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そんな年増より、わたしの方がピチピチしてるでしょ!(四)

ついに美鳴ちゃんの大変な理由を知ってしまう主人公。これは、何がなんでも負けられなくなりました。生意気だけど可愛い美鳴ちゃんを渡すものか!

島君へ

この女性、信ずるにたるものだ。

同志として共に戦うことをオススメする。

風魔の小太郎


(風魔の小太郎…)

前に美鳴にメールを寄越してアドバイスした奴だ。


「陰ながら、あのお嬢さんに力になろうという人は多いのよ。この風魔の小太郎もそう。秀吉様や島津維新様もそう」


栄子さんは酒に酔ってほんのり赤くなった顔を俺に向けた。


「分かりました。1万8千の兵力は捨てがたい。栄子さんを信じます。お願いです。美鳴を勝たせてやってください」


「よく言った!それでこそ、男子!」


そう言って、栄子さんは右手を差し出した。俺はそれを握る。契約成立だ。


「わたしは、直前になって西軍に参加するわ。早くから陣営に加わると、東宮院に奴に邪魔されるかもしれないから。話がついたら、何だか眠くなっちゃったわ」


そう言って、栄子さんはカウンターにうつ伏せになる。さすがにテキーラ3杯は効いたようだ。


 俺はこのセクシーな女性を抱えて部屋に戻ることになるが、部屋に入るところを美鳴に見つかってしまい、ホテルの廊下に正座をさせられてしまう。


「浮気は厳罰です!廊下引き回しの上、さらし首!」


と美鳴の奴、高らかに宣告する。年下の女の子に命令されて部屋の廊下に正座する俺。


栄子さんは瑠璃千代や舞さんが、ベッドに寝かしつけてくれたようだ。


「まったく、男は目を離すとすぐこれなんだから!」


プンプン怒っている美鳴。正座している俺の前に腕組みして右足で床を叩いている。完全に寝る格好で大きめのTシャツらしきパジャマを頭からかぶっただけだから、すそが超短い。ミニスカ状態だ。


(おいおい、もう少しでパンツが…いや、チラリと見えた!水色縞パンだ!)


なんて表情にも出せない。美鳴の目はメラメラと燃えている。


「なあ、美鳴、俺は無実だって。あの女性、栄子さんが…」

「栄子さんですって!名前で呼んでずいぶん親しいですこと!」


「いや、そういうわけでは…」

「そういうわけです!酔った大人の女性を部屋に連れ込もうとしたのは事実でしょう」


「いや、俺の部屋じゃなくて、彼女の部屋に連れて行っただけで…」

「部屋は関係ありません。わたしは神聖なる歴研の合宿中に破廉恥行為をしようとしたことを問うています!」


「いや、美鳴、声が大きい。他の人に迷惑だ」

「じゃあ、こっちへ来なさい!」


 美鳴の奴、俺の手を引っ張って自分の部屋に連れて行く。俺たちの部屋とは違い、広い部屋だ。正面に大きな窓から海が見える。そこでも俺は正座をさせられる。


「そこで反省しなさい!」

「なあ、美鳴」


「な、なによ。謝罪の言葉でも述べる気になった?」


 俺は部屋に二人きりになったことをチャンスだと思い、栄子さんから聞いたことを美鳴に確かめることにした。


「関ヶ原のキャンペーンで負けたら、お前は結婚するって本当か?」

「だ、大介、それ誰から聞いたの?」


「誰でもいいじゃないか!それは本当なのか!」


俺は立ち上がり、美鳴の両肩を掴んだ。掴んだ両手に美鳴の体の震えが伝わる。


コクリ…とうなずいた。


「会社のために結婚するのか?」


俺は畳み掛ける。そんなデタラメがあっていいものか。結婚は好きあった者同士がすることだ。それに美鳴の奴、まだ、高校生じゃないか!


「い、痛いよ…大介、強くしないで」


 美鳴の右手が俺の左手に添えられる。その顔に涙が一筋流れていく。


「このことを知らなかったのは、俺と瑠璃千代だけか?舞さん、吉乃ちゃん、愛ちゃん、雪之ちゃんは知ってるのか?」


「歴研のメンバーは知ってるわ。彼女らは東宮院の正体を知った上で、危険を承知で参加してくれているわ。でも、大介にすべて話して…もし、もし大介がいなくなったら」


 俺は美鳴をぐっと抱き寄せる。ギュッと右手で彼女の後ろ髪を抑える。


「俺がすべてを知ったら、逃げだす男と思ったか!」


美鳴は俺の胸に顔をうずめて泣いているようであった。


(美鳴の奴、こんなに小さくてか弱かったのか?)


 俺は何だか、彼女の意外な一面を見たような気がする。いや、こっちの美鳴が本物なのかもしれない。気丈に振舞っているのは、この戦いにすべてをかける気持ちに勇気を与えるためなのかもしれない。


「俺が守ってやるから…」

「大介…」

 

 俺たちはそのまま、膝を折って抱き合った。灯台の光が時折、カーテンを閉めていない窓から入り、真っ暗な部屋を照らし出した。抱き合った2人の影が長く伸びる。やがて、その影の頭が動き、重なっていった。


ラストシーンは美しい感じで終わりたかったのですが、文才不足ですね。


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