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届かぬ想いは風に流して

立ち寄ったコンビニの灰皿に

吸い終わったタバコを捨てる。


休憩というか気合いを入れているのか

はたまた逃避かは考えずに

もう一本にも火をつける。


空に向かって煙を吐く。





好きだった人がいた。


もう小さい頃からの付き合いで、

幼い私をよくからかってくるそんな女の子だった。

家が近くてばったり出くわすなんてザラで

活発で、くしゃりと笑っていた。


彼女への思いが恋だと自覚したのは、

思春期真っ只中の中学二年生の頃だ。


学校ではずっと一緒のクラスになったなんて無くて

ちょうど中学生にあがる前に私が引っ越しした為に

少しだけ残念な気持ちがあったのだが、

運が良いことに中学一年生で同じクラスになれた。

その時はまだ自覚はなかったのだけれど

なんだかとても楽しかったんだ。


一年経ちクラスも離れた二年生、

そんな時にこれが恋だって自然と理解した。


何故かクラスが離れても付かず離れずで

彼女との関わりがずっとあった。


高校にあがってもあったんだ。


彼女とは別の高校に行くことになってしまったけど

なんとなく寂しいとかは思わなくなっていた

私はそこで自分の驕りを知った。


なにかの偶然で帰り道、彼女と出会った私は

学校楽しいかとか当たり障りのないことを

聞きながら二人で歩いていた。


時間が経った今でさえ地獄なのだが、

その当時の心境たるや筆舌に尽くせなかった。


彼女は新しく出来たカレシとの色々を教えてくれた。

目の前が本当に真っ暗になってしまった。

返答はちゃんと出来てるかとか不安だった。


そこからは少しだけど彼女との繋がりはあった。


ただ、彼女が学校を中退してからは

本当になにも分からなくなってしまった。


彼女の友達は少しぐらいは知っていたが

辞めてからはなにも分からなくて

疎外感が本当に億劫で彼女との関係も薄れてしまって

私も私なのだが自分の生活を送るのに一生懸命で

彼女とのアレコレも無くなってしまったのだ。


これで終わりかなと考えていたのだが

共通の友達が色々頑張ってくれて

ミリ単位の繋がりもギリギリで生きていた。


卒業してからの私はそういうのもつらくて

せつなくて県外に飛び出していった。


一年が経って唐突に連絡が入った。


可愛い子が生まれたから会いに来てとの事だった。


結婚していたことも知らず


妊娠してたことも知らず


その時に初めて彼女の子供を見た。



なんの感情かは分からないが込み上がってくるものが

頬と地面を濡らした。




やっと会いに行けるようになった夏のある日。


行きたくなくて焼きつく日差しの中を浴び続けていた



約束の時間はもうすぐ側で、それでも火をつける手は止まらなくて、何を伝えるか、何を思えば、何を話せば、脳内シュミレーターをフルで稼働させる。



そうして煮詰まった頭を冷却するわけではないが

空に向かって煙を吐く。


そうすればいつかはこの思いも無くなると

無くなると軽くなると考えていたんだ。




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