わたしの水着姿で士気を高めなさい!(四)
夏合宿ですから、ゲームの方も本格的になります。レベル上げて、本番の関ヶ原で戦わなくちゃいけませんから。
その晩、やっと合宿らしく、キャラのレベル上げと操作の練習のためのシナリオモードに参戦する。ゲームは秀吉の九州征伐(島津征伐)である。局地戦ではあるが、一応、石田三成(美鳴)が大将で参加、俺と舞さんがその配下で戦う。与力大名として大谷吉継(吉乃ちゃん)と真田幸村(雪之ちゃん)と直江兼続(愛ちゃん)に立花誾千代(瑠璃千代)が参加するという豪華メンバーである。
確か合宿中の長谷家部まで長宗我部盛親として助太刀してくれる。フル参戦でなく、1時間後に参加してくれるということだ。練習を終えてから、こっそりスマホを使って参戦するのだろう。美鳴の奴が、
「少しでも勝率を上げたいわ。あの勘違いマヌ夫君を呼びなさい!」
なんて言うから、俺がメールを送る羽目になった。
今晩、一緒に戦ってくれませんか?♥
島左近
(ハートは美鳴の奴が書き加えやがった)
もちろん、参加っす!
ミーティング終えてからだから、
遅れて参加ですが、左近ちゃんの
ために遠くからでも駆けつけるよ!
長谷家部守人
くおおおおっ!なんで、俺が男にメールしなきゃならん。
しかも、あのむさくるしい熱血スポーツ馬鹿に!
こんなメールを送るから、俺のメアドバレちまったじゃないか!
「左近!グズグズしていると敵に囲まれるわよ!」
総大将の美鳴の声がする。美鳴の奴、防具の意匠を変えたらしく、今日は黒を基調としたシックな鎧とマントで、結構、大人っぽい感じだ。このゲームは、自分の装着する鎧などの衣装をカスタマイズできる。用意された星の数ほどもあるデータから選ぶのであるが、カッコイイやつや、レアなものは購入することになる。だが、美鳴の場合は、さらに高額なオリジナル仕様だ。これは自分でデザインしたものをデータ化してもらうもので、戦国ばとる2の売りの一つである。
(美鳴の奴、セクシー系の衣装はお前には似合わない…と思うのだが)
ともう一度見て見みる。意外というか、なんというか…。(いい…)などと思ってしまった。俺の心を読んだのか、美鳴の奴、ウインクして(してやったり…)といった表情しやがった。何だか悔しい。
横を見ると、これまた舞さんが、大胆というか、女性プレーヤー垂涎の的の「色兎鎧」を装着している。これはかなりのレアアイテムで、戦国時代の鎧にこんなのはねえよ!とツッコミを入れたくなるものだが、いわゆるプレーボーイのバニースタイルをモチーフとした具足だ。これに例の赤いメガネをかけているから、メガネ属性の男は一撃でやられてしまうだろう。
石田隊から離れると、瑠璃千代や、雪之ちゃん、愛ちゃんも可愛い格好で参加はしているが、とりあえず、戦いに集中することにした。
敵はネット上で参戦してきたプレーヤーの団体で、こちらがほぼ可愛い女子プレーヤーと知って、嬉しいのか、単独で突っ込んできては、話しかけてくるから、いいカモであった。
「こいつら、バカね!みんな、各個撃破よ!」
美鳴は非情だ。敵が連携を取れていないことをいいことに、次々とふいをついて撃破を命ずる。画面上では足軽が吹き飛び、そこへ銃撃を加えて混乱させ、騎馬隊で蹂躙する戦いが繰り広げられた。
現在、ヒロイン美鳴LV9。舞さん、愛ちゃん、雪之ちゃんがLV10、吉乃ちゃんがLV8です。主人公はレベル56、瑠璃千代がLV54、長谷家部くんがLV51ってところです。