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あなた、わたしの家来になりなさい!(参)

ネットで知り合った女の子が超美少女だったら、男はラッキーと思うのでしょうか。今回の場合も何だかおしとやかな可愛い娘なんですが、何だか、ワケがありそうで・・・

 次の日、俺は指定されたカフェの前でたたずんでいた。決して、色香に迷ったわけではない。そもそも、女の子とは限らないし、いかついおっさんの可能性もある。いや、女性でもおばさん、いや、若くても不細工なお方の可能性もある。


本来、リアル割れするのはまっぴらごめんであったが、もし、若い女の子であったなら、(私を好きにしていい)などと書く悪い子ちゃんには、厳しく忠告してあげなければ…と変な正義感が頭をもたげたのだ。


それで、昨日の返事は、


「直接会って返事をしたい」


と送ったところ、意外と言うか、やはりというか、返事は即答でO.K.であった。

この時点で、男の線はかなり低くなった。ネットに無防備な悪い娘を注意するルートに入ったことになる。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「あの…島左近様ですか?」


ぼーっと考えていた俺の後ろから女の子の声がした。おしとやかな落ち着いた声だ。


「そうですが、君が石田三成?」


そこに立っていたのは、キュートな格好をした可愛い娘。ひらひらしたフレアニットの丈が短い白のワンピースに生足、クリーム色のパンプス、適度に膨らんだ胸にスレンダーなボディ…愛くるしい大きな目に黒いロング髪で先端を白いリボンで結んでいる。細身で160cm前後の女子としては高い方に入る身長、俺が悪い大人だったら、即お持ち帰りの超絶美少女であった。


「石田美鳴…美しいに鳴くで、みなり…と言います。私の左近様」


その美少女の名前は石田美鳴いしだみなり。偶然なのか、狙っていたのか、ゲーム戦国ばとる2で演じるのは「石田三成」である。こんな美少女が、ネットのシュミレーションゲームに参加していること自体、驚きであったが、それよりもネットで表現していた文章とはかけ離れた清楚な女の子だったので俺はびっくりして声にならない。


(こいつ、少なくとも高飛車、女王様気質だと思っていたけど、リアルは正反対じゃないか…)


もう一度、つま先から頭のてっぺんまで見てみる。ほっそりとした体つきではあるが、出るととこはしっかり出ていて、あと2、3年すればかなりの美女になる器だと直感した。年は10代後半であろうか。


(JKか?俺より年下であることは間違いない)


その美鳴ちゃんとカフェで話をする。


「左近様って、大学生なんですか?」


「一応、アナスタシア国際教養大だけど」


「えーっ、頭いいんですね。さすがは左近様」


「あの、左近じゃないんだが…」


確かにネットのゲーム上では「島左近」ではあるが、ちなみに島左近は、説明するまでもなく、石田三成の家老にして軍師、歴史上でも名高い名軍師、名武将である。


「お名前はなんておっしゃるのですか?」


島大介しまだいすけ


美鳴ちゃんが、年下の女の子ということもあり、俺もだんだんと言葉遣いが砕けてきた。本名を名乗ってリアル割れするのも許容してよいだろう。


「大介さん、やっぱり、苗字は島なんだ。不思議ね。苗字が同じだとあのゲーム、その名前のキャラを選んでしまうのって普通なのかなあ…」


指を形のよい顎に当てて、美鳴ちゃんは首をかしげた。こういう仕草をすると可愛さが引き立つ。だが、昨日のネット上の言葉使いとはえらい違いだ。


「あの、美鳴ちゃん、本題に入ろう。なんで、キャンペーンモードの関ヶ原をやるために仲間集めてるの?俺を誘うのはともかくとして…」


美鳴ちゃんが、今回のゲームを行うにあたって、他にも仲間を募っているのは知っている。関ヶ原のシナリオの場合、絶対に裏切らない武将、大名は自分の友人なりで固めることができる。石田三成の場合、自軍の家来、島左近に舞兵庫まいひょうご蒲生郷家がもうさといえは、間違いなく最後まで戦ってくれるキャラだ。


さらに史実でも親友の大谷形部吉継おおたにぎょうぶよしつぐと、豊臣家に絶対忠誠を使う宇喜多中納秀家うきたちゅうなごんひでいえは、裏切らないキャラである。それ故、あらかじめ自分の友人なりに依頼するのが常であるが、友人がそのキャラを使ってプレーしている偶然もそうそうあるわけもなく、だからいって、急に友人にゲームに登録してもらって、参加しても勝てるほど甘くはない。


よって、今回のようにこれは…と思ったプレーヤーを勧誘するのが常套手段ではあった。ちなみにどうしても見つからない場合は、コンピューターが操作する。この場合は、完全にNPC扱いであり、そのキャラの行動、戦闘は、コンピューターしだいということになる。


「理由は詳しくは言えないわ…左近様とは、今日会ったばかりですし、まだ、仲間になると言ってくださっていませんから…」


「なるほどね」


俺としてはこんな可愛い女の子が見ず知らずの男に会いに来てまで、やりたい関ヶ原キャンペーンモードへの参戦について、理由が知りたかったのだが、そのうち、分かってくるだろうと理由を聞くという本日の優先順位を下げた。


「美鳴ちゃんは、高校生だよね」


「わたし、そんなに若く見えます?」


俺はドッっとした。えっ?まさか、これで20代、人妻なんて言わないだろうなあと思ったのだ。若妻が主人公の漫画を思い出したわけではないが。


「ばれちゃ、しょうがないなあ…石田美鳴、アナスタシア国際教養大学高等部3年生です」


(はあ?こいつ、若く見えますって、意味ありげに言ったくせに、見たまんまか…それにしても、アナスタシアって、俺の大学の附属じゃないか?)



 俺の通っているアナスタシア国際教養大は、伝統ある私立大学で偏差値は結構高い。俺自身は高校までは公立で、受験でこの大学に入った。一般受験生はかなり難しいが、入れば学費はほぼ免除というおいしい特典付きなのだ。


但し、附属から入る生徒はかなりの高額学費を払うということだ。つまり、めちゃくちゃ偏差値の高い貧乏男子学生と超金持ちのお嬢様が集う学校なのだ。ちなみに附属高校、中学、幼稚舎とすべて女子専用で、大学だけが男女共学になっている。よって男子学生は相対的に少ないのだが、それが偏差値をさらに高めている結果につながっている。(つまり人気大学なのだ)


そんなことを頭で確認している俺に、美鳴は続ける。


「今日、年上の男の方と会うので、思いっきり、お姉さんの格好してきたのに、ばれちゃいましたか?」


(ハイハイ・・・この可愛い格好でOLを装ってきたなんて…お馬鹿だ…この子、お馬鹿)


一応、中学生でないのでほっとはしたが、高校3年生ということは2コ下である。


「まあ、大学の授業後回しで、ネットのゲームにはまっている俺が言うのもなんだけど、美鳴ちゃん、3年生ということは受験生だし、こんなゲームやってる場合じゃないんじゃない?キャンペーンモードは、少なくとも1ヶ月はかかるゲームだよ」


「私のことはご心配なく。それなりに実力はありますので。それより、あの条件で左近様は、美鳴の家来になってくださるの?」


(いよいよ、本題か…)


俺はふう~とため息をついた。これまで短いといっても、女の子と付き合った経験は多い。大学2年生の俺にとっては、この2個下の美少女は、いわば、年下の妹みたいなもんだ。


そうどうする?島大介!どうすると言っても・・・お話上、受けるんでしょうね。

はい、巻き込まれ決定!報酬はちょっとうれしい?のですが。(但し、勝ったらという条件ですが)

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