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怖気づいて逃げたら許さないんだからね!(四)

完膚無きまでにやられた主人公。自信をなくして下宿に引きこもり。意気地がない奴。でも、お約束のようにアノ娘がやってくる!嵐が来る予感。

 俺のパソコン画面にゲームオーバーの字がパソコンのモニターに大きく映し出された。俺は放心状態で座ったままであった。


「大介、大介…ちょっと、聞いてる?」


美鳴が何かしゃべっているが、遠くの方で叫んでいるような感覚であった。俺は緩慢にゴーグルを外した。


(シナリオモードだから、やり直しが効くとはいえ…また、奴に負けた。しかも、舞さんも雪之ちゃんも吉乃ちゃんも…目の前で倒されて主君の美鳴も助けることができなかった。

素人の女の子を守れないで、何が名軍師だ)


俺は黙って部室を出た。


 それから3日間…俺は下宿に引きこもった。大学も行かず、ネットも開かず、ひたすら布団に包まって寝た。だが、目をつむって意識を失うとあの「本」の旗が見えて、慌てて目が覚める。覚めると汗びっしょりであった。時より、携帯が鳴ったが、たぶん、美鳴の奴だと思い、電源を切った。負けた自分に対する嫌悪感で何もする気が起こらない。


いったい、どれだけ立ったのであろうか…。俺は腹部に圧迫感を感じて目を開けた。


「うおーっ!」


思わず叫ぶ。なにしろ、目の前によく知っている人物の顔のアップがあったのだ。


「と…突然、叫ぶなんてレディに対して失礼じゃないかしら!」


石田美鳴である。


「お、お前、どうしてここに!」


「どうしてって、私に言わせる気?3日も部活をさぼって、いや、大学もさぼるなんて。しかも、主君たるこの私の呼び出しにも応じないなんて!昔なら切腹だわ」


「いや、なんでお前がここにいるんだ!」


美鳴の奴、どうやって俺の下宿に入ったのか?そもそも、俺の下宿先の住所を知っているはずがない。金持ちでない俺は、大学から2駅離れた古い木造アパートの一室に住んでいる。親しい友人以外、知っている奴はいないはずだ。


「ふん、だから、ここを聞き出すのに苦労したわ。あなた友達、少ないでしょ?」


(お前に言われたくないわ!)


と心で叫ぶ俺。どうやら、美鳴の奴、俺の大学に乗り込んで、数少ない男友達を探し出して聞いたに違いない。こんな美少女に尋ねられて、しゃべらない殊勝な友は思い当たらなかった。たぶん、鼻の下を伸ばして教えたに違いない。


「それにしても、ボロいわね。こんなボロくて狭い部屋、私、見たことがないわ」


(はいはい…お嬢様にはめずらしいです。はい)



 そう美鳴を見ると、スカートで俺にまたがっているのに気づいた。少し、パンツがちらりと見える。


(おいおい、水玉かよ…というより、なんて無防備な奴!)


若干、ラッキースケベ的な要素も相手が美鳴じゃあ、立つモノもたたん…と思ったが、美鳴のお尻の感触で頭よりも先に下半身の方がむくむくと反応してくる。


(ヤバ…)


美鳴の奴、お尻でポンポンしたり、すりすりして時折、くねくねと動かして俺の鉄の守りを軽く溶かしていく。


(こ…こいつ!わざとやってるんじゃないだろうなあ…)


と思ったが、やはり、こいつは天然のネンネであった。俺の硬い部分に気がついて、急に顔が真っ赤になる。


「だ…大介…、ちょっと、何?これ?信じられない~。スケベ、変態!」


と枕をぶつける。


「だ、ちょっと、やめろ!美鳴、これは男の性って奴で…」


だいたい、美鳴のような可愛い美少女にこんな行為をされて変化が起こらない男子がいるわけがない。即、押し倒されなかっただけマシというものだ。


(押し倒さない、俺は草食ってわけか?いや、これがあの正真正銘の清楚な吉乃ちゃんだったら、俺の心の狼は全開したに違いない)


「まったく、もう。心配して来てみればいじけているし…」

「いじけているって…」


 俺は考えた。確かに、ゲームに負けて俺は下宿に引きこもっている。悔しいからこんな態度を取ったのか?否、自信を無くしてゲームから逃げたのだ。もう美鳴たちに役に立てない自分が嫌になったのだ。あの本田忠勝には勝てない。


「あの戦いはいくらあなたでも勝てなかったわ。兵力が違いすぎる」


美鳴の奴…俺を慰めようとしている。大体、元はといえば、こいつがのこのこ戦場に戻ってこなければ、俺も吉乃ちゃんもあの戦場から逃れることができたのだ。だが、そんなことで美鳴を咎めるのは、心違いだ。たった5分ももたなかったのは、俺のせいだ。それなのにこいつは、俺を慰めようと…。


(くそ!)


そう思ったが、どうにもやる気が湧いてこない。関ヶ原では徳川方と戦うのだ。もしかしたら、あの金帯の本田忠勝プレーヤーが参加しているかもしれない。そうなれば、どんな有利な状況を作っても俺は負けるような気になってきた。


「とにかく、帰ってくれ!今はそんな気分じゃないんだ」


「何よ!大介の弱虫!島左近の名がすたるわ!ちょっと負けたくらいで心が折れるなんて、幻滅だわ。せっかく、主君が訪ねてきたのに。もう、バカ!」


美鳴はベッドから降りると、プンプン怒ってドアを蹴って開けると出て行った。ドアのドアノブが壊れてぶら下がっている。


(あいつ、入ってくるときにドアノブ壊しやがったな!)


木造の古アパートのドアノブだ。壊すのは美鳴のような女の子でもやろうと思えばできるだろうが…


(普通、やろうとするか?)である。


男の部屋に無防備な女の子が一人でやってきた!これくらいのラッキースケベぐらいはあるでしょう。パンチラだけですが。

ちらっと出して勝手に怒って帰る。気ままな美鳴ちゃんです。

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