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う、浮気なんかしたら許さないんだから!(参)

歴研メンバーの中で、主人公から一番遠い存在の狩野舞かりのまい何だか、思いつめた顔で主人公を待っています。

 そんなわけで、俺がマンションに帰ってきたのは随分遅くなった。まあ、明日の昼間はバイトがないし、夕方まではフリーだ。となると、今日は夜遅くまで「戦国ばとる2」だなと思って部屋に帰ると、思いがけない人物が俺の部屋の扉で待っている。


(舞さん…珍しい?一人か?)


 俺は美鳴がいないかキョロキョロした。舞さんは風呂上りなのか、とてもいい匂いを漂わせて、Tシャツとホットパンツという結構大胆な格好であった。


「何だ?美鳴たちはいないぞ。明日から夏休みということで、実家へ帰っているからな。瑠璃千代さんも一旦、実家に帰って本格的に引っ越してくるそうだ」


「あ、そうなんだ。そういえば、瑠璃千代は、昨日、そんなことを言ってたわ。美鳴たちは、そんなことは一言も言っていなかったが」


 だが、考えてみれば、そりゃそうだ。学校があるから、通学に便利なマンションに住んでいるのだから、夏休みに入れば実家に帰るだろう。市内に家がある美鳴はともかく、愛ちゃんや雪之ちゃんは市外らしいから。美鳴の奴は、送迎車があるから別に下宿する必要はないのだが。


「で、ここで待っていたということは、俺に何か用でもあるんですか?」

「あ、ああ。ちょっとな…」


 いつもはっきりものを言う舞さんが今日は歯切れが悪い。下を向いて何だか言いにくそうだ。俺は何だか、つい、いじめたくなってしまった。なにしろ、いつも冷たい感じで俺に接してくるし、俺のことが嫌いな素振りであるから、今日のような正反対の態度だと思わず調子に乗ってしまうのは仕方がないだろうと自分に言い聞かせる。


「用がないなら、俺は眠いんでお休みなさい」


そう言って、ドアに鍵を差し込む。


「ちょ、ちょっと待て」

「はあ?」


舞さんは鍵を差し込む俺の手を掴む。


「あ、明日、私に付き合ってくれないか?」

「え?」


「つ、付き合ってといっても、デートじゃないぞ!誰がお前なんかと…、いや、お前じゃないと困るんだ。な、頼む!」


そう言えば、舞さんなどといつも敬語を使っているが、この娘は俺より一コ下なのだ。俺には年上みたいな接し方をしてくるから、つい、そういう言葉になってしまうが、今の状況は立場逆転なのだ。俺の中のわずかなSっ気がムクムク湧いてくる。


「う~ん…どうしようかな?俺、明日は夕方からバイトだから、別に暇だけど…」

「美鳴たちなら、明後日まで帰らないぞ。暇なら付き合って」


「ああ、肩が凝ったなあ…腹も減ったし…」


ああ、俺は調子に乗ってしまった。舞さんは唇をキュッと噛む。


「明日、付き合ってくれたら、夕飯、作ってやっていいぞ。それにマッサージもしてやる」


(おお…あの舞さんが俺の言うなりだ。これはある意味、快感だ)


「じゃあ、契約成立ですね。俺はシャワーを浴びるから、夕飯作ってください」


そう言って俺は部屋のドアを開けて、彼女を中に入れた。いや、決して邪な考えがあったわけではなくて、日頃の鬱憤を晴らすだけだ。


 シャワーを浴びていると、ジャーという音がしてくる。舞さんが俺のために料理を作ってくれているのだ。冷蔵庫の有り合わせの材料でどんなものを作ってくれるのか?などと考えていたら、さすがにちょっとやりすぎたかもしれない。自分がシャワー浴びているのも、何だかちょっとエロいシュチュエーションに突入するみたいでヤバイ。


シャワーを出るとテーブルには、もう料理が並んでいた。焼き飯にインスタントラーメンである。インスタントと言っても具がいくつか乗っており、本格的である。ズズズ…とすする俺。内心は調子に乗るのもここまで…と思っていた。どうやって、お帰りになってもらおうかと思案したが、舞さんはテーブルの向かいに座って俺をじっと見ている。それこそ、一言もしゃべらずにだ。


(こ、怖い…)


食べ終わると、俺はいたたまれなくてテレビを付ける。面白くもない番組を眺めている。俺の食べた後をすばやく片付けた舞さんは、相変わらず、黙っていたが、30分経つと口を開いた。


「さあ、お前、横になれ」

「え?横にって」


「私がマッサージでお前をすっきりさせてやる」

「や、それは別にいいから…」


「いや、お前は約束した。私がマッサージすれば明日、付き合ってくれるんだろう?」

「さっきは言いましたけど、もう、いいですから」


「約束だ。早く、うつ伏せに寝ろ!」


命令口調なので俺は反射的にうつ伏せになる。すると舞さんが俺の腰に乗ってきた。柔らかいお尻の感触が俺をとろけさせる。さらに両手でぐいぐい、背中や腰のツボを押す。


(うああ~き、気持ちいい)


俺は思わず、声を出す。う~っとか、あ~とか、あ、そこ…とかだ。


腰やら肩を揉みほぐすと、今度は俺に仰向けになれと言う。


(いや、ちょっと仰向けはまずいんじゃ?)


舞さんは俺の方にお尻を向けて、今度は足のマッサージをするという。太ももをぐいぐい揉むが今度は舞さんの胸のふくらみが俺の股間に当たって、超ヤバイ。顔を上げると舞さんの大きなお尻が俺の顔の前だ。これじゃあ、6○じゃないか!


ムクムクと元気になってしまう俺の最終兵器。


「うわ!舞さん、もういいですから!それ以上すると」


 舞さんは俺の最終兵器に気付いたようだが、美鳴みたいには騒がない。それをぎゅっと掴むと、


「これ以上は、明日、付き合ってくれたらだ。それまでお預けだ」


そう言ってさわさわっと指を動かす。


(うああ~童貞にはそれはマズイよ)


マッサージはそこまでで、舞さんはおもむろに立ち上がった。


「明日は9時に迎えに来る。シャツにネクタイ着用。なるべく、清潔なぱりっとしたのを着ろ」

「はいはい」


 舞さんは俺の部屋から出ていった。それにしても…。美鳴がいなくてよかった。アイツ、俺の部屋と直結のエレベーターを使っていつでも俺のプライベートにしゃしゃり出てくる。オチオチとコレクションも読めないのだが、今日みたいなシュチュエーションを目撃されたら、それはそれは…。どうなることやら。


(エレベーターは俺の部屋からはいけない。美鳴のカードがないとボタンを押せないのだ)


何だか美味しい要求をして、ちょっと後悔する主人公。だって、おいしい思いをすれば、それなりの代価を払うのが筋ですから。

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