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席替え*honey  作者: 春隣 豆吉
席替え*honey
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ちなちゃんの考察-その3

 沙和から数学を島崎くんに教わることになった経緯を聞いたとき、その場面を想像して噴出しそうになってしまった。

 鈴川先生って、本人気づいてないだろうけど愛のキューピットじゃん!!でも、あのぼんやりとした顔(ファンの子からみるとイケメンな顔立ちらしい。ま、美意識は人それぞれだから)に天使の羽はちょっと私好みじゃない。やっぱり天使はラファエロの絵みたいに可愛くないと!!

 それはともかく鈴川先生は私の中では“ぼんやり天使”に決定。

 ぼんやり天使の矢に効果があったのか、沙和は以前ほど島崎くんを苦手にしなくなったようだ。だけど、それはあくまで“苦手”が薄れただけのようで、王子の気持ちはいまだに届いていないようだ。

 まあ、私は沙和から相談されて回答しただけだから、それが王子の壁になっているとしても私には関係ないことだ。だけど、こっちに厄災が降りかかることもある。


「村上さん、北条さんと島崎くんってつきあってるの?」

 美術部活動の一環である校内スケッチをするために廊下を歩いていると、同級生の女の子から声をかけられた。

 でも、この子は確か1年生のときに同じクラスで朝の挨拶くらいはしたけど、さほど親しくなかったよなあ。もしかして策士王子のことが好きなのか・・・趣味が悪いというか変わっているというか。

 あ・・・でも沙和が王子につかまれば、つきあうかもしれないのか。まあ腹黒策士なだけで、悪い人じゃないんだし。趣味が悪いってのは訂正だな、訂正。

 それにしても、なぜ私に聞く。

「へ?そうだったの?初耳~」

「初耳って、噂になってるの知らなかったの?」

「噂?」

「2人が図書室で一緒に勉強したり、放課後一緒に帰ってるから“放送部の王子様”に彼女ができたのか?って噂になってるんだよ」

 なーんか、うちの学校って平和よね・・・。一緒に帰るくらいで騒ぐなよ、小学生じゃあるまいし。

「へえ~、そうなんだ。でもさ男の子と一緒に帰るって放課後遅くなると結構あるよ。遅くなると男子が同じ方向の女子送るのが伝統じゃない」

「それはそうだけど・・・村上さん、本当に知らなかったんだね。なんか変な事聞いて、ごめんね」

「ううん、気にしてないから大丈夫だよ」

 私がそういうと、女子のほうもホッとした様子で廊下を歩いていった。

 うーん・・・それにしても、そんな噂がたっているとは。これが沙和の耳に入ったら真っ赤になるか真っ青になって全力で否定しそうだな・・・親友が変な噂でからかわれるのは面白くない。ここは王子に対処させたほうがいいかも。


 同級生とは反対方向に廊下を歩いていると、島崎くんを含む放送部の人たちが廊下を歩いてくるのが見えた。

 そういえば、今年の放送部は部員希望者が多すぎて、全員は無理だからって面接して選抜したらしく、“島崎くんってなんかすごいよね~。ビジネス書でも読んでるのかな”って沙和がしきりに感心してたっけ。

 まあ全員が活動をきちんとできるようにっていう配慮が一番なんだろうけど、本当にそれだけなんだろうか。

 現に、放送部の今年の新人は男子ばっかり・・・島崎くんと同学年の放送部員も男子ばっかり。うちの学校は基本的に男子が多いから別にいいんだけど・・・でも、今年の放送部の入部希望者って女子が圧倒的に多かったはず。

 あ、向こうも私に気がついた。島崎くんが他の部員に何か言ったらしく、彼だけ私のほうに近寄ってきた。耳に入れるのにちょうどいいわね。


「村上さん、なにやってるの?」

「校内スケッチの場所を探してるのよ。島崎くんは?」

「俺は体育館で放送設備のテストをしてきたんだ」

「そりゃご苦労さま。ところで、さっき変な噂聞いたんだけど」

「噂?」

「沙和が島崎くんとつきあってるって噂。そんな噂が立ってるのを知ったら、今後、あの子は島崎くんに近寄らないわね~。困るんなら自分でどうにかしなさいよ、王子様」

「なるほど、それは非常に困るな・・・わかった、何とかするよ」

 私がそういうと、島崎くんはちょっと考え込んだ後、黒さダダモレの笑顔を見せた。あ、なんか噂を流した人がいろいろ大変なことになるかも・・・と、私はほんのちょっぴり同情したのだった。

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