表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
80/160

決戦前夜だからと言って、油断しないでね!(六)

まだまだ続く、長谷家部君とのデート編。女の子が出てこないのをお詫びいたしますです。はい。

「大介、ナイスだ。奴のハートをまた掴んだな」

と舞さん。


「私も旦那様にこんな可愛いアプローチしたいですわ」

と瑠璃千代。(可愛いか?これが?)


遠くで、

「もっとやれ~」「もっとくっつけアル」

と愛ちゃんと雪之ちゃんの声がする。


 映画の方は面白かった。鳥居強右衛門が武田勝頼の命令に逆らい、城に向かって援軍が来ると叫んで、槍で殺されてしまうシーンなど、歴史好きには感涙ものであった。俺が思わず目をウルウルさせていると、長谷家部の奴、急に俺の肩に手を回し、頭を軽く自分の胸の方に押し付けがった。自分の胸で泣けということらしい。


(キモいことするな、バカやろう!おかげで感動のシーンが台無しだ)


 長谷家部の奴ももらい泣きしているようで、でかい体育会系男子なのに目からぼたぼたと涙を流している。(マジか?)


 考えてみれば、コイツも悪い奴ではない。心がまっすぐ(下心もまっすぐだが)な純情でイイやつなのだ。そんな奴を俺は卑怯にもだましている。ちょっと心が傷んだが、どさくさに紛れて、俺のひざの上に手を置いたり、肩に手をかけてきたりと、映画館の暗闇の中で果敢にアプローチしてくる。その度に、手でさりげなく払い除けたり、ちょっとつねったりして防御する俺。だが、終いにいつの間にか、指を絡まされて手を繋いでいる自分に気がついた。


(うあっ!いつの間に?不覚じゃあ~)


 映画が終わって、長谷家部が予約したというイタリアンレストランへの向かう。


(こちら、左近。敵(長谷家部)は積極的。奴のペースに巻き込まれ中。どうぞ。)

(了解。旦那様。気をつけてください)by瑠璃千代

(そうだぞ、大介。くれぐれも男に触られてあっちの世界の住人になってしまうな)by舞さん


あっちの世界って…そんな世界は俺も長谷家部の奴もまっぴらゴメンだろう。


(あ、誰か近づいて来るぞ!)

 

 舞さんの声に俺は振り向く。長谷家部の奴に手をつながれて、ちょっと遅れ気味に歩いていたのだが、こちらに話しかけてきた3人の男。


「おい!長谷家部」

「ああ、先輩」


どうやら部活の先輩らしい。


「お前、デート中か?」

「うあっ、可愛い!この子、この前の写真の娘か?」

「やるな、長谷家部」


3人の屈強な男たちは俺たちを囲んでいる。


「あの、し、島です」

「知ってるよ。左近ちゃんだよね」


「コイツがいつも君の名前を叫んで練習しているからなあ」


どうやら、長谷家部の奴、いつもタックル練習時に俺の名前を叫んでいるらしい。


(最近、たまに悪寒がする時があったが、頼むからそんなキモいことしないでくれ)


 俺はあまり話さず、いじられている長谷家部と先輩のやり取りを見ている。俺にメロメロな長谷家部はともかく、あまり話すといくらハスキーボイスといっても、男だとバレル可能性がある。現に一人が俺の顔をじっと見て、何か思案顔である。


「う~ん。君、どこかで見たことあるんだよなあ…」

(はい。俺もあります。火曜の3限、フランス語の授業、一緒です)


語学の授業は少人数だから、顔を覚えられていても不思議じゃない。


「まあまあ、先輩。僕たちは昼飯予約してるところあるんで」


と長谷家部の奴が割ってはいる。(セーフ。思い出されたら困るところだった)

どうやら、長谷家部の奴、先輩が俺にちょっかいをかけてきたのだと思い、急いでこの場を離れようとしたいらしい。それは俺も賛成だ。


「も、守人さん、時間がないわ!」

「あ、ああ。そうだね、左近ちゃん」

「おーっ!お前、彼女に守人もりとさんと呼ばれているのか」

「やるねえ…長谷家部くん。新婚夫婦みたいだねえ」

「じゃあな。これ以上はお邪魔虫だろうからな」


 そう言って、3人の先輩は、グットラック!と言って別れた。3人とも片手の親指を人差指と中指の間に挟んだグーで長谷家部の奴を激励すると、長谷家部も同じ合図を送ったのを俺は見逃さなかった。


(コイツ、イイやつなどとは、前言撤回!下心丸出しの狼男じゃないか!)


今日は早々に帰らないと左近ちゃんの貞操が危ない。


体育会系の男子学生はだいたいこんなノリ・・・という感じで書いてみたのですが、その合図を見た女の子は1kmは引くでしょうね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ