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伏見城は三日で落とすのよ!(四)

はい。「男の戦い」で順調に読者様が減っております。歴女に惹かれた女性読者様でしょうかね?ごめんなさい。

ということで、今回は、本編に戻る話です。三成が岐阜城に行くという史実はないと思いますので、この作戦会議はフィクションです。(織田秀信が三成の居城、佐和山城に行ったという話はありますが)


 ここは岐阜城の織田麻里おだまりさんの居室。ここで美鳴ちゃんと麻里さんの作戦会議が開かれている。


「それで美鳴ちゃん。家老の島左近はどうしたの?」


織田麻里は、岐阜城で美鳴を出迎えて、閉口一番そうたずねた。


「今、ちょっと所要でいないだけだわ!」


 美鳴としては、味方とはいえ、本当のことを話せない。左近が参加していないことが分かったら、西軍諸将に動揺が走るに違いないと思ったのだ。


「美鳴ちゃん~」


織田万里は、美鳴の手を取って、グイっと自分の方に引き寄せた。


「うそはいけないわ!」

「う、うそじゃないわ!アイツは絶対にわたしのところに帰ってくる!あっ…」


「ふふふ…しゃべっちゃったわね。でも、今ので大体分かったわ」

「何を?」


「ネットでは、左近が舞さんを連れて駆け落ちしただの、やっぱり怖くて逃げ出しただの、めちゃくちゃ書かれてるけれど、何かあったってことね」

「・・・・・・・・・」


「それともう一つ」

「・・・・・・・・・」


「島左近が女の子ではなくて、男の子だってこと。そして、あなたは彼が好きってこと」

「な、何言ってるの!わ、わたしがアイツをなんで好きなの!」


「ふふふ…そんなに慌てて、顔に出てるわよ。左近はわたしの王子様ってね」


 顔と言われて美鳴は、自分の顔を両手で覆った。かあ~っと熱が手に伝わる。


「まあ、なぜ、その美鳴ちゃん愛しの左近様が、現在いないのかは聞かないけれど、実際、彼がいないのはまずいわよ」


「そ、それは分かってます」


「伏見城の状況は知ってるの?」

「わたしは実質上の西軍の総大将です。常に西軍の状況は情報が集まってきます!」


 美鳴が言う通り、「戦国ばとる2」では、ゲーム上で通信網が遮断しなければ、通常の状態でもある程度の情報は普通に入ってくる。ましてや、大阪、京都と美濃に至るルートは現在のところは西軍の支配下にある。逐次、情報は美鳴のところに入ってきた。


「2日目を終わっての状況は最悪よ。戦い方を知らない人と消極的な人の集まりでは、落ちる城も落ないわよ」

「それは分かっています。何とかしなければとは思っています」


「で、その何とかの方策が思い浮かばないという訳ね」

「・・・・・・・・」


 織田万里は「はあ~」とため息を付いた。美鳴は頭の良い少女だが、今は心ここにあらずという感じで、発想にキレがない感じだ。よほど、左近がいないことが影響しているのであろう。


「例えば、今、大津城に向かっている立花瑠璃千代さんを伏見城攻めに加えては?」


「それはダメ。4万もの軍勢を差し向けた意味がないわ。瑠璃千代が早々に大津城を攻め落とすことは、このキャンペーンゲーム上、勝利の方程式の一つって、左近が言ってたわ」


「だけど、伏見城がいつまでも落ないとまずいわよ」

「それは分かってるわ」


「もうすぐ、江戸から東軍の先鋒がやってくるわ。数は4、5万ってところよ。ところが、今、美濃にいるのは私たちだけ。1万5千もいない」


織田万里は地図に駒を置いて、状況を確認する。


「敵はたぶん、この清洲城を本拠にしてこちらを攻撃してくるわ。さすがに今の戦力では私たちの負けよ。実際の歴史でも岐阜城はあっけなく落とされているから」


「それも大介から随分聞かされたわ。如何に早く、西軍主力をこの関ヶ原に集結させられるか。だから、伏見城は三日で落とせって言いました」


「言っただけではダメよ。このゲームでは、それを実行に移せる指揮力が必要だわ。あなたが出向いて、指揮を取るの!あの素人集団と腑抜け集団に喝を入れられるのは、今、現在はあなたしかいないわ。左近様がいないのだったら、あなたが行くしかないでしょう」


「で、でも。この美濃の平定が…」


「現在、大垣城、犬山城、竹の鼻城とこの岐阜城と着々と固まっています。私が守ってますから、しばらくは大丈夫です!」


「織田麻里さん…」

「大丈夫よ。あなたが行けば、伏見城は落ちる。そして、左近様もきっと助けに来るわよ」


「分かりました」


 美鳴はそう答えた。自分に何ができるか分からないけれど、明日は自分だけ伏見城へ行こうと思ったのだった。



美鳴姫、伏見城へ出向く・・・。3日で落とす計画もあと1日に迫る。これが西軍敗北の布石になってしまうのか。

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