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わたしの水着姿で士気を高めなさい!(五)

今回、レベルアップと同時に特殊能力を覚える歴研メンバーの面々。ヒロインには特別な能力が付与されるのが常ですが・・・。

「あれ?お兄ちゃん、幸村レベルアップしたアルが、変な画面が出たアル?」


 戦場の左翼で2千の兵を指揮している雪之ちゃん操る真田幸村が、レベルアップして何やらメッセージが出た。レベルアップ自体は別に不思議ではない。レベルアップすることで自分のHPや軍の統率力などの数値が上がり、戦闘を行う際に有利になっていくのであるが、雪之ちゃんのステータス画面を見ると、


「疾風」を覚えました。


「ああ、それはランダムで覚える特殊能力だよ。<疾風>は自分の軍勢を2倍のスピードで操れるんだ。決定を押せば、画面は消えるよ」

「ふむ。そうアルか」


雪之ちゃんが決定のクリックを押すとピロリン…と音がした。


極疾風ごくしっぷう」を覚えました。

縮地しゅくち」を覚えました。

嵐擊らんげき」を覚えました。


と3つのメッセージが出る。


「うそ!」


俺は思わず、雪之ちゃんの画面を見た。


(こいつは超レアなケースだ。確率で言えば、宝くじ1等レベル)


極疾風ごくしっぷう」は疾風の3倍。通常より6倍で動ける。これだけでも、戦術面ではかなり有利な戦いをすることができるのだが、「縮地しゅくち」は、さらに凶悪である。瞬時に敵陣に現れ、瞬時に退却することも可能。一撃必殺である。


 もちろん、対抗策もあるから100%勝てるわけでもないし、敵が大軍だと失敗して取り囲まれて終わるというケースもある。が、いずれにしても雪之ちゃんの真田幸村のレベルでは破格の能力付与である。


「あ、私もレベルアップしたみたいだ」


舞さんもチロリン…とレベルアップの音が鳴る。こちらは、


「一斉射撃」を覚えました。

「一点集中射撃」を覚えました。


 2つの能力を付与されていた。「一斉射撃」は舞さんのレベル(LV10)なら、そろそろ、覚える頃合で不思議ではないのだが、「一点集中射撃」はめずらしい能力だ。鉄砲隊などの遠距離攻撃を一点に集中して、ターゲットを確実に倒すことができるが、使いどころが難しい微妙な技である。


ピロピロリン…


「キタ、キタ、キタ~わたしにも来たわ!」


美鳴の声が響く。得意満面の笑顔だ。


「激励」を覚えました。

「激励S」を覚えました。

「激励LS」を覚えました。


(な、なんだこりゃ?)


「激励」は分かる。初期レベルの大名が身に付けるべき基本能力だ。だが、それに「S」や「LS」なんてオプションみたいな能力は聞いたことがない。


「ねえ、左近。<激励>って何?」

「お前が兵士に演説して、味方の士気を上げ、攻撃力を若干上げるんだ」


「ふ~ん。何だか、しょぼいわね。何かこう敵を力でガガーンと叩きのめすような能力はないの?」


「あるにはあるが、それで勝敗を決めるほど影響を与えるものはない。この<戦国ばとる2>はあくま

でも忠実な戦のシミュレーションが売りだからな。お遊び要素は少ないんだ」


 美鳴は「しょぼい」と言ったが、それは素人判断。ゲームにおいては、実はこういう地味な方が戦局に大な影響を与えることが多い。超有名どころのゲームでも究極の攻撃魔法よりも、パーティ全体の攻撃力を高めたり、攻撃力倍加するような魔法の方が、結局は役に立つことが往々にしてあるのは、ちょっとやりこんだゲーマーなら誰でも納得できるだろう。


しょぼいかどうかは、使ってみないと分からないものだ。


「美鳴!とりあえず、自分の軍団である、舞さん、俺、お前の兵に<激励>を使え!」

「左近、わたしに命令するなんて!百万年と10年早いわ!わたしと舞さんの部隊だけに<激励>を使用するわ!」


「おいおい、俺の部隊を外すのか?」

「当たり前よ!あなたはレベルが高いんだから、必要ないでしょ!」


(いや、だけど、せっかく対象なのに外すか、普通…)


 美鳴は範囲指定をして、自分の軍1800と舞さんの軍1000に<激励>を使う。


「我は石田三成なり!命を惜しむな!行けや、石田家の名誉にかけて、敵を撃破せよ!」


うおおおおっ!


と兵が呼応し、攻撃力10%UPの表示が出る。正面の島津軍2000との戦闘で、膠着状態が崩れて、石田隊が押し始めた。戦況は東方面で吉乃ちゃん率いる大谷吉継1500が、敵軍2000程を退却させ、追撃中であったし、西方面は瑠璃千代演じる立花誾千代2000が、3000もの敵軍を撃破していた。雪乃ちゃんの真田幸村は「疾風」を使い、わずか800人程度の人数だが、2400ほどの敵を翻弄している。


レベルの高い主人公を「激励」効果から外す、美鳴ちゃん。気分で戦ってます。

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