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わたしと一緒に挙兵するの!しなきゃいけないの!(壱)

だんだん、メンバーが集まってきたとはいえ、まだ有力大名の参戦は少なし。

そんな美鳴ちゃんの下に、ある人物が接触してきます。

(美鳴を守るために…)


 美鳴から今回のゲームの真相を聞いた俺は、翌日から勝つためにあらゆる手を尽くそうと努力することにした。無論、これまでも努力はしていたが、俺自身、どことなく本気ではなかった。例え、美鳴のような美少女を「1日自由にして良い」という条件はあったにせよ、あまり現実的には思えなかったのだ。


 今は何とかしてやりたいという強い思いが俺の心を突き動かしている。あの晩、美鳴とは2回目のキスはしたとはいえ、一線を超えることはなかったのだが、思ったよりも華奢に感じる美鳴の体をいつまでも抱きしめたいと思ったのは事実だ。


だが、相変わらず、ネット公募上では西軍参加希望者は0であった。歴研メンバーの他には、長谷家部と浮竹さんだけである。まだまだ、東軍と戦うには力不足である。合宿でメンバーはそれぞれ、レベル15までは引き上げることができたが、もうレベル上げも頭打ちであることはこのゲームの知り尽くしている俺は知っていた。俺や瑠璃千代のようなレベル50に到達するには、少なくとも1年以上はかかる。


レベルが上がるにつれて、簡単には経験値が稼げなくなるからだが、逆に言えば、ゲーム上のキャラよりも操作する人間の方の戦略、戦術の方が重要になってくるので、レベル20程度あれば、充分、レベル50と戦えるのだ。


(無論、レベルが高いに越したことはないが…)


「やはり、勝つためにはメンバーがまだ必要だ」


 俺はパソコン画面を睨みながら、そうつぶやいた。ここはアナスタシアの歴研の部室である。合宿から帰って2日後の午後であった。セミの鳴き声がミイミイと窓の外から聞こえる。


「そんなことは分かっているさ。だが、信用できる相手じゃないと仲間にはできない。お前、あの浮竹ってOL、信用できるのか?」


 そう舞さんが赤いメガネをちょっとだけ上げて、険のある目つきで俺をチラリと見てそう言った。どうやら、あの浮竹さんの一件を彼女も根に持っているようである。部室にはまだ、雪之ちゃんと愛ちゃんは来ていない。瑠璃千代がエプロン姿でお茶を入れてくれる。


冷たい麦茶をググッと飲むと、突然、


部室のドアがバン!


と開けられ、聞きなれた声が部屋中に響いた。


「みんな!朗報よ!」


「ウプッ…」


危なくお茶を吹き出すところだった。


 入ってきたのは美鳴の奴。あの夜、俺と抱き合ったが、もうそんなことは忘れてしまったかのように次の日から、今までと変わりない態度であった。だが、美鳴は部屋の俺と目が合うと慌てて目をそらす。顔がほんのりと赤くなったような気がした。


「ろ、朗報って何だ?」


俺は瑠璃千代が差し出すハンカチで口をぬぐい、美鳴に尋ねる。ふと見ると、美鳴の後ろに黒いスーツに身を包み、黒いサングラスと携帯端末を持ったスレンダーな美女が立っている。年は30代前半ってところか。


「こちら、弁護士の安国寺さん」

「べ、弁護士?」


 俺と舞さんと瑠璃千代が同時に声を上げる。


「毛利屋の顧問弁護士、安国寺恵あんこくじめぐみです」


そうこのインテリ女性が名刺を差し出した。


来ました、来ました・・・毛利屋の弁護士、安国寺恵あんこくじめぐみさん。

実際の関ヶ原でも西軍の旗頭となる毛利120万石の外交担当者、安国寺恵瓊あんこくじえけいが挙兵には力を貸しました。このめぐみさんも活躍する?

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