第2次関ヶ原の決戦~愛が勝つに決まってます~(参)
加藤清正VS立花瑠璃千代の戦い!瑠璃千代は立花誾千代キャラを扱っているヒロインの一人で誾千代は勇将立花宗茂の妻なのです。この戦い、夢の対決ではあります。
「敵は強い。上杉に伊達とは、どんな反則技だ。ふふふ…だが、奴らには致命的な欠陥がある。奴らを撃滅し、敵の大将、石田美鳴を討ち取って戦いを終えてやる!」
東宮院是清は、自軍の徳川勢(本多忠勝、井伊直政、徳川家康直属軍)3万8千を同時に操り、上杉、伊達連合軍と戦っている。「戦国ばとる2」はネット対戦ゲームで仲間と連携して戦うことが前提だから、一人のプレーヤーが使えるキャラは一人で、兵数の多少はあるものの指揮できるのも1軍だけである。だが、東宮院はそれを同時に3軍動かせるのだ。それは瞬時に動かせる能力さえあれば、同じ思考で動かせる軍が3倍になるわけで、友軍3軍と連携する部隊よりもはるかに効率よく、そして早く軍を展開させることができた。
そして、さらに東宮院は上杉・伊達連合軍の弱点をついた。それは、上杉勢の中にいる直江愛ちゃんへの攻撃である。直江勢目がけて、集中攻撃をかける。当然、それをさせまいと上杉景勝も伊達政宗を動く。用兵巧者の2名も女を守るために無理を承知で軍を動かすから、東宮院の思うツボになる。
「もらった!一気に突き崩すぞ!」
東宮院是清は、軍配を掲げ、ここぞとばかりに命令を下した!
「上杉、伊達連合軍が崩れていきます!本多勢、井伊勢が半包囲体制を取りながら、両軍の戦力を削ぎ落としていきます!」
伝令の報告を聞いて、本陣は戦慄する。
「大介、雪之の部隊を投入するべきだわ」
「僕も舞さんに賛成です」
狩野舞さんと蒲生聡がそう進言する。
「左近、どうすればいいの?」
美鳴は俺に判断を仰ぐ。確かに上杉・伊達連合軍の背後、この本陣の前にもう一枚、増援部隊として真田雪之ちゃんの信州・甲州の部隊が控えている。その数8千。西軍にとって最大の予備軍で最後の切り札でもある。
だが、俺は顔を横に振った。
(まだ早い…奴を罠にはめるためには、あと少しだけ待つ。もう少しだけ、もってくれ!)
俺は上杉・伊達の健闘を祈った。あと20分、いや、15分戦線を維持してくれ!とゲーム画面を確認する。北部方面の立花瑠璃千代と加藤清正の激闘の状況を見た。
史実で西軍の敗因の一つに九州の勇将、立花宗茂の関ヶ原の参戦が間に合わなかったことが挙げられている。さらに島津維新入道がわずか1千5百しか手兵がいなかったこともだ。それだけ、この時の九州兵の強さが際立ったということだ。軍というのは、常に戦闘で鍛えられている必要がある。秀吉の晩年の朝鮮出兵で疲弊したとは言え、主力となった九州の諸大名の軍勢は最も強兵であったと思われる。現に関ヶ原で大敗を喫した西軍の中で島津勢は前へ退却するという戦史に残る退却戦を行い、見事に維新入道を帰国させている。家康が加藤清正を恐れ、関ヶ原に参戦させなかったのももし、彼が西軍についたら兵力以上の強敵となると考えたに違いない。東海道に展開する豊臣恩顧の大名の軍勢や20年も戦乱から離れていた自軍の徳川勢では、太刀打ちできないと考えたのは正しい。
さて、その強兵同士の戦いはどうなったか…。
前田勢を蹴散らし、追撃中の立花、織田、宇喜多の連合軍であったが、すぐ異変に気付く。倒れていた兵士がむくりと動きだし、左右の小さな森から「南無阿弥法蓮華経」と書かれた旗が現れ、強大な帝釈栗毛の馬に乗った武者が現れた。
立花瑠璃千代はその武者を見た。予想通りの展開だ。
「長烏帽子形兜に熊毛と片肌出しの具足。恐ろしげな出で立ちで、片鎌槍といえば、加藤清正殿だな」
「ふふふ。女ながら、我の姿を見て驚かぬとは、さすがは立花瑠璃千代」
「やはり、短時間でけりを付ける気ですか?」
「勝てぬ戦いではないが、このような大会戦で大軍。お主のような名将相手では、時間がかかるのでな。一騎打ちでお主を討ち果たせば、あっという間だからな」
そう言うと、清正は手にした片鎌槍をブンブンと振り回した。元は十文字三日月槍であったが、朝鮮の役で虎と戦って片方が折れてしまったが、そのまま、使っているという曰くつきの武器であった。
「瑠璃千代さん。あんな大男に勝てるのですか?」
一緒にいた織田麻里が心配そうに尋ねる。彼女が心配するのも無理はない。いくら、武道の達人で引き締まった体をしている(胸はでかいが…)瑠璃千代とはいえ、とても勝てそうには思えない。だが、瑠璃千代は(ふっ)と笑みを浮かべた。
「私はこの時を待っていたのです!罠にかかったのは、アイツの方。加藤清正、ここで討ち取ってやります!」
そう言うと槍を構えて清正に襲いかかる。渾身の一撃だったが、清正の片鎌槍にいとも簡単にはじかれる。
「女人にしては素晴らしい攻撃であった。だが、所詮は女。体重が軽いだけに攻撃に重厚感がない。我には通じぬ!」
そう言って返す攻撃を間一髪で避け、続く攻撃をバク転で何とか逃れる瑠璃千代。かろうじて交わしたが、衝撃だけでヒットポイントが削られる。
「ハンディキャップを与えたいところだが、そこにいる織田中納言もひ弱なキャラでしかも女ときている。助ける者もいないのが残念だな」
「あら、ハンディをくれるというのなら、遠慮なくいただきたいですわ。こちらは複数でも問題ないということですわよね」
「はっははは…何人でかかってこようとこの清正の槍のサビにしてくれるわ!」
清正の体の周りから青いオーラが出始め、それが緑、赤と変わり始めた。次の攻撃に集中力を高めているのだ。次に最大最強の攻撃が来ることは間違いがない。
加藤清正は朝鮮の役で立花宗茂に命を救われているので、史実では九州に逃げ帰った宗茂を説得して開城させて命を救うのに尽力したとのことです。だから、この二人が戦場であいまみえ、死力を尽くす戦いをすることはきっとなかったでしょうね。




