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アイドルも子役もみんなわたしの下僕だからね!(八)

ついに理性が吹き飛んだ主人公は、オオカミに変身!

美鳴ちゃん、ピンチ!

(これは人質作戦と同じだな)


 俺はそう思った。史実では西軍は大坂にいた東軍諸大名の奥方や子供を人質に取ろうとした。効果的な作戦であったが、ある事件で中止となった。ある事件とは…。


 細川忠興ほそかわただおきの正室、伽羅奢がらしゃの事件である。伽羅奢は、明智光秀の三女で、その才色は比類ないと言われた美女であった。本名は玉子たまこ。忠興は異常な愛妻家で、この伽羅奢を溺愛し、絶対に他の男に見せないようにしていたと言われる。石田三成がこの伽羅奢を人質に取ろうとしたとき、伽羅奢は屋敷に火を放ち、命を絶って人質にはならなかった。この事件のおかげで、三成は人質を断念し、関ヶ原の勝敗を変えた事件とも言われている。


「美鳴、付き合うってまではいかないけど、そのジョルジュって男をうまく説得すれば、妹がこちらにつく可能性がある。そんなに兄ラブなら、兄の言うことは何でも聞くはずだからな」


「大介がやれって言うなら、少しやってみようかしら。でも、あくまでも演技だからね。大介みたいに間接キスも許さないのだから」


「か、間接キスって…」

「わたし、見てたからね。あの勘違いマヌ彦にあ~んとか言っちゃって」


かあ~っと俺の顔が赤くなる。思い出したくもない人生の恥部である。


「それは、全部、お前のためにやったんだからな!あんなキモイこと、誰が好き好んでやるんだ!」


 俺はちょっと怒って言った。照れ隠しの意味もある。それを聞いた美鳴は目線を下にして、急にモジモジし始めた。


「じゃ、じゃあ…」

「ふん?」


「じゃあ、口直しをしてあげようか…」

「はあん?」


「口直しをしてあげようか!っと言っています」

「は、はい!」


「目をつむりなさい、大介」


俺は訳が分からず目をつむる。


 唇に優しい感触が伝わる。思わず目を開けると美鳴が俺に口づけをしている。美鳴はかっきり3秒後に唇を離した。


「女の子の方からするのって、勇気がいるんだから…感謝しなさい!」

「美鳴…」


 俺は呆然と美鳴を見る。タンクトップとパンツのきわどいというか、ほぼモロという美鳴の姿を見て、さすがの俺も理性が吹き飛んだ。


「み、美鳴!」

「ち、ちょっと待って、だ、大介、だめ!」


 美鳴の華奢な体をグイっと腕の中で抱きしめる。バタバタと暴れるのを押さえつけ、その場に押し倒した。うなじの匂いを嗅ぎ、舌を這わせる。ビクビクっと美鳴の体が反応する。


「美鳴、美鳴!」

「だ、だめえ~、大介、目を覚まして!」


タンクトップから美鳴の慎ましいハミ乳が顔を出す。それに思わず、口をつける。


「いやああああ~」


 美鳴の声が部屋に響く。だが、このマンションは防音がいい。誰も助けには来ない。だが、急に美鳴の抵抗が止んだ。所詮は華奢な女の子だ。男子大学生の前には抵抗は無理だと思ったのだろう。俺は美鳴に再び、口づけしようと顔を見た。


(な、涙…み、美鳴)


美鳴は顔を横に向けて目を閉じている。目からは涙が一筋流れていた。


(俺は…なんてことをしたんだ。欲情して、美鳴の気持ちもよく考えないで、押し倒して、ハレンチな行為までして…)


俺は美鳴の体から離れた。


「ご、ごめん!美鳴、ごめん」


美鳴はタンクトップの乱れを直して、涙を指でぬぐい、すくっと立った。


「気にしてないわ。大介も健全な男子ってことね。今度からは格好には気をつけるわ」

「本当にごめん!もう二度とこんなことはしないから…許してくれ!」


 俺は美鳴に土下座する。年下の娘に土下座なんて、なんて俺は軽いんだ。


「大介、二度となんて言わないで!その、あの、今はダメだけど…勝った時のご褒美なんだからね。それまで、お・あ・づ・け!」


「み、みなり~」


俺は顔を上げたが、ドSモードに入った美鳴は、俺の頭を素足で踏む。


「顔を上げないで!下から見上げたら、わたしのパンツ姿もタンクトップの下から胸も見えちゃうじゃない!このスケベの下僕が。そのまま、主君が着替えるまで、そのまま、固まっていなさい!」


俺は数分フリーズした。その間、美鳴はブラを付けて、色気も素っ気もないスウェット姿になる。


(おいおい、ヒロインがそんなダサい格好でどうする?)



美鳴ちゃんだとスウェット姿でも結構可愛いかもしれません。

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