表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/8

4人で

11月の終わり。

海は大きな波を立て、空は今にも泣き出しそうな勢い。


ずっと、仲良しでいられたのなら。

いつの頃からかずっと仲良しの4人組。

社会人になって、全員が揃うことは珍しくなったけれど。


僕はカンナに好意を寄せていて。

カンナは毅に好意を寄せていて。

毅はハルに好意を寄せていて。

そして、ハルは。。。


この気持ち、誰も口にはださないものの、誰しも感じとっていたようだ。


海で。

毅が言いかける。

「オレ、ハルのこと。」

ハルが毅の言葉を遮る。

「私、プロポーズされたんだ。会社の先輩から。」

カンナが反応する。

「で、どうするの?」

「まだ、答えてないけど。」

「けど?」

「受けるつもり。」

カンナはハルから話を聞いていたようだ。

毅が無言になる。

僕は毅の顔を見て、毅の顔を伺うカンナの顔を見る。

ハルも言い出しづらかったに違いない。


空が泣き出した。

冷たい雨。

由比ヶ浜から若宮大路を歩く。

無言のまま。

冷たい雨の中、傘もささずに。

均衡が崩れた。

4人の好意が均衡を保ち、波を打ち消しあっていた。

その均衡が崩れ、波がたつ。

波が次第に大きくなっていく。


無言のまま、若宮大路を歩く。

まもなく、鎌倉駅。


カンナが口を開く。

「また、会わない?こうやって、4人で。」

お互いが顔を見合わせる。

「年に一度は会おうよ。年に一度だから、七夕の時ね。」

「ああ。」

「うん。」

「わかった。」

「そして、今日はここで別れましょう。」

4人は、鎌倉駅前の交差点で別れた。

カンナは鶴岡八幡宮の方へ歩きだした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ