表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/160

わたしのこと恨んじゃだめだからね!(弐)

美鳴のリアルでのライバル登場。頭がいいだけに今後も美鳴ちゃんの邪魔をしてくるでしょうね。東軍の外様組主力予定の娘です。

 話を聞いて黒田メイサは怒って立ち上がった。


「そ…そんなことで、私はライバルを失いたくはありません!」

「ライバル?本当にそう思っているのですか?黒田さん」


是清は落ち着いて対応する。実際、黒田メイサがこういう反応をすることは予想の範囲内であった。


「リアル世界の僕の目論見はビジネス。これは卑怯でも何でもないことです。ゲームも同じく、フェアなものですよ」


「でも、結果的に美鳴がいなくなるんでしょ?それじゃあ、私が勝ち誇れないわ!」


「黒田さん、あなたは本当に美鳴に勝てると思ってるのですか?中学時代から、あなたは美鳴に負け続けた。しかも君は毎日10時間以上も勉強をして、予備校にも通い、家庭教師まで付けているのに、何もしていない美鳴に及ばない」


「な、何を言いたいのですか?」

「つまり、君は一生勉強では勝てないと言ってるのです」



「そ、そんなことはないわ!」

「いや、君は心の奥底では感じている。自分は美鳴には勝てないと…」


「・・・・・・・・・・・・・・」

「沈黙は図星ですか…。それは正しい反応です。あの娘は、ちょっとおかしいのです。記憶障害というか、一度聞いたり、見たりすればすべて頭に記憶できるのです。一種の天才。その分、性格が悪いのですが。そこは君もよく知っているでしょう」


 メイサは前回の期末テストを思い出した。またしても2位にとどまった結果の張り紙を見つめて、帰ってからの母の叱責を思い、暗い気持ちになっているところに美鳴がやってきた。彼女は親友の小谷吉乃が入院してからは、いつも一人であった。黙って張り紙を見ている。周りの女子は、


「見て見て、石田美鳴さんよ」

「また1位。でも、いくら頭が良くても友達いないんじゃね~」


「あの子、付き合い悪いし、すぐ、あれはダメ、これはダメって言うし」

「まあ、メンドくさい仕事、引き受けてくれるけどねえ…」


「だけど、気を付けなよ。あの子、生徒指導の淀川の手先だから」

「あ、知ってる知ってる。3組の福島さん、あの子のせいで停学くらったんですって」


「福島さんって、あの派手な不良の?それ、自業自得じゃない?」

「あいつ、たった30秒遅れただけで、遅刻扱いよ。今日は見逃してって頼んでも冷たかったし。おかげで反省文10ページ書かせられたわ」


「頭いいからって、鼻にかけているのよ。この前も数学の宿題、教えてって、ちょっと言ってみたら、自分で少しは努力してから教えは請うものよだって!ふざけるなって感じ。こちらから話しかけてやったのに」


女子の評判はすこぶる悪い。男子がいれば、それはそれで味方する者もいたかもしれないが、美鳴には残念なことに、高等部は伝統のある女子高であった。


黒田メイサはそんな影でこそこそ噂する女子の前で、石田美鳴に手を差し伸べた。美鳴はきょとんとして、メイサを見つめる。


「2組の黒田メイサです。1位おめでとう」

「は、はい?黒山?腹黒?メイサ?」


美鳴はメイサのことを知らないようだ。


(し…信じられない!私は中等部の頃からライバル視しているのに、この子は私のことにまったく興味がないというの!)


ピキピキとこめかみに血管が浮き出るのが分かる。周りの女子も注目して見ている。


「ねえねえ、2組の黒田さんよ」

「えっ?あの万年2位で石田さんに永遠に勝てない黒田さん?」


「握手なんて求めちゃって、なに?宣戦布告?」

「あの人って、めちゃ勉強してるのに一度も勝てないんですって」


「何だか可哀想な人」


それを小耳に挟んで、メイサは心の中で


(お前たちのような赤点スレスレの奴らに可哀想呼ばわりされたくないわ!)


と叫んでいたが、顔は努めてニコニコしている。


「いつも2位の黒田です」

「あ、そう」


手を出している自分を無視して、美鳴は手を差し出さないので、仕方なくメイサは手を引っ込めた。めちゃくちゃバツが悪い。こういう時は、いくら知らなくても握手するだろう。


(いい加減、空気読め!)とメイサは心の中で毒づいた。


「石田さんは、いつも1位だけど、どれくらいお勉強されているの?」

「勉強?」


美鳴は首をかしげた。普通の女子高生なら、ここは取り繕い、○○時間やってます…とか、今回もまぐれです…などと言うだろう。だが、美鳴は空気が読めない。事実をそのまま言うのだった。


「テスト前の、30分くらいかな」

「またまたご冗談を…」


メイサは笑ってごまかしたが、心の中は


(私はこのテストのために2週間前から毎日深夜までがんばったのよ。それなのに、前日に30分?一教科に10分でどうして100点取れるのよ!)


実際、美鳴の合計点は1000点満点中、990点。現国と科学で95点以外はすべて満点であった。自分は902点。2位とはいっても大きく差を開けられている。だが、3位が870点台だと思えば、自分も驚異的な成績なのだ。だが、美鳴はそれを凌駕する得点。


幸い、美鳴の友人の小谷吉乃は入院中でテストを受けなかったので、よかったが前回の中間テストは吉乃にも5点差で負けて3位であった。


(あいつのせいで、私もかなりよい成績なのにお母様に叱られる…理不尽だわ!)


それだけでもムカついていたメイサだったが、決定的だったのは最後の石田美鳴の言葉。


「メイサって言ったよね、あなた顔色悪いわ。勉強ばかりしてると性格悪くなるわよ。たまには外でリフレッシュ、あとゲームなんかもいいわよ…あと、カフェでお茶する…」


まだ、何か言ってるが黒田メイサの心は決まった。


(こいつは敵。私の目の前から排除する敵だわ!)


美鳴は美鳴なりにメイサの表情がだんだん暗くなるのを見て、気を利かせたつもりだったのだが。敵と認定したといっても、相手は勉強に関しては化け物である。勝てるとはとても思えなかった。それを是清に指摘されたのだ。是清は、メイサの耳元で囁いた。


「あいつは一種のバクみたいな存在。バグと戦っても勝てないよ。バグは排除するに限る。それに曲がりなりにも君はゲームとは言え、彼女に勝利するんだ。一度でも勝っておかないと君は一生傷ついたままだよ」


まさに悪魔の囁きであった。





黒田メイサちゃんて、やはり、黒木メイサから取った名前。そうですね。黒田姓は黒田長政から取りましたから、当然、このキャラで東軍参加決定。でも、是清の悪にもこの子は気づくんですね。どうなるかな?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ