挙兵前夜だからと言って、油断しないでね!(参)
主人公による味方の組織固め。まずは、自分に惚れている小西雪見ちゃん。この娘、過去とは決別して妙に真面目系なので、いい加減な対応するとあとが怖いぞ~
俺はそう言って、本日午後の日程をスマホで確認する。本日の午後は小西雪見と会う予定で、明日は朝から左近ちゃんで長谷家部の奴とデート?だ。雪見ちゃんはともかく、長谷家部とは会いたくない!
(はっきり言ってキモイぞ!)
だが、今、長谷家部の奴にバレたら…奴のことだ、西軍から脱退するかもしれない。いや、東軍と通じて戦の最中に襲いかかってくるかもしれない。気持ち悪いの承知で、奴の心を「左近ちゃん」に惹きつけておかねばならない。
(すべて、美鳴のためだ)
ううう…何でこんなことになってしまったのだろう。ネットで誘われて美鳴と出会ったのはほんの一ヶ月前である。自分がこんなに一生懸命に人に接したことは今までなかった。石田美鳴という少女に完全に俺自身がのめり込んでいる。まさか、この生意気で傍若無人で、ドSの女の惚れてしまったのか?いやいや、俺の好みはもっとお嬢様然とした…そうだ。
俺の理想は小谷吉乃ちゃんである。だが、美鳴とはもう3回もキスしてしまった。しかも、色気に負けて(美鳴の色気に負けるとはどんだけ、飢えてたんだ!俺)押し倒してしまった。既成事実はどんどん積み重なっていく。
(もし、これがギャルゲーだったら、こんな感じか?)
直江愛 親密度☆ 相思相愛度☆
真田雪之 親密度☆ 相思相愛度☆
狩野舞 親密度☆☆ 相思相愛度☆
立花瑠璃千代 親密度☆☆☆ 相思相愛度☆☆
小西雪見 親密度☆☆ 相思相愛度☆☆
早川秋帆 親密度☆ 相思相愛度 ?
浮竹栄子 親密度☆☆ 相思相愛度☆
小谷吉乃 親密度☆☆☆ 相思相愛度☆☆
そして、
石田美鳴 親密度☆☆☆☆☆ 相思相愛度☆☆☆☆
注:☆5つが最高評価
(う、う、う、うそだあああああああああ!)
ありえん!
親密度はイベント接触回数による。舞さんとは、二人きりで会ったのが二回。マッサージまでしてもらった。(ご飯も作ってもらっている)瑠璃千代とは、一晩過ごしてしまった。雪見ちゃんには告白されているし、浮竹さんとは、濃厚ボディタッチがある。吉乃ちゃんともいい雰囲気になったこと二回。
だが、美鳴はやっぱり、ぶっちぎりである。
すみません。
やっぱり、ヒロイン一筋ルートが確立されているようです。
そう頭の中でブツブツしゃべっていると、
「大介くん?」
不思議そうに小西雪見ちゃんが、俺の顔をのぞき込む。今は彼女とデート中であった。この元、レディースリーダー。昔の勢いは全くなくて、今は恋する無口モジモジ娘になっているから、会話が少ない。だから、頭の中で別のことを考えてしまう。
「大介くん…私…と一緒にいると…楽しくない…ですか?」
言葉を紡ぎ出すように話す雪見ちゃん。今は大学のカフェでお茶しながら、二人で戦国ばとる2をやっている。会話が続かないから、一緒にゲームしようということになったのだが、やはり、二人で黙々と敵を撃破するだけであった。
「いや、そんなことはないよ。俺たち、結構、連携がいいよな」
そんなこと言いながら、俺は1000人程度の足軽部隊で、雪見ちゃんの軍団をフォローしている。
「あの、わたし…諦めませんから…」
「何を?」
「このゲーム…石田さんのためなんでしょ…」
「あ、ああ…」
雪見ちゃんは、俺が美鳴のためにこのゲームに参加し、彼女に勝利をもたらそうとしていることは知っている。
「私が一番…一番、大介のために働ける…だから…」
雪見はグッと言いたいことを飲み込んだ。これを言ったら「重い女」に決定してしまうと思ったからだ。
(自分の働きで勝つことができたら、彼女は私一人にして!石田美鳴とは別れて!私がこの世で一番大介のことが好きで、好きで大好きなんですから!)
代わりにこんな言葉を口に出した。
「だ、大介くん…あの、私のこと…好きですか?」
雪見ちゃんにこんなことを聞かれた俺は、ゲーム画面上で敵300に対して銃撃を加えている最中であったから、その思いを真剣に受け止める発言ができなかった。好きか、嫌いかと言われれば、「好き」である。
「ああ、好きだよ」
俺にはLOVEではなく、LIKEの意味であった。
「あ、ありがとう!大介くん」
雪見ちゃんはうれしそうに言った。LOVEであると彼女は受け止めた。寡黙キャラのこの弾むようなセリフにもっと注意を払うべきであったが、俺はうかつであった。
それよりも、雪見ちゃんの元部下の娘たち(平塚為広、戸田重政 、朽木元綱、脇坂安治、小川祐忠、赤座直保を演じる。共に西軍に属する小大名)があまりに使えないので、どうしたものかと思案していた。彼女らは小西雪見の姉御を助けるためと称して、公募で応募してきたのだが、レベルも低いし、ゲームに対する熱意もない。かろうじて、雪見ちゃんを守ろうという意識だけはあるだけである。
こいつらは、有能な指揮官の下で働かせた方がいいだろう。雪見ちゃんの下では、彼女の身を案ずるばかりにゲームに集中しないと思ったので、俺はこの六人を小谷吉乃ちゃんの与力として付けることにした。吉乃ちゃんは、体の具合の関係でレベルがあまり上げられず、戦力も少ない。いくら彼女が有能でも兵数が少ないと威力を発揮できないからだ。
(これは美鳴に進言しておかないとな…)
俺は雪見ちゃんのLOVEな目線に気づくことなく、いい加減な返事で誤解させてしまった。もっと、上手な言い方で彼女を西軍の主力として味方にする方法はいくらでもあったのだが。
ギャルゲー表示、ぶっちぎりの美鳴ちゃん攻略コース。雪之ちゃんや愛ちゃんは初期にコースから外れたかな?吉乃ちゃんも合宿編から静かだし・・・。




