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わたしと一緒に挙兵するの!しなきゃいけないの!(参)

狩野舞さんに小西雪見ちゃんと、主人公の周りに吸い寄せられるように、女の子が集まる、集まる。これで西軍は安泰!?

 美鳴はまた俺と目が合うと慌てて目をそらした。あとは、舞さんとたわいもない話をして用事があるからと早々に退出する。まるで嵐が去ったように急に静かになった。瑠璃千代も、


「それでは旦那様、瑠璃千代も稽古があるので帰ります。後ほど下宿の方で…」


と部室を去る。あとに残ったのは舞さんと俺だけだ。


「なあ、大介」

「な、なんですか?」


(え?舞さんって、俺のこと、お前とか呼んでいたはずだが…名前で呼ばれると新鮮だ)


「大介、美鳴となんかあった?」

(す、するどい…)


「いや、別に変わりないけど」

「そうかなあ。美鳴の奴、大介のこと、かなり意識してるんじゃないかと思うのだが。明らかにこの前の合宿の後から」


「いや、前からあんな感じじゃなかったけ?」


 俺は言葉を濁した。あの暗い部屋で抱き合ってキスしたのは事実だが、それ以上はしていない。キスも美鳴とは2回目だ。でも、なんで舞さんがそんなことを言うのだろうか。そういえば、舞さんとは、パーティで子作りがどうの…と話してから、二人きりで話をしていない。なんだか沈黙が重苦しい。


「お、俺も用事があるんで帰ります」

「わ、私も用事があった」


そう言って、二人で立ち上がり、帰り支度をする。


 校門を出た俺は舞さんと分かれて、例の体育館裏の更衣室で着替えをする。こんな格好で長谷家部の奴に出会ったら、デートをせがまれて大変なことになる。なにしろ、メールならともかく、喋れば男だってバレル可能性が高い。(今のところ、ハスキーボイスということでバレてはいないが)それなのに美鳴の奴、女装して来いというのだ。バレたら長谷家部の奴が離脱しかねない。なにしろ、あいつは左近ちゃんに惚れて参戦しているのだ。


元の姿に戻った俺は、大学の門のところで、久しぶりに小西雪見ちゃんと出会う。どうやら、俺が来るのを待っていた素振りだ。この学生が多い巨大な大学でこういう古典的な待ちをするとは、奥ゆかしい。雪見ちゃんとは、この前、ヤンキー娘の軍団に囲まれて以来である。


「あ、あの…大介くん。この前は…」


相変わらず、恥ずかしそうに話す雪見ちゃん。


「いやあ、君があのレディースのリーダーだったなんて」

「み、ミトラの奴、大介くんにしゃべったのね!あいつ、お仕置き…」


俺は慌てて手を振る。


「いやミトラちゃんには、俺が無理に聞いただけで…」


 なぜか、あの蓮っ葉な少女をかばう俺。というのも、あのおとなしいイメージの雪見ちゃんの目がらんらんと燃えていて、このままではあのミトラちゃんが、雪見ちゃんにヤキを入れられないからだ。


「大介くんは、元レディースのヤンキー娘は好みではないよね…」


消え入りそうな声で言う小西雪見ちゃん。


「いや、俺は元気な女の子は好きだよ」

「ほ、本当?」


 急にパッと顔が輝く。どうやら、元ヤンキーという経歴がバレて気に病んでいたようだ。正直、俺は女子の過去は気にしない。要は現在なのだ。


「わ、わたし、昔はやんちゃだったけど、今は女の子らしく心がけているし、少しでも大介くんの役に立ちたくて…」


そう言うと、雪見ちゃんは、はスマホの画面を俺に見せる。よく知っている「戦国ばとる2」の画面である。レベル36で登録してあった。そして関ヶ原キャンペーンに参加を申し込む画面である。


「雪見ちゃん、そのゲームやってたんだ」

「は、はい。大介さんがこのゲームお得意だと聞いてたので、いつか一緒にやろうと」


 レベル36というのが半端ない。たぶん、だいぶ前からやっていたのであろう。少しでも俺と一緒にやろうと思ってがんばったに違いない。


キャラ選択は「小西行長」肥後半国、24万石の大名だ。史実でも石田三成の友人として、西軍主力として行動を共にする。


「わたしが大介さんのお役に立つことを証明します。今は大介さんの周りには、アナスタシアの女子高生とか、和服美人さんとか、いるけれど、わたしが一番、大介さんを愛していることを戦いで証明してみせます!」


 最後は元ヤンキーが出たのか、いつもの寡黙キャラとは違い、長い言葉で堂々の恋人宣言をする雪見ちゃん。俺自身は本命は吉乃ちゃんと思っているのだが、美鳴とは急接近してるし、舞さんは態度が軟化しているし、瑠璃千代は押しかけ女房だし、ここで小西雪見ちゃんまで加わるとまるでハーレム状態であるが、この時の俺は例のごとく、ゲームに勝つことに気が行っていて、女の子の気持ちを考えてやることができなかった。


これが後に大変な事態を招いてしまうことになる。


舞さんの態度も微妙。もしや、主人公に・・・。雪見ちゃんには、好きだよ!なんて誤解されること言っちゃってるし。美鳴ちゃんが聞いたら・・・ヤバイ。

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