表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/160

わたしと一緒に挙兵するの!しなきゃいけないの!(弐)

ついに美鳴ちゃんに最大の支援者が現れます。これで総兵力ではなんとか東軍を上回りそうです。

「安国寺弁護士は、若手でも優秀な弁護士さんで、あのスーパーマーケット大手の毛利屋の顧問弁護士兼経営アドバイザーをしていらっしゃるの」


 毛利屋といえば、この地方を中心に全国展開しているから誰でも知っている店だ。


「わたしの会社も毛利屋とは、昔から取引しているお得意様よ」


美鳴が補足する。だが、俺には事情が飲み込めない。美鳴の会社のお得意様が、どうして朗報になるのだろうか?だが、その疑問も安国寺弁護士がキレの良い説明で解決に至る。


「つまり、東宮院の次のターゲットが毛利屋ということで、その防衛のために西軍に加担するということ?」


「そうです。すでに水面下で株取得の攻防戦が続いていますが、今のところはこちらが優勢です。ですが、もし、ストンデングループが買収されれば、その利益で毛利屋も買収される危険があります」


 安国寺弁護士は、B5サイズの携帯端末の画面を俺たちに見せる。毛利屋の株が急上昇しているグラフがある。買いが増えているのだ。


「ですが、安国寺さんっていいましたっけ?私たちがやっているのは、ネットゲームで」


舞さんが言いかけたら、間髪いれずに、


「知っています」


 このお姉さん、言葉尻がキツイ。綺麗な顔をしているのに隙がない感じである。どこかエロっぽい浮竹さんとは、正反対である。


「実際の会社買収を巡る抗争が、ゲームで代弁されるなんて馬鹿げているけれど、これが経済界の裏の首領どんの意志なら仕方がありません」


「裏の首領どん?」


五代帝治郎ごだいていじろう、と言ってもあなたたちのような学生さんは、聞いたことないかもしれないけど…」


 俺はどこかで聞いたことあると思った。昔、政治家との汚職事件で名前が取り上げられたことを思い出したのだ。かなりの年寄りのはずだ。


 安国寺弁護士の話は、この前、浮竹さんから聞いた話とリンクしていた。美鳴の実家の乗っ取りにネットゲームの結果でもって決めるというふざけた話だ。乗っ取ろうという東宮院という男も憎いが、その五代というジジイも許せない。


「ですけど、ある意味、リアルでは対抗手段がないといっていい状況で、これは石田さんにはチャンスです。そして、我、毛利屋がこれに加担すれば、逆転も可能です」


(毛利屋が加担?ゲームにか?)


俺は話がまだ飲み込めない。そもそも、こんなお堅い弁護士さんが、ネットゲームなど理解できているとは思えないのだ。


「毛利屋の毛利元輝もうりげんき社長は、このゲームのマニアでいっらしゃいまして、

ネットゲーム上では、120万石の大大名を演じていらっしゃいます。関ヶ原では毛利輝元もうりてるもととして、3万人以上の兵力を動員できますわ」


「さ、3万!」


 たぶん、配下の部隊を合わせると5万はくだらないだろう。これは確かに朗報である。兵力的には東軍を上回る。


「但し、我々も表立って東宮院の敵になるには、勝てるという確証が必要です。今晩、毛利屋主催のパーティにメンバー全員、参加してほしいのです」


安国寺弁護士は、そう俺たちを誘った。毛利屋の経営陣に俺たちを見せるらしい。


「しかし、ホント、女の子ばかりね」


安国寺さんは、部屋を見回し、俺と瑠璃千代、舞さんを見てそう言った。


(女の子?おおおおおっ!)


すっかり忘れていたが、アナスタシア高等部にいるのだから、俺は今、女学生の格好をしている。つまり、左近ちゃんであった。


「特に、名軍師で美鳴ちゃんを支えている人が、美鳴ちゃんに負けない美少女とは、イメージが合わないわ~ちょっとハスキーな声がキュートだし」


安国寺さんが、ネット上の俺の調査をした画面を見ながらそう言う。

そりゃそうだ。俺もびっくりするだろう。だが、今更、男なんて言えない。恥ずかしすぎる。黙っていればバレないだろうから、俺は騙し通すことにする。


「それでは、美鳴ちゃん。明日の午後7時にね」


そう言うと、安国寺さんは部屋を出て行った。美鳴はそれを見届けると、


「これで兵力的には、東軍と均衡するわ。あとは、作戦次第ね。それから、舞、明日は佐和山城に集合。リムジンを回すわ。大介は左近ちゃんで参加よ。あと、あの勘違いマヌ助くんも呼ぶといいわ」


と勝手に俺に恥ずかしい格好のまま出るように命令しやがった。勘弁してくれである。


 しかも、長谷家部まで連れて行くとなると、ちょっとヤバイ。奴はここ2日間、毎日のようにメールをしてくる。会いたいだの、ドライブ行こうよだのしつこいのだ。それを誘うとなると奴は嬉しさのあまり俺に抱きついてきやしないかとヒヤヒヤもんだ。


勘違い野郎の長谷家部くんとパーティに参加することになる主人公。恐ろしいできごとが待ち受ける?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ