えている間もリトルスライムたちはずっとポヨンと跳ねていた
(楽しそうには跳ねてるね。気に入ったのかな?それにしてもこの子たち人懐っこいなぁ)
『こ奴ら、魔物にしては人懐っこくてかわいいのじゃ』
『そうですね。ここまで人に懐いているのはテイムや調教された魔物以外では珍しいですね』
『ほんまやんね』
3人がそういうのだから、本当に珍しいのだろう。
クイッ
僕が3人と話しているとリトルスライム3匹に呼ばれた。
「どうしたの?」
僕が3匹に聞くと3匹とも僕の荷物の中から何かを取り出してきた。
「干し肉とポーション・・・スライムジュエリー?」
それぞれが違うものを一つずつ持ってきた。
「もしかして、これが食べたいのかな?」
僕が干し肉とポーションを持ってきた2匹のリトルスライムに聞くと、3匹が体を揺らした。
・・・3匹?
「もしかして、君はこれが食べたいの?」
手にスライムジュエリーをのせて聞いてみると、返事をしたように体を揺らした。
(うーん、那月たちが欲しそうにしてたけど、これ一つで戦争とか起きても嫌だからね。この際丁度いいからこの子に上げちゃおうか)
僕はここでスライムジュエリーを処分することに決めて、3匹にそれぞれが持ってきたものを食べさせてあげた。
僕が許可を出すと体を揺らしながらそれぞれが体の中に物を取り込み溶かしだした。
「スライムってこんな風に食事をするんだね」
『そういえば、主様は見るのが初めてじゃったな』
「うん、それにしても思ったよりもグロくないね」
もっと気持ち悪いものだと思ったけど実際は少しずつ溶けていくだけで思ってたよりもグロくなかった。
3匹は嬉しいのか、溶かし終わるとポヨンポヨンと飛び跳ねながら近づいきて、そのままそれぞれがさっきの位置に戻った。3匹とも僕の上が気にったようだ。
「この様子なら、もしかして戦わなくてもテイムできるかな?」
『ここまで懐いているのであれば問題ないと思いますよ』
僕は3匹を上から降ろし、僕にテイムされる気はないか聞いてみることにした。
「もしよかったら、僕と一緒に来ないかい?君たちをテイムさせてほしいんだ」
僕がそう聞くと3匹とも嬉しそうに体を揺らして飛び跳ねた。
「ありがとう、じゃあ行くよ。テイム発動!!」
テイムのスキルを発動させると僕とリトルスライム3匹の周りに透明な壁のようなものが現れて閉じ込めた。そして床に大きな魔法陣が現れた。しかし、現れた大きな魔法陣は3つに分裂し小さくなるとそれぞれがリトルスライムのところまで飛んでいき、体に触れた瞬間解けるように体の中に吸い込まれていった。
〔リトルスライムを3匹テイムしました。名前を付けることでテイムが完了します。〕
脳内にアナウンスが流れた。
「名前を付けないとテイムは完了しないのかぁ」
僕は3匹に合いそうな名前を考えることにした。
「3匹とも雌で三つ子の姉妹みたいだからどうしようかな」
3つ子の姉妹だから、漢字の一、二、三を使いたいな。
「うーん、一美、二夜、三津紀でどうだろうか?」
ポヨンポヨンポヨン
3匹とも嬉しそうに跳ねながら飛びついてきた。
「はは、気に入ってくれたんだね」
〔個体名が一美、二夜、三津紀に確定しました。名付けが完了したことにより、リトルスライム改め個体名一美、二夜、三津紀のテイムが完了しました〕
〔初めてのテイム成功の確認・・・使い魔がいることを確認しました。条件達成により職業技能〈使い魔能力閲覧〉を獲得しました〕
テイム完了のアナウンスと同時に、スキル獲得のアナウンスも流れた。
僕はステータスカードの使い魔の項目を確認した。
【使い魔】
一美
二夜
三津紀
次に自身に鑑定を使用しステータスを開いて使い魔の項目があるか確認した。
ちゃんと登録されていることを確認できたので、新しく獲得した〈使い魔能力閲覧〉を使ってみることにした。
「名前からして多分、〈眷属能力閲覧〉の使い魔バージョンだろね」
実際に使ってみると、予想通り眷属能力閲覧と同じで使い魔のステータスなどを見ることが出来た。
「うん、ありがたいスキルだね。鑑定眼だと実際に視認できる範囲にいないと使用できないからね」
タンタンタン
僕のスキルの確認が終わると同時に足音が聞こえてきた。
「兄さーん!!」
「グヘェッ!?」
声の聞こえたほうを向いた瞬間お腹にものすごい衝撃を受けた。
「兄さん!!心配しましたよ!!」
「ご、ごめん。心配かけぐふっ!?
鈴華が勢いよく抱き着いてきたため頭突きが腹にクリーンヒットした。
「悠璃、大丈夫だった?」
「う、うん。僕は大丈夫だったよ。ただ、鈴華の頭突きが・・・というか、苦しい」
鈴華が力いっぱい抱きしめてくるため、お腹が苦しい。
「鈴華、力の入れすぎで悠璃が苦しがっているわよ。もう少し力を緩めなさい」
「え?あ、すみません兄さん!!」
「いや、心配だったていうのは分かっているからいいよ」
「ところで、悠璃さんの上に乗っている小さなスライムたちはどうしたのですか?」
「あぁ、この子たちね。なんか懐かれたみたいだったから、皆が来る少し前にテイムしたんだよ」
そう言って一美、二夜、三津紀をみんなに紹介した。
「それにしても、この子たち通常のスライムより小さくて可愛いです」
「た、確かに可愛いです」
「この子たちね。どうやらスライムの特殊個体みたいなんだよ。ユニークモンスターともいうらしい。それで、この子たち全員ギフトを持っているんだよね。しかもすべて有用そうなんだ」
「さ、三匹とも全てですか!?」
「うん」
僕の言ったことに全員がそんなまさかというように絶句している。
「うーん、みんなにもステータスを確認させて上げられたらいいんだけどね・・・」
『マスター、レベルが上がったことで新しいスキルを獲得しているではないですか?ステータスの確認をしてみるといいと思いますよ』
「ああ、そういえばステータスの確認してなかったね」
僕はソフィーの言葉で使い魔の欄しか見ずステータスの確認をしてないことに気が付いた。
僕はカードを出すのではなく鑑定を自分自身に使用した。すると、いつものように脳裏にイメージのようなものでステータスが表示されるのではなく、なぜか透明なウインドウが目の前に現れた。
「あれ?なんかステータスの表示方法が変わってるんだけど、この世界にアップデートでも掛けられたのかな?ゲームの画面のようで見やすいけど・・・」
『それは、マスターのレベルが上がったことで契約している私の能力の一つである、〈支援する叡智の案内人〉が解放されたからです』
「ナビゲーションねぇ。日本だと案内とか支援とかそんな感じの意味で、カーナビとかあったけどそんなイメージでいいのかな?」
『そうですね。マスターの記憶の中から探すとそれが一番近いと思います』
「能力を教えてもらっていもいいかい?」
『分かりました』
僕のお願いにソフィーは詳しく能力を説明してくれた。
もうすぐテスト期間も終わります