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王子様は危機一髪の時に現れるのよ!(五)

ついに主人公が登場!見事にヒロインを救い出します。細川ルシアや藤堂さんの裏切りもあって、見事に成功するのですが・・・。

だが、この瞬間を待っていた人物がいた!


「よく言った美鳴!諦めないお前に奇跡を起こしてやる!」


 聞きなれた声に美鳴は、声のした方向を見た。そこには心が張り裂けそうになるくらい、今、会いたい男の姿があった。そう、この俺、島大介だ。


「だ、大介!」

「白馬の王子様の登場だ!」


 俺は刀を抜いた。美鳴の檻を護送する足軽を切り飛ばす。だが、護送する部隊は300人はいる。当然、俺ひとりでは勝てるはずもない。


「島左近、ここで死ぬ気か?いくらお前でもこれだけの数、相手はできまい」

「ふふふ。そう思うかな?」


 俺は指を鳴らした。これまで綿密に計画していた美鳴救出作戦の発動である。観客に紛れ込んでいた西軍の足軽隊である。実は東軍の細川隊に紛れ込んでこの京に少しずつ移動し、今回のこの地点で藤堂魅斗蘭の部隊に紛れ込んで、一斉に仕掛ける作戦であった。その数80。敵は300と言っても前後に長く、美鳴たちを護送する中央付近は100足らず。しかも左右から挟撃されては勝ち目がない。観客のパニックで大混乱し、前後の部隊も何が起きているか把握できない。


大チャンスである。俺は隊長を一刀の元にロストさせると、美鳴の入った檻をぶち壊す。

そして、美鳴の手を掴んで引き寄せる。


「美鳴、待たせた。もう二度と俺の下から離れるな!」


 ギュッと抱きしめる。しばらくぶりの感触だ。美鳴もそれに応えるかのように俺にしがみつく。


「ごめんなさい、大介」

「ゲームでは島左近だ。わが姫。あそこで親友の元に行くからこそ、お前なんだ。そんなお前が俺はたまらなく好きなんだ」


「左近、わたしもそんなあなたが大好きよ」

「素直になったじゃないか、わが姫は」

「バカ!」


 軽く俺の胸を叩く美鳴。こういうデレも悪くない。後方を見ると雪見ちゃんの檻も安国寺先生の檻も自軍が確保している。


「先生~、無事でしたか?」


 長束英美里ちゃんが、彼氏?の長谷家部守人を伴って安国寺恵弁護士に駆け寄る。敵兵は一騎打ち能力の高い長谷家部の奴が蹴散らしているから、英美里ちゃんは、安心して恵さんを救出する。


「英美里ちゃん!遅いわ。でも、これから始めるあの男への復讐ができるから勘弁してあげるわ!」


 恵は敢えてこのゲームに参加して、自分のキャラの結末を見届けようと思っていたが、最後の最後に劇的な救出劇に思わず笑顔が戻った。何となく、こうなることが予想できたのは、美鳴を守るあの青年に対する信頼感であったが、自分の女の勘がさえたことを感謝した。


(さあ、これから反撃だわ)


 小西雪見は、自分を捕らえていた檻が壊され、後輩の藤堂魅斗蘭が手を差し伸べても無反応であった。だが、懐かしい声と共に差し出された手にその人物を見た。


その人物。


もちろん、俺。島左近だ。


 俺は美鳴の手を引いて、雪見ちゃんのところに移動した。彼女とはゲームの中で関ヶ原の決戦前夜に別れたきりだ。美鳴のことで、気まずい別れ方であったが、そんなことは構わない。俺は美鳴のことが好きだが、雪見ちゃんのこともほっとけないのだ。


「雪見ちゃん、助けに来たよ」

「だ、大介くん!」

「そんなところでしょぼくれてちゃ、君の魅力は半減だよ」

「そんな、私なんか助けるに値しないよ。関ヶ原でも消極的であなたに迷惑をかけたわ。それにあなたには…美鳴さんが…」


俺は後ろに下がる雪見ちゃんをグイっと引き寄せる。


「俺にとっては美鳴も大事だけど、雪見ちゃんも大切だ!俺の大事な彼女だ!」


 傍から見たら、堂々の二股交際宣言だが、岐阜城へ帰れば、さらに二人が加わるからこの際、1人に増えても問題はない?実は「彼女」でなくて「友達」というべきであったが、この場合、勢い余って出た間違った単語が幸いであった。


「彼女?大介くん!私、間違ってた。あなたが美鳴さんを選んでも、私があなたを好きなことは変わりないわ!ごめんなさい。私はあなたについていくわ!」


 通常、美鳴の目が三角になるところだが、俺のあまりにかっこ良さにボーッとなっているのか、いつものツッコミがない。さすが俺!と自画自賛したいところだが、実はただ単に美鳴の奴が会見場にいくのでログアウトしただけであった。俺は本人の意識がない美鳴キャラと雪見ちゃんの手を引いて、救出

劇第2幕へと進む。


 行列が襲われたと聞いて、慌てて追撃軍を派遣する東宮院の徳川軍であったが、肝心の是清がゲームに参加してないので有効な手立てが取れない。京にいる主力部隊3千が動き始めた時には、俺たちは大阪湾へと続く道を藤堂魅斗蘭の二百の兵に守られて爆進していた。


 途中には、細川ルシア珠希が指揮する二千の細川勢が待機しており、京より追撃してくる3千の兵を散々に打ち破る。そして、大阪湾に出るそこに待機していたのは、九鬼嘉隆が率いる西軍の水軍部隊であった。細川、藤堂の部隊を収容すると一路、西進する上杉、伊達の部隊がいる三河の地へと去った。後に東宮院是清がゲームでのこの大事件を知り、ログインして事態の収拾を図ろうとしたが、西軍の敗将3人と裏切った細川ルシア、藤堂魅斗蘭、そして首謀者の島左近は消え去り、東に反徳川連合軍が再び関ヶ原に集結するのを知るのであった。

さあ、ゲームでも救ったから、次はリアルでしょう。このお話はついに最終章へ突入します。東宮院の奴に正義の鉄拳を!

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