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裏切りの代償は高くつくのよ!(弐)

関ヶ原で敗れても岐阜城に立てこもって何とか戦線を維持している立花瑠璃千代(嫁)と、織田麻里さん(アイドル)。東国から進撃中の直江愛ちゃんたちと合流すれば、もう一度、関ヶ原で戦えるかもしれません。現在、オリジナル展開中!

東宮院(徳川家康)の野望を打ち砕け!

「瑠璃千代さん、今日も敵を撃破したようですね」


 岐阜城城主、織田麻里がそう瑠璃千代の労をねぎらった。関ヶ原の戦いの西軍敗北後、散り散りになった西軍をまとめ、なんとかこの岐阜城下に撤退させ、強力な防御陣を構築してこの状況を作ることができたのは、彼女のおかげであろう。


「東宮院の奴が本気を出せば、とても無理だわ。明日にも東軍の主力部隊が投入される気配もあるし」


瑠璃千代は、物見の報告で大津方面から、黒田メイサ、福島帆稀らの主力部隊が準備を終えて、東進するという情報をつかんでいた。


「となると、江戸攻略を終えた直江さんと真田さんの軍の到来を待つしかないわね」


 織田麻里が言う通り、東軍の本拠地である江戸城が上杉、伊達連合軍によって陥落したという報が入っていた。この軍に佐竹などの関東の西軍部隊が加わり、5万以上の大軍で西進しつつあった。


「だが、皮肉なことにこの大部隊が美濃に来るまでには、駿府城、掛川城、浜松城、岡崎城、清洲城…と東海道の東軍の城を攻め落とさなくてはいけない。時間が足りない」


 皮肉な…と瑠璃千代は言ったが、元々、これらの城は豊臣秀吉が徳川家康に備えて、豊臣恩顧で律儀な大名を配置したのだった。だが、史実ではこれら豊臣恩顧の大名はことごとく東軍に組みし、城も山内一豊の献策で家康に差し出されてしまい、なんの障害にもならなかった。


(関ヶ原の戦いでは、まったく活躍しなかったが、この功で山内一豊は土佐一国の大名に抜擢されることとなる。)


 ゲームでは、上杉・伊達連合軍は、これら東海道の城を一つ一つ葬っていかないといけないのだ。当然、それには時間がかかるし、このゲームでは時間制限もある。


(それに…西軍の実質的な総大将である石田三成が捕らえられれば、それでゲームはおしまい。いくら、私たちが善戦しても無駄になる)


 そう瑠璃千代は思った。織田麻里も同じようなことを考えているのであろう。2人とも沈黙してしまった。現に東宮院こと徳川家康は大阪城に入ってから、この岐阜城への攻撃に本腰を入れていない。そんな面倒なことをしなくても、石田美鳴を捕らえれば済むことだからだ。


「瑠璃千代様、おひい様。島左近様が岐阜城にお着きになられました」

「だ、旦那様が?」

「左近様が?」


 俺は疲れきった体にムチを打って、岐阜城本丸に参上した。今朝、岐阜へ移動してきた細川隊から密かに離れて、長良川を泳いで渡り、前線の長宗我部の陣へ逃げ込んだのだ。細川ルシア珠希が手を貸してくれたこともあっての脱出成功であった。


「旦那様~よくご無事でいらっしゃいました。瑠璃は心配で、心配で」


 そう言って瑠璃千代が俺に抱きついてくる。久々のぽにゅんとした感触に疲れが軽減される俺。


(ああ…なんとスケベなんだ俺は!)


「左近様、よく脱出しました。これで、私たちにも逆転の目が出てきましたわ。で、左近様。美鳴ちゃんはどこに?」


 そう尋ねる織田麻里さんの言葉に俺は現実に引き戻される。そう。石田三成こと石田美鳴はリアルでもゲーム内でもどこかに消えて行方不明なのだ。細川ルシアに匿われて、やっと脱出に希望が湧いてきたのに突然の失踪。俺には訳が分からなかったが、別れる前に肌を重ね合わせたことを考えれば、重大なことが彼女の身に起きたことは間違いない。


「美鳴とはぐれてしまった…というより、美鳴の奴がいなくなってしまったんだ」


俺はことに経緯を話す。(もちろん、美鳴と過ごした一夜は端折ったが)


「まずいわね」


そう織田麻里さんが口を開いた。


「彼女がゲーム上で東軍に捕まり、処刑されたらそれでゲームオーバーよ」

「それは分かっている」

「敵の勢力圏で姿を消したということは、捕まる可能性は相当高いわ。それにリアルでも追われているんでしょう?」


 瑠璃千代が不安げに俺の顔を見る。俺は美鳴のことで頭がいっぱいで返事ができない。


「いずれにしても、私たちは結果が決まるまで全力を尽くすしかないだろう」


織田麻里さんが、現在の戦況を示す画面を眺めながらそう言った。



美鳴ちゃん(ヒロイン)は何処へ行ってしまったのでしょうか?いよいよ、クライマックスに向けて爆進していきます。

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