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幕間 男の戦い(笑)その4

「男の戦い」最終章です。本編とは時間軸平行のアナザーストーリーですが、主人公、煩悩に打ち勝つ!展開です。助けに来たのは・・・あの男。

拉致されて3日目が過ぎようとしていた。


 あの密着添い寝状態の1日目の夜を何とか無事に過ごした俺たちだったが、ついに3日目になって最大のピンチがやってきた。あの舞さんがトロンとした目で、しかも裸エプロン(パンツはTバック)で迫ってきたのだ。


「あふん、何だか体が熱い…なんか、変な気分だよ、もうダメだよ~大介~…」


(まさか…)俺は先程食べた食事を疑った。おそらく俺よりも舞さんのガードが固いと読んだ婆さんたちが、舞さんに媚薬を盛ったようだ。


「だ、ダメだよ!舞さん、しっかりしなきゃ!」


 俺は舞さんの両肩を掴んで揺する。少しでも正気になってもらわないと、こんなエロい格好で迫られたら、俺の方が変になる。それにこれは薬のせいに違いない。こんな正気を失った状態の彼女を抱いたりしたら、元に戻った舞さんはきっと悲しむに違いない。


「大介~お願いだから…抱いて…一度だけでいいから…お・ね・が・い!」


 そう言って俺の胸に飛び込ん来るではないか。スレンダーだがそそるボディライン。それに最強のメガネ!普通の男なら即、押し倒しである。ましてや、俺は天下の童貞君だ。この状況が絶体絶命。最終防衛ラインまで突破されつつあることを俺の熱い下半身が物語っている(笑)


「う、う~もう、限界だ~」


 俺は自分の頬を二、三発ぶっ叩いた。そして、シャワー室に飛び込んで、水を浴びる。座禅を組んで煩悩を払う。


「う~なんまんだ~みなり、みなり、みなり、みなり」


「ねえ~大介~来て、ここを開けて~一緒にシャワー浴びましょうよ~」


 外で媚薬で発情している舞さんの悪魔のささやきで誘ってくるが無視する。冷たい水ではあるが、体の火照りは収まらない。それでも俺は耐える耐える・・・。



 どれほど経っただろうか。舞さんの声がしなくなった。ガタガタ…という音と共に、天井から誰かが侵入してくる影がシャワー室の扉越しに見えた。


「誰だ!」


俺は全身ずぶ濡れ状態だが、構わず扉を開けて部屋に飛び出す。全身黒ずくめの男がそこに立っていた。


「誰だ、お前は!」


部屋には裸エプロンの舞さんが倒れて寝ている。どうやら薬が切れたようだ。


「しーっ。静かにしろ。島くん、ここから逃げたいのだろう?」

「あ、あなたは?」


「風魔の小太郎といえばいいかな?」

「風魔の小太郎?」


 そう言えば、美鳴のメールに度々登場していた謎の協力者である。彼のもたらす情報で、こちらも東軍への工作もすることができた。影の恩人でもある。


全身黒ずくめで、黒いマスクをしているので、顔は分からないが若い男であることは想像できた。


「君たちがいないと、西軍は負ける。さっさとここから逃げ出して戦線に復帰したまえ」

「美鳴は?西軍はどうしてます?」


「現在、伏見城攻城戦で苦戦中だ。史実通りだな。詳しくは後で話す。まず、お前はこれを着ろ。そんな格好で外に出ると警察に捕まる」


 そこで俺は初めて自分の姿を見る。パンツ一丁でずぶ濡れ姿。確かに、一発で通報だ。


風魔の小太郎は、舞さんを白いシーツで包むとひょいと抱えて、天井から垂らしたロープに捕まる。何やら手にしたリモコンスイッチを押すと、ぐい~んと上がっていく。


俺は風魔の小太郎に渡されたTシャツとパンツにGパンを履き終わると、ロープが垂らされて、天井へと上がることができた。


 驚いたことに、あの恐怖の「子作り部屋」は地下にあるらしく、天井から地上へと上がることができた。小太郎の案内で誰にも見つからず、建物の外に出ることに成功した。


俺は外に出ながら、俺たちが拉致されてから、現在までの状況を小太郎から聞く。


(美鳴の奴、作戦通りやっているようだが。やっぱり、素人集団の弊害が出たか)


 誤算は長谷家部の奴だ。アイツは高レベルキャラだから、率先して攻めかかるべきなのに、左近ちゃんがいないからといって、手を抜くとは…


(あとで左近ちゃんでお仕置きだ!)


「これは車のキーだ。車はゲームが終わるまで君に貸しておく。すぐ、美鳴のマンションに行きたまえ」


そう言って、鍵を渡された。アバルト500が置いてある。


「ポルシェほど性能は良くないが、学生には贅沢な車だろ」


そう小太郎は舞さんを後部席に乗せて出発をうながした。


「でも、俺たちが消えたら、また狩野家からの追っ手がかからないか?」

「たぶん、大丈夫だろう。あんな状態の彼女と一晩過ごしたんだ。たぶん、やることはやったと判断するだろうさ。まあ、実際、やったかどうかは、分からないが」


「いや、俺は…」

「あの状況で耐えるなんて、お前はある意味勇者だな。願わくば、あの少女の勇者であってくれ」


俺は車のエンジンをかけた。時間は夜の8時。


伏見城攻城戦三日目に間に合いそうだ。


ああ、やっと主人公が脱出!勇者としての凱旋です。でも、この選択、後でややこしくなるかも・・・です。

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