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押しかけ女房なんて許さないんだからね!(四)

キタ~スーパーユニット、甲斐姫かいひめちゃん。またしても、主人公は巻き込まれそうです。

「左近!何、ボヤボヤしてるの!そいつを早く討ち取りなさい!」


 現実に引き戻される俺。あの女が急に殊勝になるわけがない。それより、ボーッとありもしない妄想をしながら討ちとれるほど甲斐姫の戦闘力は甘くなかった。次々と剣技を繰り出し、俺を討ち取ろうとしてくる。


そりゃ、一騎打ち相手ではしょぼい美鳴よりも、この島左近を倒したら、ネット上で話題になること然り…。だが、それは俺にも言えることで、レアキャラの甲斐姫を撃破したら、ますます俺の名声は高まる。


(いや、待てよ?この甲斐姫、コンピュータが動かすNPCノンプレーヤーキャラクターだよな?)


コンピューターが俺の乱入でターゲットを変えたのはおかしくないが、目の前の甲斐姫は必死で俺に向かってくる。ここまで、熱意をもって立ち向かってくるのはコンピュータらしくないと言えばらしくない。淡々とした攻撃法で向かってくるイメージがないのだ。俺に向かって惜しみもなく、奥義を繰り出してくる甲斐姫。


「くおおおっ…。さすが、レアキャラ!強いぜ。だが…」


 甲斐姫の攻撃はすさまじく、速い。だが、まだ、実践で慣れていない感じがした。経験値が足りない感じだ。俺は少々姑息とは思ったが、確実に倒す方法を選択した。一文字槍を甲斐姫めがけて投げつける。


それを剣で弾いた時には、俺は急接近して、甲斐姫めがけて馬を当てバランスを崩した彼女に馬上から飛びかかった。二人共落馬する。受身の取れなかった甲斐姫の方がダメージである。しかも彼女の最大の特徴である長刀(浪切)も衝撃で手放してまっていた。


そう、女性武者は、武器を持たせればスーパーキャラだが、こうやって肉弾戦に持ち込めば、所詮は女である。男キャラにスペックで勝てるはずがない。


「よし!甲斐姫、覚悟だ」


俺は止めを刺そうと甲斐姫の鎧を引き剥がす。が…、勢い余って鎧はおろか、着物まで引きちぎってしまった。ちぎれた武具や着物の中から、白いプリンとしたものが…。


「き、きゃああああああ~」

「えっ?」


俺は慌てて胸を隠す甲斐姫の顔をまじまじと見た。よく見ると甲斐姫、めちゃくちゃ可愛い。目は少しつり気味できりりっとしているが、黒目が大きくてまつ毛が長い。ピンクの唇が食べちゃいたいくらい艶かしい。


そんな可愛い子がこれまた可愛い胸丸出しなのだ。


(ちょっと、待て!こいつはNPCだろ。おっぱいの設定あるのか?)


コンピュータが動かすNPCキャラなら、ここまで細かい設定はない。そもそも、着物が破れる設定はない。あるとしたら、こいつがプレーヤーキャラの場合だ。プレーヤーキャラなら、本人をスキャンするから、設定はあるし、破れてこういう美味しいこともある。


「ちょっと、左近!早く、始末しちゃいなさい!」


固まっている俺を美鳴の奴が、どーんと背中を押すものだから、俺は甲斐姫のおっぱいを掴んで、サクランボの唇にぶちゅーっと口付けしてしまったではないか!


ラッキースケベどころか、ラッキー痴漢だ!


手のひらの感触があまりに気持ちいいので、ポニュポニュもんでしまった。


(しかも、ぽニュぽニュの先端を転がしてしまう)


 ネットゲーム「戦国ばとる2」の超リアル演出は、視覚、聴覚データより、脳を刺激し、触感まで再現するのだ。俺は実際、空中でポニュポニュしているのだが、あたかも女性の胸を触っているような感じがする。


ネットお触り感覚だ。無論、触られている方は、そのような感覚を覚えるから、甲斐姫は揉まれている感覚をリアル体験していることになる。


「あ、ああん…あん」


甲斐姫の声にならない声を聞いて、唇を慌てて離した俺だが、甲斐姫はとろんとした目で俺を見た。だが、はっと我に返ったのか、慌てて胸を隠す。


「ふ…不埒なヤツ!戦場でしかも衆人監視の中、こんなハレンチ行為に及ぶとは」


ギンギンに俺を睨む甲斐姫。


「いや、お前、プレーヤーキャラとは思わなくて、なんて言っていいのか、あ、いや、すまん、というか、ありがとうというべきか、ごちそうさまって言うべきか…」


ワナワナと震えている甲斐姫プレーヤー。


(いや、ちょっと待てよ?こいつ女子プレーヤーだろうな?もし、男だったら)


と恐ろしいことを考えてしまった。自分の姿を投影してキャラにできるとはいえ、キャラが女の子だからと言って、100%女の子とは限らないのがこのゲームだ。抜け道がいろいろあって、男でも女キャラで参加することなど簡単ではないとはいえ、できなくはない。


そうこうするうちに、城の方で勝どきが上がった。吉乃ちゃんの大谷隊が本丸を攻め落としたらしい。


「やったわ!左近、この戦い、私こと、石田治部少輔三成の勝利!」

「ふう~」


俺は息を吐いた。まったく、世話の焼けるお嬢様だ。甲斐姫の方は、勝利が決まったので開放する。


「島左近と言いましたね!」


ちらりと俺と美鳴を見て甲斐姫はそう詰問する。


「はい」

「その三成のプレーヤー、あなた様の彼女なのですか?」


俺は美鳴を見る。美鳴も俺を見る。二人同時に、


「はははっ!冗談。大介が彼氏なんて!」

「美鳴が彼女?ありえねえ…」


「そ、そうですか。それを聞いて安心しました。島左近様、後で連絡します」


そう言うと甲斐姫はログアウトした。


意味ありげな去り際に、ボーッとなる俺だったが、美鳴の奴が俺の足をグイグイ踏む。


「鼻の下を伸ばして、いやらしい。敵にボーッとなるなんて失礼だわ。あなたは私の家臣なのだから、私だけを見てなさい!」


(いや、お前のチッパイ+αを見るより、あの甲斐姫の方が結構あったよなあ…なんて思い出している場合か!しっかりしろ、島左近。女なんぞにうつつを抜かすとロクなことにならないのは、今までもそうだったじゃないか!)


確かに、最近は周りに女の子がやたら出現する。一種のモテ期?って奴だが、


(全部が俺に惚れているわけではないが)


今回も何だか、ロクなことにならないような気がしていた。


ゲーム上だけど、これまでの視覚、聴覚に加えて触覚まで忠実に再現なんて、なんてよいゲームなんだ~戦国ばとる2は!?

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