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押しかけ女房なんて許さないんだからね!(壱)

いよいよ、石田美鳴率いる2万の大軍が忍城を攻略する。この章の物語、今、公開中の「のぼうの城」に感化されてではありません。映画公開より随分前に書いてましたので。影響はなし?

 忍城おしじょう攻略…これは石田三成にとっては鬼門であった。史実でも北条征伐で小田原城を攻めた豊臣秀吉は、関八州の北条方の支城をことごとく落城させたのだが、成田長親なりたながちか守る忍城だけは落とすことができなかった。


この城攻めの総大将に命じられたのが石田三成で、2万の兵を与えられ、多くの与力大名、さらに援軍で真田昌幸、幸村まで加わっても落とせず、石田三成は「戦下手いくさべた」の烙印を押されてしまった戦いである。だから、俺は豊臣秀吉プレーヤーが、この城の攻略を命じた理由が想像できた。


(完全に美鳴の能力を試そうとしている…)


 俺は参観モードで美鳴の様子を見ている。まだ、自分が参陣する勇気がないのである。このシナリオ、場合によってはあの金帯忠勝が出てくる可能性もあったのだ。吉乃ちゃんに励まされて、呪縛を断ち切ったはずであったが、それでもエントリーするボタンをクリックできないでいたのだ。


参戦は美鳴、舞さん、雪之ちゃん、吉乃さんと歴研のメンバー。それに豊臣方に参戦している大名が幾人か加わっていた。石田美鳴は、このシナリオだけ2万という大軍を指揮する事になる。


(大丈夫か?美鳴の奴。あいつ、せいぜい、3000程度しか指揮したことがないのに、いきなり、2万かよ!)


「戦国ばとる2」では、指揮する兵が大軍になればなるほど、適切に管理し、命令していかないと各々のプレーヤーが勝手に動き始め、収拾がつかないことがあるのだ。


俺が見ている限り、美鳴の奴、やはり動きがぎこちない。だが、舞さんと吉乃さんの手助けもあって、なんとか城を取り囲んだ。


(ここまではいいが…ここからだ)


忍城は別名、浮島と言って沼や湿地帯を利用した非常に攻めにくい構造を持っている。関東七城に名を連ねる名城なのだ。2万を超える大軍ですら、その数の力を容易に出すことができない。


(どうする美鳴…舞さんがいるから、あの戦法は取らないとは思うが…他に有効な手立てが考えつくだろうか?)


俺が危惧したあの戦法とは…


「これは水攻めよ。水攻めしかないわ!」


美鳴は軍議の席でそう言った。地形を見る限り、備中高松城の水攻めを思い出しての考えである。高松城攻めは以前、秀吉プレーヤーがやっているのを美鳴は参観したことがあり、それを思い出したのだ。

だが、狩野舞こと、舞兵庫が反対する。


「三成様、それはいけません。史実では水攻めをして失敗しています」


さすがは歴女。この辺りのエピソードは朝飯前である。


「だけど、舞さん、まともに攻めては我が軍は相当な被害を受けるわ」


美鳴の意見ももっともだ。湿地帯で足をとられ、身動きがとれなくなってしまうことが予想された。


「地形を見る限り、平坦で堤防に使える場所もないし、本丸は若干、高い台にあるから、水に沈めるのは難しいわよ…」


そう吉乃ちゃん扮する大谷吉継がアドバイスする。実際にも28キロにも及ぶ石田堤を築いたものの、水没させることができず、逆に攻め手に水が襲いかかって大失敗を演じたと言われている。


「じゃあ、どうすればいいのよ!もう、こういう時に左近がいないと困るのよ。いい加減、あのビビリ、参加してよね。主君が困っているんだから!」


ビビリと言われる主人公。畜生!でも、主人公はヒロインのピンチにやってくるから主人公なのだ。

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