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アイドルも子役もみんなわたしの下僕だからね!(四)

今回は東軍陣営の三人娘。それぞれ、特徴のあるプレーヤーに成長しているようです。東軍主力として活躍しそうです。

「どうです?レベルは上がってますか?」


 是清は自宅の豪邸の一角でレベル上げをしている自軍に編入予定のアナスタシアの女子学生の女の子たちに声をかける。黒田メイサに、細川ルシア珠希、福島帆稀の3人だ。3人とも順調にレベルを上げている。是清が熟慮したトレーニングプログラムで、効率的にレベルを上げ、3人ともレベル20に到達していた。


(3人とも思ったより、順応がいい。特に黒田嬢は、冷静沈着なゲーム運び、時には犠牲を厭わない決断力がある。賢い人間は何やらしてもうまくやるものだ)


 アギトはそう黒田メイサのこれまでの戦いぶりを評価している。戦術面だけでなく、彼女には戦略的な駆け引きの能力も天性のものがあると見ている。

そして、細川ルシアと福島帆稀は、黒田嬢ほどのクレバーな戦いはできないが、すさまじいほどの攻撃的なスタイルで、迷うことなく敵陣に突っ込み、虐殺とも思える戦いぶりに満足していた。使いどこを謝らなければ十分に使える戦力になると踏んでいた。


 黒田メイサは、石田美鳴を倒すという名目でこのゲームに参加している。勉強ではかなわない…と東宮院是清に指摘され、何が何だか分からないうちに彼の陣営に加えられてしまった。ゲームも(たかがゲーム、お遊びでしょ!)と思っていたが、これが意外と奥が深く、知恵と判断力、洞察力がなければ、勝利することができない。


(これであのと競い合い、完膚なきまで叩き潰せれば、私の気持ちは晴れるのかしら…)


 今日も敵を蹴散らし、メイサはゲーム画面から視線を離した。隣ではルシアが戦っている。お嬢様然としているルシアであったが、ゲーム上は凄まじい猛将であった。そして、いつもはお嬢様然している口調が激しく変化している。


「そりゃあ!死になさい!死になさい!そこだ!鉄砲隊、てーっ!」


完全包囲した敵に細川隊は無慈悲の銃撃を加える。相手方は、降伏するという申し出をしてきたが、答えは「否」。


「くくくっ…私の前にひれ伏すがいい。このクズどもが!それ、騎馬隊で踏み潰すのよ。草一本も残すな!すべて、狩りつくせ!」


ゲーム画面上で敵方兵士が断末魔の声を上げて倒れていくのを、ケタケタと笑っている。


(この壊れてるんじゃあ…)


メイサは心配そうにルシアを見る。この金髪の年下の娘は、敵が全滅したのを確認すると、急にテンションが下がる。ぶつぶつと、小声で、


「お兄様…大丈夫ですよ、お兄様。お兄様には、この可愛い妹、愛するルシアが付いています。石田美鳴など、ギタギタにしてやりますわ~」


とつぶやいている。視線は一定せず、心はここにあらず…という状態だが、是清に教わったとおりの戦術で、巧みに兵を動かし、敵を殲滅していく。


 圧巻は、福島帆稀ふくしまほまれ。彼女には立ち止まって考えるという思想というものがない。一直線で敵をなぎ倒す。ただそれだけである。防御は完全無視。突撃陣形で敵の真っ只中に突入し、阿修羅のように敵を切り殺す。おかげで、帆稀自身の一騎打ち能力は飛躍的に向上し、彼女の部隊も攻撃力だけに特化していた。


「是清様のためだ。美鳴を殺す!あいつをあたいの前に土下座させるんだ!」


 勝ちが確定し、これ以上は無意味と思ったメイサは、残党狩りに血眼で挑む帆稀や、ぶつぶつ何かしゃべっているルシアを無視して、


「東宮院さん。もうそろそろ、お暇したいのですが。予備校の時間が迫ってますから」


とコントローラーとゴーグルを外して立ち上がった。今日のレベル上げノルマは達成したのだから、帰るのが当然であった。だが、是清はまあまあと手でそれを制した。


「まあ、メイサちゃん、ちょっと、待って。予備校へはリムジンで送らせるから。紹介したい人がいるんだ」


そう是清は3人に新しいメンバーを紹介した。


藤堂魅兎蘭とうどうみとらさんだ。」


 メイサが是清に呼ばれて入ってきた人物を見る。市内の程度の悪い高校の制服をさらにだらしなく着崩した女子校生がそこに立っていた。まだ、帆稀の方が上品なアナスタシアの制服がベースだけに、救われるとメイサは感じた。つまり、彼女としてはあまり見たくない姿である。


「ふん。こんなゲームであねさんを取り戻せるものなのか?」


3人のアナスタシアの生徒を見て、魅兎蘭はちょっと不機嫌になった。こいつらとは馬が合わねえ…と生理的に嫌っていた。


(なんで、こんないけ好かない男のところへ来てしまったのだろう)


少し魅兎蘭は、後悔していた。


ルシアちゃんは、典型的な兄ヤンデレ。こ、怖い~。狂気です。ホラーです。

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