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席替え*honey  作者: 春隣 豆吉
席替え*honey
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1月のアンテナ

 鈴川先生の「3学期は短いから席替えしなくてもいいんじゃない?」の一言で、3学期の席替えがなくなってしまった。

 ちなちゃんが「まさか先生に働きかけたのか?」なんて言ってたけど。いった何のことを言ってるんだろうか。

 3年生のクラス替えまでこの緊張状態のままなのかなあ・・・話しかけてくれる島崎くん、いい人なのに。せめて変なところを見せない程度に落ち着けないんだろうか、私。



 放課後、私は生徒会室に行く前に合唱部の顧問である蒼山先生のところに立ち寄った。今日は月に一度の文化部の部長会議があるんだけど、本来出席するはずの新部長・くりちゃんがインフルエンザで学校を休んでいて、代理で出席することになったからだ。

 顧問の蒼山先生の声はきれいなバリトンで、背筋をぴんと伸ばして指揮をする姿は眼福の部類だ。私が前部長の歌ってる姿で入部を決めたように、確か先生が指揮をする姿を見て入部した子もいたな。

 そういえば先生の声も“いい声”なんだけど、島崎くんの声みたいに背筋がぞくっとしたり緊張したりしたことないなあ。

・・・・もしかして島崎くんの声に反応するアンテナが私に装備されてるんだろうか。

「北条、会議が終わったら報告書を作成して持ってきてくれるかな」

「はい」

 私がうなずくと、先生は頼んだよと言い資料をくれたのだった。


 資料を持って生徒会室に入ると、まだ誰もいなくて島崎くんがいた。手招きされてしまったので隣の席に座るしかなくなる。

「合唱部の部長、学校休んでるんだってね」

「う、うん。くりちゃ・・・栗山さん、インフルエンザにかかっちゃって」

「それは大変だね」

「あ・・・で、でも栗山さんのほうが辛いと思う。病気なんてなりたくてなるもんじゃないし」

「そうだね」

 その後、生徒会役員や他の部の部長もやってきて会議が始まった。確かに順番に現在の活動内容と今後の予定などを話して、会長や副会長からいくつか質問されることに答えるだけだった。

 生徒会長から部活動についての連絡事項を言われた後はすぐに解散となり、部活動のあるところは急いで戻っていく。

 今日は合唱部がないから、教室で報告書を書いて先生に提出してかえろ・・・そう思って席を立つと、島崎くんに呼び止められた。

「北条さんは、今日は部活あるの?」

「う、ううん。ないよ。しし島崎くんは?」

「俺も今日は休み」

「そそそうなんだ。じゃ、じゃあね」

「待って。俺、教室で報告書を書いてこうと思ってるんだ。一緒に書かない?」

「・・・・へ?」

「蒼山先生、きっとすぐに報告書提出してほしいんじゃないかな。俺のほうも顧問の鈴川先生にすぐ提出したいし。ね?」

 島崎くんがにっこり笑った。


 放課後の教室で、島崎くんと一緒に報告書を作成する。作成に手間取る私に比べて、島崎くんの手際のいいことといったら・・・・それでもなんとか書き終えて顔を上げると島崎くんと目があった。

「北条さん、終わった?」

「う、うん。なんとか・・・・島崎くんは手際がいいんだね」

「部長になってから何度か書いてるからね。慣れだと思うよ」

「そ、そっか」

 もしかして、私が書き終わるの待っててくれたのかな。だけど聞くのは変だよね・・・・。

「じゃあ、職員室行こうか」

 島崎くんがカバンを持ったので、私もあわててカバンを持って立ち上がった。


 報告書を提出して、なぜか一緒に帰ることになり並んで正門へ向かって歩く。

「北条さんと一緒に帰るのは、9月いらいだね」

「そ、そうだね」

 その後の会話が続かない・・・。なんか9月の頃と進歩ないなあ、私。きっと他の女の子たちだったら、もっと島崎くんと会話が弾むんだろうな。

「北条さん、背中にゴミがついてるよ・・・はい、とれた。-ねえ、そろそろ俺に慣れてほしいな」

「ああありがとう・・・・えっ?」

  低い声で付け加えた言葉。顔が赤くなってくる・・・でも確かにそろそろ島崎くんに慣れないと、いい加減失礼な気がする・・・。


読了ありがとうございました。

誤字脱字、言葉使いの間違いなどがありましたら、お知らせください。

ちょっと感想でも書いちゃおうかなと思ったら、ぜひ書いていただけるとうれしいです!!


夏休み明け(9月)から1月・・・どれだけ慣れるのに時間かかってるんだってツッコミはナシでお願いします。

来月は主人公が頑張って島崎くんに慣れる話を書きたい・・・書けたらいいな。

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