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裏切りの代償は高くつくのよ!(参)

美鳴ちゃん(ヒロイン)は、命の危険にさらされている親友(小谷吉乃ちゃん)の元に。当然、そこには宿敵の東宮院是清が待ち受けていました。ああ…。これで、ジ・エンド・・・バットエンドなのか?


「吉乃!目を開けて!わたしよ、石田美鳴よ!」 


 美鳴は小谷吉乃の病室にいた。吉乃は関ヶ原の戦いのゲームで討ち死にした後、リアルでも体に無理をしたことがたたって、心臓発作を起こして緊急手術をすることになったのだ。それをメールで知った美鳴はいてもたってもいられず、この親友の入院する病院へ駆けつけたのである。病院には東宮院ファンド配下の黒服の男たちがいたが、


「わたしは逃げません。吉乃を見舞ったら、東宮院のところへ出頭します!」


と言ってここまで来たのであった。


 呼びかけが聞こえたのか、吉乃が薄らと目を開けた。


「美鳴…ダメじゃない…こんなところにいちゃ…」

「なに言ってるのよ。吉乃。親友の一大事に駆けつけない人間がいますか?」


吉乃は、美鳴の手をぎゅっと握った。


「私は大丈夫よ。手術だって耐えてみせます。だから、あなたも諦めちゃダメ。」

「吉乃…」

「最後まで勝利を信じるのです。だって、あなたには勝利を約束してくれる白馬の王子様がいるでしょう?」


吉乃は美鳴を励ますように苦しいのに笑顔を作った。


「信じるの…最後まで…最後の瞬間まで…」


 吉乃は目を閉じた。ベッドが手術室に運ばれていく。美鳴はそれに付き添い、手術室の前で別れた。


「最後の別れというわけもあるまいに」


美鳴は一番聞きたくない声を聞いた。憎き、東宮院是清の声だ。


「手術の成功率は50%という話だ。まあ、君は僕に感謝するべきだな。執刀医は世界最高峰の心臓手術の専門医を手配した。彼女の運がよければ生還できるだろう」


「東宮院…」

「無論、これは関ヶ原で小谷吉乃の奮戦ぶりに僕がいたく感心したことから出たことで、君に恩を売るつもりはない。彼女は50%の生還率だが、君はこれで0%だな」


パチリと指を鳴らすと黒服の男が美鳴を取り囲む。


「せっかく逃亡したのに、自分から出てくるとはまったくお嬢様だな。まだ、君の西軍は各地で君を信じて戦っているというのに周りの努力をすべて台無しにする愚かさだ」

「人に対する気持ちを愚かというなら、わたしは愚か者です。でも、そんな気持ちを理解できない、愛を知らないあなたにはそんなことを言う資格はないわ!」


「ほう!言いますね。その愛の力で僕を倒せるのですか?ゲームでは君は処刑でジ・エンド。現実でもストンデングループは僕のモノ。そして君も僕のモノだ」


「・・・・・・・・・」


「愛とか信頼とか、友情などというもので世の中が変わるというのは、幻想でしかない。お姫様にはそういうシビアな現実は理解できなかったようで」

「愛は尊いものよ。最後は愛が勝つのだから…」


美鳴は両手をギュッと握りしめた。


「ゲームの勝利もストンデングループも好きなようにするといいわ。でも、わたしと結婚するなんて愛を信じないあなたには意味がないんじゃない?」


「おやおや。ここへ来て駄々をこねるのですか?確かに僕は君を愛していない。好きでもない。そして、それは君も同様だ」


「なら、結婚する意味がないわ」

「意味はある。少なくとも君は一生愛とは無縁の生活を送ることになる。好きになった男と結ばれず、愛は君を幸せにしない。ふふふっ…はははは…。僕が鎖で縛り付けてやる。一生お飾り妻で僕のアクセサリーとして存在するのだ」


そう言って是清は美鳴の腰に手を回し、強引に抱き寄せた。


「おや?感じが変わりましたね。さては逃亡中にあの男と…。まあ、いいでしょう。結婚したらじっくり僕の色に染め直して差し上げます。それじゃ、さっさとゲームを終わらせましょう。明日から忙しくなりますよ。今日は彼女の手術が終わるまで病院に居させてあげます。もちろん、監視付きですが…。あと、ゲームの方の後始末もお願いしますよ。それが、君のために戦っている友人たちへの義務でもありますから」


「分かっているわ…」


 それは美鳴も分かっていた。東宮院に捕らわれた以上、けじめはつけるべきだ。そうすることで、友人たちを東宮院の陰謀から守ることにもつながるのだ。


(自分さえ犠牲になれば…)


美鳴の目から涙がとめどなく流れていく。


(ごめんなさい、みんな。ごめんなさい…大介…)


愛のない結婚することで、相手の愛を踏みにじる。なんてドSなんだ!是清の奴。

屈折した幼少期で、愛のない人生を送ってきた男の狂気か?この男に一生、縛られてしまうのか?

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