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押しかけ女房なんて許さないんだからね!(弐)

忍城攻略で、美鳴ちゃんが取った策とは?

史実では水攻めで有名ですが、失敗に終わりました。美鳴ちゃんたちはどうでしょう?

 人がいないことをいい事に勝手なことを言う美鳴。残念ながら、美鳴陣営でログインしている俺は観戦モードでも、このやり取りが聞けてしまうのだ。悪口がすべて筒抜けだ。


(美鳴の奴、勝手なこと言いやがって…だが、水攻め以外にどうやって攻めたらいいのだろうか?)


俺はしばし思案する。湿地帯といっても戦がない時は人馬が出入りするわけで、そのルートは城の大手門や搦手門に一本ずつある。だが、この通路だけでは大軍の進撃には足りない。そもそも、この通路を通れば城から狙い撃ちをされるのは間違いない。


(だとすると、湿地帯に通路を作るしかないが、どうやって、そしてどのように作るかだ)


 俺の趣味は城をどうやって落とすか。これはどんな問題にも勝る知的興奮を俺に与えてくれる。どんな城も必ず攻略する方法がある。それを見つけ、実行するのが何よりもの楽しみだ。俺は参加していないので、パソコンを見ながら城に近づくルートをどのように築くかをノートに書き出した。


 パソコン画面では、美鳴が動き出す。付近の山から木を切り出し、何やら製作し始めた。ネットゲーム戦国ばとる2は、作戦の自由度がこれまでとは格段の差がある。プレーヤーが通常思いつく攻め方パターンは、これでもか!というくらい網羅してあるが、何よりすごいのがそう言ったテンプレートに用意されていない作戦も、ゲーム会社のタクテスデスクにメールすると、すぐさま、プログラムを改造して可能にしてくれるのだ。


もちろん、時代考証や当時の技術で可能かどうかを判断され、可能された場合のみである。可能となっても、コストや時間が計算されてできなくなることもある。


美鳴の場合は、「可」と判断されたのであろう。それは俺が思いついた作戦とほぼ同じであった。おそらく、吉乃ちゃんか、雪之ちゃんの入れ知恵だろうとは思うが。


(頭の堅い美鳴には思いつかないだろう)


2時間後には、計算して準備しただけの木でできた橋のパーツが完成していた。それは10mの長さで幅が5mになるように木が組み合わされている。それを立てて進み、バシャンと倒し、その上を次の橋が進む。この作戦が優れているのは、進む際に立てたパーツが鉄砲や弓の攻撃を防ぐ役割があるのだ。倒すと同時に次のパーツの後ろに兵はかくれるので、狙撃されることがなかった。


さらに美鳴たちはこれを夜間に行ったのだ。ゲーム上で朝が開けると、(ゲーム上の1時間は実際の20分に当たるのだ)城方のプレーヤーは湿地帯に一夜のうちに建設された5本の橋を見て驚いた。


「幸村、吉継、うまくいったわ!敵の驚いていること。今日中(ゲームで1時間)にこの城は落とせるわね」


美鳴は(かっかかかっと)高笑いをする。この娘のこういう姿は妙に様になる。



「お姉ちゃん、油断はできないアル」


真田幸村を演じる雪之ちゃんは、中学生ながらも冷静に見ている。確かに城に近づくルートが5本になっただけである。


「2本の橋を加えて広くなった大手門は私が受け持つわ。舞兵庫に兵4000を与えるわ。搦手門を抜くのよ」


「了解、三成様」


「吉継は東から、幸村は西よ。敵はたった500。同時にかかれば、対処できないはず」


美鳴は旗下の2万の兵による同時攻撃を命令する。この状態なら、これは間違った命令ではない。だが、見ていた俺はあることに気がついていた。


(美鳴、このシナリオには…ちくしょう!やはり、俺がいかないといけないのか?)


来ます!あの人が来ます!そしてお約束!

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