ホワイトアウト
視界は白く覆われた。白い世界に一人だけ取り残された気分だ。左右に激しく動くワイパーは、今の私の心境をそのまま表しているようだ。
私は今、どこを走っているのだろう?何を目指して車を走らせているのか、わからなくなった。
後ろの車が私を急かしているようだ。しかしいくら急かされようと、急ぐも何も私は目標を失った。白く恐ろしい魔物に消されてしまったのだ。
目標なき人間は、前に進むことができない。さ迷うだけだ。私は脇道に逸れて少しの間、吹雪か止むのを待つことにした。
目標の無い人生を過ごしてきた。何をしても長続きせず、次第に何に対してもやる気を失い、同じフレーズを何度も何度も繰り返す壊れたレコードのように、変わりのない毎日が繰り返された。
焦りはあった。このままではいけないとは思っていた。しかし思うだけで、行動には移せず今に至る。
いずれこの吹雪は止むのだろう。しかし、いつ止むのだろうか?時間だけが刻々と過ぎてゆく。
他の車は吹雪にもかかわらず、どんどん先へと進んでゆく。度胸がある連中だ。いや、私が臆病なだけなのか?
吹雪が止んだ。しかし脇道に逸れた私は、簡単に車の列に入れない。割り込む隙が見当たらない。
白い魔物に臆せず真っ直ぐ、道を外さずに走っていれば、今頃はもう目的地に着いていたのかもしれない。