プロローグ
どこからともなく声が聞こえる…。
「起きなさい。」
そこで俺の意識は浮上した。
「起きましたか、私の可愛い子らよ。」
そう言われようやく俺は目を開けた。
そこは暗い、どこを見ても何も見えないそんな世界。
そんな中何故かその女の姿だけハッキリ見えた。
気付くと俺の両隣には黒く蠢く何かが居た。
俺は何となくだがその蠢く何かは自分と同じモノ、そう感じた。
女は巨大な体を蠢かしながら俺達を包み込むように手を差し伸べて話しだした。
「私は盲目で白痴の為自分では動けません。そこで私の仕事を変わりに貴方達にして欲しいのです。」
そう女は言い慈しむように微笑んだ。
俺は女が自分の仕事をして貰う為に俺達を産み出した事を理解した。
他の2体もそう理解したようでただひたすら女を見続けている。
「皆、分かってくれたみたいですね。私の名はアザトース。万物の神です。貴方達の役割をお教えしましょう。」
そう言ってアザトースは俺の左に居る奴に向き直った。
「シュブ=ニグラス、貴方は心優しき子。人々を愛し栄えさせなさい。」
そう言うとシュブ=ニグラス、ニグの体がハッキリ見えてきた。
金色のキレイな長い髪を靡かせ、どこか儚げでそれでいて暖かさを感じさせる雰囲気を醸し出した女性だった。
次にアザトースは俺の右に居る奴に向き直った。
「ヨグ=ソトース、貴方はこの世に起こりうる全ての事を記録しなさい。そして人々を導く者になりなさい。」
そう言うとヨグ=ソトース、ヨグは丸い球体で深い深淵のような何とも言えない異質な形を取った。
最後にアザトースは俺に向き直った。
「最後は貴方ですね、ナイアーラトテップ。貴方には、この世の災厄になりうる人間に近付き陥れ、破綻させる役目を担って頂きます。」
そう言うと俺の体も他の2体と同じように形を取りだした。
俺の体は醜く蠢く巨大な肉塊に形を成した。
俺達3体はそれからそれぞれ自分の役目を果たすために動いた。
俺は色んな人間を様々な形を取って陥れてきた。
政治家や宗教の教祖、はたまたエジプトの大王などだ。
そうやって人間と関わっていく内に俺は自分さえ良ければそれでいい、助かる為なら友人や恋人、家族やあまつさえ民までをも平気で犠牲にする奴らを腐るほど見てきた。
今では信じられるのは俺自身とアザトース、ただそれだけになっていた。
そんなある日、俺はアザトースに呼び出された。
「アザトース何かあったのか?」
「あぁ、来ましたか…。」
普段はあまり呼び出すなんてしないアザトースが珍しく招集をかけたので何があったのかと聞くとアザトースは少し真剣な顔で俺を見据えるとゆっくりと、それでいてしっかり言い聞かせるように話し出した------。
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あとがき
今回始まりました、偽りのないキミ。
初めての小説ということで、ダメダメな駄文ですがよければ最後まで見ていただけたらな、と思います!
これからも完結するように頑張って書いていきたいと思います!