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わたしの水着姿で士気を高めなさい!(六)

今回は戦闘シーン。敵の援軍1万が近づきつつあり、それと相対する美鳴ちゃんたち。主人公の戦術が試される!

 だが、敵軍もこのままでは終わらない。この戦場に1万もの援軍が近づいていると伝令からの報告が入る。


(画面上が赤くなり、警告音が鳴るのだ。物見の兵が報告するCGが表示されるのだ)


「敵、およそ1万、まもなく画面に現れます」


舞さんが叫ぶ。急いで軍の再編を急がないと、圧倒的な敵軍に各個撃破されてしまう。


「全軍、わたしの軍の側に集まって!」


美鳴が命令をする。

全軍集めても6000程しかいない。


(愛ちゃんの直江兼続は、主君である上杉軍と行動しているので、別画面で戦闘中であった)


 シナリオのバランスからいって、こちらにも援軍が来ることもあるが、必ずとは限らない。このシナリオの勝利条件は、120分間の戦闘中に現れた敵軍を撃破することであった。敵をすべて倒せば、完全勝利だが、ポイント制で50%以上なら、一応辛勝もある。これまでの戦いで、この1万の軍を撃破しなくても辛勝には到達するぐらい、ポイントは稼いでいるはずだ。ならば、軍師としての意見は1つだ。


「姫、ここは防御に徹して、時間を稼ぎましょう。必ず、勝てます!」


有利な地形に陣を設営し、残り時間(40分程度)粘れば、勝てるのだ。無理をしなくてもいいはずだ。


「あんた、ばか~?」


美鳴の奴が軍議をしている机に片足を乗せた。


(お、惜しい!もう少しで、ちらっが…)


「バカって、これが確実な勝ち方だ。軍師として危ない橋を渡る方法は進言できない」

「つまらないわね!左近、わたしは敵を全滅させたいの!完全勝利以外、勝利ではないわ!」


 パチパチと瑠璃千代と舞さんと雪乃ちゃんが手を叩く。吉乃ちゃんは、ダメだわ…という表情だ。そうだ、こいつら、先頭になると熱くなっちゃう傾向があったわ。


「左近、敵と戦い殲滅するのは決定事項よ!それを前提に作戦を立てなさい!」

(くそ!)


俺は作戦画面のウインドウを開く。近づく敵はおよそ1万。3つに分かれて進撃中である。まともに戦っては敵の方が数が多いから、不利になるのは間違いない。だが、こちらも時間が経てば、愛ちゃんの直江兼続や長谷家部の長宗我部軍が現れる可能性もある。それを考慮し、急いで作戦を指示する。


「まずは、敵の右翼を分断する。雪之ちゃんは、囮になって敵をこの森に引き付ける」

「はいアル」


「ここに舞さんの鉄砲隊を配して、敵に一斉射撃後、吉乃さんと瑠璃千代で敵を殲滅する」

「なるほど。敵は3000だから、我が軍が若干上回ります。さすがは旦那様」


瑠璃千代が俺の作戦プランを聞いて感心する。


「俺と美鳴は、敵の本軍と左翼を一手に引き付ける。ここの地形で戦えば、こちらが包囲されることなく、なんとか持ちこたえられるはずだ」


「わたしがいるんですもの、十分だわ!」


 美鳴の奴、強気である。だが、敵の7000に対して、こちらは半分以下の3000だ。敵右翼を撃破した瑠璃千代たちが、背後から敵軍を攻撃してくれないと負けである。


「愛ちゃんや長谷家部が到着すれば、完全勝利を狙えるが、そうでなくても辛勝には届くはず。悪くても引き分けは狙いたい」


そう発言したが、俺には心配事があった。敵がこの1万でおしまいなら…という条件である。これ以上、敵に援軍が来たらアウトになる。


「分かったわ。それじゃあ、みんな布陣して!作戦モードを解くわよ」


それぞれが布陣を完了する。戦闘開始だ。


 まずは雪之ちゃんの真田幸村が、「疾風」で敵右翼に近づく。右翼部隊が真田隊の数が少数と見て、これに向かってきた。


「かかったアル。ここまでおいでアル!」


急いで方向を変えて逃げる真田隊。敵右翼3000は、逃がすまいと追撃する。だが、さすがに怪しいと感じたのだろう。本隊の視認エリアから離れると逃げる真田隊の追撃をやめる。


「あちゃあ~ダメあるな。ちゃんと付いて来ないといけないアル!」


真田隊は立ち止まって弓隊150で射掛ける。小ダメージをくらった敵右翼部隊は、それで怒り狂って追撃を再開する。


「右翼は陽動に引っかかって、雪之ちゃんの部隊を追い回している。ここまでは予定通り。問題は、美鳴、俺たちだな」


「ふん。わかっているわよ!」


「よし、十分引きつけろ、まだだ!まだ、よし、撃てえええええ~」


俺は配下の鉄砲隊300に射撃を命じる。バンバン、バーンと煙が上がり、突撃してきた敵の騎馬隊を打ち落とす。


「美鳴、今だ!」

「左近、姫でしょ!もう!主君を主君とも思わないんだから!」


「いや、だから、今はゲーム中の緊迫したいくさの最中で」

「こういう時だから、主従の関係をはっきりさせないと!」


(おいおい、何、へそ曲げてんだ!このお姫様は!)


と思ったが、今、美鳴が動かないと機先を制することができない。


「分かりました、姫、我が主君、我がハイネス殿下!攻撃をお願いします」

「ふふふ…よく言えたわ、左近、わたしの力見て、わたしを敬いなさい!長弓隊、攻撃用意、撃て~!」


美鳴の弓隊500が矢を雨あられと連射する。敵は大混乱に陥る。


(ふう、なんとか間に合った、あのお姫様め!)


 俺は次の攻撃命令に移る。騎馬隊200と共に自ら打って出るのだ。敵が混乱中だから、少しでも兵力を削るのを目標にする。


「者共、俺に続け!」

「おおおおおおっ!」


敵兵に突っ込む。敵の前衛1000程の集団は総崩れである。逃げる敵をバッサバッサと斬りまくる。この地形は両翼を囲まれているから、大軍に包囲されることはない。正面の同数程度の敵と戦えばよいのだ。こちらの目論見は時間稼ぎなのだから。


「よし、これくらいでいいだろう。次が来るぞ、一旦退く!」


俺は200の騎馬隊を引っ込める。追撃してきた敵を美鳴の弓兵と俺の鉄砲隊が連射して撃退する。序盤戦にしてまずまずの展開だ。



なんやかんや言っても、美鳴ちゃんと主人公、だんだん、連携がよくなっていきます。実生活も仲良くやればいいのですが。

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