表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/160

あなた、わたしの家来になりなさい!(弐)

史実でも石田三成は島左近を自分の石高の半分近くで召抱えたそうですが、美鳴ちゃんも知ってか知らないでか、同じアプローチ。心意気に弱い主人公は、出だしからやられちゃってますが。

「しょうがないとか、わたしに対して失礼だわ。是非、家来にしてくださいというのが筋だけど、わたしは心が広い君主だから許してあげるわ。文句言ってないで私の前にひざまづきなさい」


(どんだけ、高飛車かつ女王様キャラだ?)


俺はただでさえ、痛いネットの向こうの人物に頭を抱えた。こいつ、女だとしても結構、性格悪そうだ。


1万8千石でどう?


「みなり」とかいう高飛車女、領地で買収してきた。1万8千石とは、所有していれば1年後に1万8千円分の電子マネーが振り込まれるという権利になる。但し、それまでに主君が領地を失えばご破算だ。それにしても…。


(おいおい…この名軍師、島様をたった1万8千石で?さっきの謙信Aなど10万石でどうだと言っていたのに。こいつ、俺のこと知らないのか?)


ネットのこの戦国バトルのゲーム上では、超有名な俺の相場は、石高なら10万石以上、1回の戦いなら2万両(2万円分使える電子マネーに相当する)というのが最低条件だ。先ほどの謙信大好きさんは3万両譲渡が条件であった。


「話にならないね…」


と俺は返事を返そうとしたら、向こうからまたメールが来た。


「あなたにはとても失礼な条件だと思うけど…私にはあなたが必要なの。お願い…」


(おいおい、今度は泣き落としアプローチか?これだから女は…)


 そもそも、今回の場合はシナリオモードではなくて、キャンペーンモードでの対戦だ。

キャンペーンモードとは、大抵1,2時間で終わるシナリオモードとは違い、1ヶ月に渡る長期シナリオのことである。参加する大名、武将も大勢である。史実に基づく設定でシナリオは進むのだが、行動次第では史実と異なる展開になるのだ。


負ければ、シナリオモードよりも厳しいルールまであった。それは、おいおい語ることにして、俺としてはこの関ヶ原、シナリオモードでは、はっきりいってやりたくないシナリオだ。戦いが始まれば、西軍は極めて不利でいくら名軍師の俺でも、これを勝ち抜く自信はない。シナリオ自体に欠陥があるのだ。


 忠実に再現しすぎて途中から裏切りが発生し、必ず西軍が負けることになっているとネットでは評判であった。キャンペーンモードに至っても観戦したり、参加者の評判をネットで検索したが、西軍、石田三成側が勝ったケースはほぼないというのが結論であった。


また、俺自身、キャンペーンモードは長時間拘束されるので、最近はまったくやっていなかった。


(はいはい…交渉お終い…とっとと対戦して死んでください)


そう思った時、画面の石田みなりのステータス画面を見て俺は固まった。


(総石高数4万石…こいつ…自分の持ち高の半分ちかく、俺にくれるというのか?)


俺の他にも召し抱えるものはいるから、この石田みなりって奴、俺よりも自分の石高が少ないはずだ。ゲーム上、ありえない条件である。


「あの…これがわたしの精一杯の条件。あなたが仲間になってくれないと、わたしどうしたらいいか…そう…こんなこと書くのは恥ずかしいけれど…成功の暁には、もし、お望みなら、わたしを1日好きにしていい」


俺はパソコン画面を見て固まった。


ヒロイン究極のお言葉。「私を1日好きにしていい」言われたらどうします?

速攻押し倒しですか?いや、やりたくてもそれがなかなかできないのです。リアルもお話でも。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ