第15話 初心者ダンジョン攻略 2
遅くなりました。済みません。
3階層へ来た。
3階層はゴブリン、コボルト、スライムと魔物の種類は変わらないが同種族だけじゃなく他種族がまとまって行動するようになる。
「そういえば、ここまで休憩せずに来たけど、みんな大丈夫?」
メンバー全員に確認をとるがみんなまだまだ大丈夫なようだ。
「なら、今日は5階層まで行ったら、ダンジョン攻略を終了しようか。ダンジョンは5階層ごとにセーフティーエリアがあるみたいだからそこで今日は泊まろう」
「私たちもそれで問題ないわ」
那月の言葉にみんなうなずいている。
僕の意見に賛成のようだ。
それから僕たちは、4階層への階段を探しながら探索していた。
「悠璃君、ここの壁なんか変じゃない?」
五十嵐さんの言葉に僕たちは壁の前に集まった。
「確かに、少しおかしい気がするね」
そういって僕は五十嵐さんが示しているところを触ってみた。すると、ガタンッと音が鳴って壁が動いた。
「これは、隠し部屋でしょうか?」
「こんな仕掛けがあるくらいだからそうなんじゃないかな?」
フローラにそう返しながら、部屋の中を見てみる。すると部屋の奥に宝箱を発見した。
このダンジョンに入ってから1度も宝箱を発見していなかったため、今回初めて宝箱をみた。
「これ、どう見ても罠だよね?」
「そうでしょうね。多分部屋に入るか宝箱に触れるとモンスターが現れるって感じじゃないかしら」
「で、でも、ここは上層だから下層と違ってそこまでる良い魔物は出ない気がします」
「アルフレッドさんも、10階層までは初心者用だからそこまで強いトラップはないって言ってたね」
「なら、あの宝箱を開けるってことでいいかな?」
「いいわよ」
「兄さんに従う」
「私もかまいませんよ」
「私も問題ないよ」
「わ、私も大丈夫です」
みんなも賛成のようだから、僕たちは宝箱を開けることにした。
隠し部屋の中に入ってみるが何も起こらない。ということは宝箱に触るか開けようとすると発動する罠なんだろう。
僕はいつでもレビィを抜けるように柄に右手を添えて、宝箱に触れた。
その瞬間、足元に魔法陣が現れて大量のモンスターが出現した。
現れたのはゴブリンやコボルトなどのこの階層にいるモンスターだけだった。
「やっぱりモンスターハウスだったね。でも出てきたのはこの階層にいるモンスターだけだから油断さえしなければ勝てるはずだよ」
そういって僕たちは陣形を組みなおした。
「那月と鈴華以外は今回が初の魔物都の戦闘だけど、みんな大丈夫かい?」
周りを見てみるとみんな真剣な顔つきに変わって頷いている。
どうやら心配はいらなそうだ。
「まずは先制攻撃を加える!!那月は魔法を敵の中心に打ち込むんだ。雪乃は舞を発動させて僕たちの強化をしてくれ!」
「「了解!!」」
那月は大きめのファイアボールを敵が密集しているところの中心に打ち込み、雪乃は筋力と敏捷を上げる舞を踊り始めた。
那月の放ったファイアボールが敵の中心に激突すると数匹のゴブリンとコボルトが黒焦げになった。
ゴブリンたちはいきなり仲間が黒焦げになったことで困惑しているようだ。
「動揺している今がチャンスだ!颯は僕と一緒に敵に切り込む。那月は僕と颯に当たらないように魔法で攻撃、フローラは魔法で那月のサポート、雪乃は鈴華に敵が近づかないように守ってくれ。それと、舞の効果が切れそうになったらかけなおしてくれ。鈴華は弓の攻撃で僕と颯をサポートをしてくれ。これが初のパーティ戦だ。みんな気合を入れていくよ!!」
「「はい!!」」
僕はそれぞれに指示を出すとニーアとレビィを両手に持ち颯と並んで駆け出した。
「ソフィー、ニーア、レビィ行くよ!!」
『『了解です(じゃ)(わかったやんね)』』
3人の返事を聞き僕は、前方に固まっているゴブリンたちに切りかかった。
「はぁぁ!せいッ!やッ!」
最初に右手のニーアで上段から切りつけた。
「グギャャ!」
続けて隣にいたコボルトに向けて左手のレビィを横に一閃した。
「ギャンッ!」
レヴィを振り切った状態のまま一回転して後ろから攻撃してきたゴブリンとコボルト3体をまとめて切り捨てた。
「本当にすごい切れ味だね。敵が豆腐のように切れるよ」
『当然じゃ。妾たちは聖剣と魔剣でしかも神器じゃぞ。この程度じゃ刃こぼれすらしないのじゃ!』
僕がつぶやいた言葉にニーアが言葉を返してくれる。僕もニーア達もまだまだ余裕があるようだ。
僕がさっと周りを見渡し確認するとみんな余裕そうな顔をしている。
僕はみんなに目ッだった怪我などがないことに安心すると、レヴィとニーアを握り直し戦闘に集中することにした。
それから10分ほどですべての魔物を討伐し終わった。周りを見渡してみると魔物の死骸が散乱して血の臭いが充満していた。
戦闘に集中していたせいで血の臭いに気づかなかったらしい。みんなを見てみると全員顔をしかめていた。
僕たちは臭いを我慢しながら魔石を急いで回収した。スライムゼリーは詰める物を持っていなかったため今回は諦めることにした。
魔石の回収を終えると僕たちは再び宝箱の近くに集まった。
「さて、宝箱を開けようと思っているけど誰か開けたい人はいる?」
「いえ、ここは運が一番高い兄さんが明けるべきかと思う」
「私もそれがいいと思うよ」
「私もそれでいいわ」
「問題ありませんよ」
「わ、私もかまわないです」
みんなそういうので今回は僕が開けることにした。
「じゃあ、僕が開けるよ。何かあるかもしれないからみんな離れててくれるかな?」
僕がそういうとみんなが少し離れてくれた。
僕はレヴィを腰に差し戻しニーアを左手に構えた状態で宝箱の周りを確認するが、罠やカギがかかっていないことが分かったので意を決して蓋を開けた。蓋は何の抵抗もなくあっさりと開いた。
中を覗いてみると宝石らしきものが何個かと回復薬らしきものが入っているだけだった。
「罠とかはなかったからみんな来ても大丈夫だよ」
僕は皆を近くに呼び戻し、宝箱を確認してもらった。
「入っているのは宝石?と回復薬?だね。武器や防具だとよかったんだけどまぁ、ここは低階層だからこんな感じかな」
僕はそう言って宝石?と回復薬?に鑑定眼を発動させた。
【名称】万能薬
【品質】普通
【詳細】ほとんどの状態異常、小規模な部位欠損を治して低位の弱い呪いを解除することが出来る。
治せる状態異常や部位欠損の規模、解除できる呪いの種類は品質が高くなるほど大きくなる。
【名称】スライムジュエリー
【品質】最高品質
【詳細】特殊な固有種族のスライムからのみ採取することが出来る宝石。滅多に出現することがなく、品質も個体によって変わるため最高品質の物は超希少であり、超高額な値段が付く。また、スライムジュエリーのその透き通るような幻想的な美しさにすべての女性の憧れである。
なぜか、こんな低階層で万能薬や超希少な宝石が出てきた。
ほかにも、ルビーやサファイヤ、ブラックオパールにアクアマリンなどの地球で売ったら一生遊べるような宝石が入っていた。
「すごく綺麗だわ・・・」
「これ全部私たちの物なんだよね?」
「わ、私、ルビーやサファイアなんて初めてみました・・・」
「さすが運が異常に高い兄さん」
みんな沢山の宝石の美しさにうっとりしているようだ。
(女性って本当に宝石が好きなんだね。僕もきれいだと思うけど)
フローラの反応を見る限りどこの世界でも女性みんな宝石が好きなのかもしれない。
「わぁ~、この宝石は特に綺麗ね」
「本当ですね」
那月がスライムジュエリーを見つけると手に取って近くで見ていた。菜月のつぶやきに他の女性陣も那月の周りに集まった。
「この宝石、なんていう名前なのかしら?元の世界では見たことないわね」
「鑑定眼で確認してみたけどスライムジュエリーって名前らしいよ」
「へぇ~、確かにスライムのような雫方をしているね」
「うん、それに最高品質らしいよ」
「ちょ、ちょっと待ってください!!」
那月の質問に僕が答えると、名前を聞いたフローラが急に大声をあげて慌てだした。
「悠璃さん、今スライムジュエリーって言いましたよね!?しかも最高品質って!!」
「う、うんそうだね。鑑定眼で確認したけどそういう風に表示されるよ」
フローラの剣幕に圧されながら質問に答えるとフローラはすぐに那月のところまで行きスライムジュエリーを借りていた。
「菜月さん、鑑定用の魔道具で確認したいので貸してもらってもいいでしょうか?」
「これを当てたのは、私じゃないなくて悠璃だから所有権は悠璃にあると思うんだけどどう?」
「僕は構わないよ」
僕が許可をだすとフローラは早速魔道具を取り出しスライムジュエリーに発動させた。
「・・・・本当にスライムジュエリーなのですね。しかも最高品質ですか・・・」
フローラはそう言って鑑定結果が全員に見えるように表示した。
「超希少で超高額な値段がつくってかいてあるけど、これってそんなにレアなの?」
那月の質問にフローラと僕以外全員が気になったのかうなずいている。
「はい、スライムジュエリーとは宝石の中でも最高級の物で滅多に見つかることはないんです。それに、もし見つかっても王族が殆ど買い取ってしまいますね。これですと、最高品質ですし億はくだらないと思いますよ。というか、下手するとこの宝石を奪い合って戦争が起きるかもしれませんね」
フローラの説明に全員が絶句した。
このスライムジュエリー相当ヤバいものだったらしい。
みんなには悪いけどどうにかして早く処分がしたい。
「アイテムをすべて回収していきたいところだけど全部持ち帰るのはむりだよね」
「そうですね、せめて収納袋でもあればよかったのですが・・・」
「魔石の数を減らして宝石をメインで持って帰ろうか」
僕たちは集めていたゴブリンやコボルトの魔石を捨てて宝石を持っていくことにした。
「さて、回収は終わったけどここなら罠も解除して安全だろうから少し休憩していこうか」
「「はい!」」
みんなの顔に笑みが浮かんだ。いくらステータスが高くても元々は平和な世界で過ごしていたからみんな精神的にはきつかったのだろう。
「よいしょっと、それにしても疲れたよ。もう少しステータスを上げたいなぁ」
ガタンッ
「・・・ん?」
僕が腰を下ろして壁に背を預けるとガタンッと音がなり丁度背中を預けた部分の壁が消失した。
「ちょ!えぇぇぇぇぇぇぇ!!」
壁に体重をかけていたために重力にしたがって消えた壁の部分から落ちてしまった。
「兄さん!?」
「ちょ!どうするのよ!!悠璃が落ちて行っちゃったわよ!!」
「私たちも急いでおりましょう」
那月たちも悠璃が落ちた穴の中に飛び込んでいった。
もうすぐ試験が終わりますのでそれまで更新速度が遅れます。