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新たな刺客

あの戦いから一週間がたった。


 女神からは一報もなく、いつも通りの日々を暮らしている。


 せっかく決意したんだけどな。まぁ、平和なのが一番だ。


「私は、時野 永久だ。未来永劫、私とこのマークサーン! よろしく頼むぞ!」


 学校の一部が半壊。


 だが、あの事件よりも転校生が来たことの方が大きな事件のようになっている。


 今は6月。一歩ずれた生徒の来訪にクラスメイトも色めき立つ。


「なぁ、兄弟。あれって読み方変えるとクマサンだよな。かわいいじゃねーの!」


 隣の席に座っている金髪は、あぁ。察しの通り一週間前学校を半壊させた張本人だ。


 荒野 城高。


 俺と似たような、グレた髪型。校則をものともしない服装。極め付きは、蛇よりも悪い目つきだ。


 戦いの記憶は、残ったままなのか顔を合わせたとき


「あの時は助かったぜ! これからは、兄弟って呼ばせてくれよな!」


 などと、大声で喚きうるさかったので兄弟になった。


「でも、こんな時期に転校か……何かあったのかな。助けになってやりたいぜ」


 と、目を滲ませながらハンカチで目元を覆った。


 一週間近くいるが、こいつは意外と涙脆いらしい。


 正面に目を向けると、眼帯で片目を覆った少女が、ドヤ顔でなにやらポーズをとっていた。


「私は、別次元からきた悪魔の子供。貴様らとは、次元が違うのだよ! 次元が!」


 とりあえず、次元と言いたいのはわかった。


 背丈も俺の半分ほどしかなく、まるで小学生。


 顔立ちもかなり幼く、校則のギリギリをいくような魔改造。


 その姿を見て分かるのは、変わり者であるということだけだろう。


 まぁ、関わらないにこしたことはない。


 そう思いながら、ふたばがつくって来たと言う昼食を心待ちにするのであった。








「じゃーん(棒)! 今日は人数が多いと思ってサンドイッチにしてきました」


「「おおー!」」


 ふたばが広げた、弁当箱に二人で感嘆の声を漏らす。


……って、おい。


「なんで、おめーがいるんだよ。金髪」


「えぇ、だめなのか!」


「たりめーだ! 俺のために作ってきてもらったんだぞ」


「……確かにそうだな」


「だろう」


 そして神妙な顔で頷き。


「非常にそう思う」


 と、繰り返す。だが視線は外れていない。


「そうだろう?」


「だが」


「?」


「食べたいものは、食べたいのだ!」


 弁当に突撃をかまそうとする城高を全力で止める。助けてもうるさいし、助けなくてもうるさい。どんな男だこいつは。


 そうやって、わちゃわちゃやっていると、小さな影が一つ差した。


「やはり、低次元の男どもはみな、下賎。昼ごはんすら静かに食べれないのね」


 視線の先には、転校生の姿があった。


 小さな熊を脇に抱えて、胸を張っている。


「君は、確か永久ちゃんですよね?」


 ふたばが、首をかしげて訪ねた。


 その言葉をまっていた! と、言わんばかりに永久は手をブンブン、足をブンブン振るいポーズを決めた。


「我は、黒龍の申し子! 貴様らに宣戦布告のためにやってきたのだ!」


 そして、ドヤッと効果音がついてきそうなキメ顔を見つめながら、俺はサンドイッチを咥え、


「うん! これはマスタードが隠し味!」


 と、ひらめいたような顔をふたばに見せた。


「そうだよ! やっぱり分かりますか!」


 と、彼女も嬉しそうな表情(当社比そこまで変わってないかもしれない)を返してくれた。


 三年ごしでも意外と分かるもんだな。


「お、お前ら! 私の話を無視するな!」


「お前、俺も食べてーよ! ふたばちゃん俺もいいかな?」


「いいですよ」


 永久の言葉に重なるように、荒野は弁当に手を伸ばした。


 完全にこの少女は蚊帳の外だった。


 遂に、堪忍袋の緒が切れたのか。


「もおおおぉお! 知らん! お前らなんか、潰されてしまえ!」


 などと、喚きちらし去っていった。非常にうるさい。


「なにがしたいんだ。あいつは」


 そういいながら、手に握っていたサンドイッチを咥えようとしたとき、歯はパンを噛むことなくそのままぶつかり合った。


「は?」


 手元には、何も無く足元にも落ちてはいない。


 荒野の方を見るが、飲み物を飲んでおり一瞬で動けた様子は無い。


「おかしなことも、あるもんだな」


 そういって、弁当に手を伸ばした。














「ふふぉへっはへん」


 私は、サンドイッチを咥えながら廊下を歩いてましたわ。


 悔しいですが、意外とおいしいですわね。


「「まぁ、いいだろ。偵察は終わったんだ」」


 ブラックホールをブラックホールで煮詰めたような声が、手元から響きます。


 この声は、マークサーン。


 このクマサン……じゃなくてマークーサーンはあの人にもらった大事なものですわ。


 私は、あの人のために生きてあの人のために戦いますの。


「「で、どうなんだ? あいつらは」」


 その言葉に私は、鼻で笑ってしまいましたわ。


「……とるに足りませんわ。やつらは能力を使ったことすら分かってませんもの」


「「そうか……次の晩餐会は期待しているぞ」」


 その声と共に、マークサーンの声は遠のいていきました。 


「待っていなさい、炎夜。私の手であなた達を消してあげますわ」





また、明日の夕方に投稿すると思います

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