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わたしの水着姿で士気を高めなさい!(参)

小谷吉乃ちゃんとは、よく二人きりになる主人公ですが、どうも仲は進展しそうもない感じ。

 山登りでは、ゆっくり歩くしかない吉乃に付き合って、美鳴もゆっくり歩き、2時間も遅れて山頂についた。もう日は登っていたけれど、美鳴は、


「吉乃、一緒に記念写真撮ろうよ!」


と二人で顔をくっつけた記念写真を撮った。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


(いい話じゃないか…)


俺は何だか感激してしまった。美鳴らしいといえば、美鳴らしいのだ。


「これがその時の写真」


そう言うと吉乃ちゃんは、俺にスマホの画面を見せてくれた。今とあまり変わらない美鳴とちょっとあどけない吉乃ちゃんの写真が写っていた。


「私の宝物です」


「ふ~ん。あいつもいいところありますね」

「そう。だから、私は美鳴を助けたいの」


「前にもそれらしいことを言ってたよね。美鳴の言動や、この戦いに銀行のお偉いさんとか絡んでいるし。今まで聞かなかったけれど、単なるゲームじゃないよね。この関ヶ原の戦いキャンペーンは」


「わたくしからは、はっきりとは言えません。それは美鳴の右腕である大介さんが、直接、聞くべきことで、美鳴も話すべきことだと思います」


(やっぱり、吉乃ちゃんは教えてはくれないか?)


「でも、これだけははっきり言えます。この戦い、負ければ美鳴は、とても不幸な目に合います。わたしたちの目の前から、美鳴がいなくなることは間違いないでしょう」


 俺は吉乃ちゃんの顔を見て、唇がかすかに震えているのを目撃した。冗談ではないのだ。俺は海辺ではしゃいでいる美鳴の水着姿を遠目で眺める。


(美鳴が俺の側からいなくなる…)


「嫌だ。そんなことは俺がさせない」

「わたくしも思いは同じです。大介さん、一緒に美鳴を支えていきましょう」


 そう言って、にっこり微笑みかけてくれる吉乃ちゃん。プリンセススマイルだ。俺の魂は打ち抜かれる。(いい…この子、本当にいいわ…)


「吉乃ちゃん。俺たちはどんな状況でも、美鳴のために最善を尽くしましょう!」

「はい」


 思わず、吉乃ちゃんの手を握る俺。吉乃ちゃんも握ってくる。だが、残念ながら、このシュチュエーションでは、ラブラブになれるという感じではない。美鳴を守るという同志の誓いだからだ。


(うー、残念!)


 だが、一緒に行動すれば、いつか愛が芽生える。吉乃ちゃんが俺のことを好きになってくれる可能性もある。だって、彼女の親友である石田美鳴を守るのだから。


(うんうん…)


勝手に吉乃ちゃんが俺に惚れてしまう姿を想像してしまう俺。


「大介!」


美鳴の奴が走ってきた。


(こいつめ、俺のささやかな楽しみを邪魔するでない!)


「大介、こっちへ来なさい!わたしと沖の岩まで競争よ!」


くわあああ・・・


 美鳴と1km先の岩まで遠泳させられ、(浮き輪に入った雪のちゃんをひっぱりながら)次にビーチバレーで3対2で対戦させられ、(瑠璃千代ちゃん、愛ちゃん、雪之ちゃんVS俺と美鳴)、


そして、スイカ割りをさせられ、最後は砂に埋められた。


(こいつ、戦国ばとる2の合宿じゃあなかったのか?)


 まあ、愛ちゃんや瑠璃千代、おまけに雪之ちゃんの水着を拝めたからいいか。本当は、美鳴の水着姿も目に焼き付いたのだが、こいつは命令ばかりするから、せっかくの可愛い水着姿も3割引だ。


太陽も地平線に差し掛かり、夕方になった。そろそろお開きだ。


「大介、わたしたちはシャワーを浴びて着替えるから、荷物を持ってきなさい」

「はいはい」


 相変わらず、荷物持ちのポジションは変わらないようだ。自称嫁の瑠璃千代は、美鳴の奴が手伝わせないように手を引っ張って連れて行ってしまったから、俺ひとりだ。


(畜生!)悪態をついて、荷物を抱えようとしたとき、白い日傘をさした吉乃ちゃんが、立ち上がった。


「わたくしも少しだけ、海に入ろうかな?大介さん、少し、一緒にいてくださらない?」

「え、ええ」


 俺は吉乃ちゃんを見た。白いワンピースの下に白いビキニ…。真っ白な体に白いビキニだから、まるで神々しい女神さまの裸体を見るようだった。すらっとしたボディに健康的に育った胸、小さいなお尻がキュート。脚が細くて長い。白すぎる肌が余計に上品さを醸し出す。吉乃ちゃんは、俺に手を差し出した。俺はその手を握る。


 二人で手をつないで、海に行くのだ。吉乃ちゃんは走れないから、ゆっくり、ゆっくり海へ入る。波打ちぎわで、


「きゃっ!冷たい!」


と吉乃ちゃんが言う。


(か、可愛い!可愛すぎるぞ!)


 俺は吉乃ちゃんが転ばないように気をつけながら手を引いて、さらに深いところへ誘う。足首からひざ、太ももまで水に入った。


「ああ、きれいね…」


海風になびく髪を手で押さえ、吉乃ちゃんが沈む太陽を見る。


(いや、美しいのは君だよ)


 俺はそんなことを心の中でつぶやいた。波がだんだん強くなる。少しだけ大きな波が来て、太ももまでの深さが腰までになった。


「きゃっ!」


バランスを崩した吉乃ちゃんが、思わず俺の胸に飛び込んでくる。思わず、彼女を抱きかかえる俺。胸の中の彼女を見ると、そっと顔を上にあげて俺を見てくる。


「よ、吉乃ちゃん」


俺は思わず、抱きかかえる腕に力を込めた。


ぐぐぐ…と顔を近づける俺。


 吉乃ちゃんの可愛い唇に触れようとした瞬間、吉乃ちゃんがさっと、自分の唇に人差指を当てた。一瞬止まる俺。


「ダメですよ。大介さん。美鳴がいるのにおイタはダメです!」


そう言って、吉乃ちゃんは唇に付けていた人差指を俺の唇に付けた。


「大介さんのおかげで、海に入れましたわ。ありがとうございます」


そう言うと吉乃ちゃんは、にっこりと笑った。



うおおおおおっ!吉乃ちゃん、ヒロインを食ってしまうほどの可憐さ。主人公でなくても惚れてしまうそうな・・・。でも、なんとなく計算しているお姉さんという雰囲気も出てきたような。

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