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全力で戦う!それがわたしにできること(弐)

霧の中で戦いが開始されますが、南宮山の英美里ちゃんたちもそれぞれの思いがあるようで・・・。本当にこの人たち、役に立ってないなあ・・・。

「この霧はなんとかならないのか!」


 是清も桃配山の本陣で立ち往生していた。これでは軍が動かせない。一応、帆希が栄子の陣へ攻撃をかけたと言うことは彼女からの報告で確認したが、戦況は伝えてこない。


(伝えてこないということは、苦戦中なのかもしれない)


 是清は帆希を愛人にしているだけに性格をよく知っている。アイツは都合のよいことしか言わない性格だ。すぐさま、物見の部隊を前線に出す。そして、自分の左隣にそびえる南宮山を見上げる。


(99%大丈夫とは思うが…)


 是清自身、毛利屋の件はうまく欺いているので吉川のことが100%信用できないのであった。吉川専務があまりにチャンスな状況に気が変わって攻めかかってくる可能性もゼロではなかった。一応、抑えの部隊を配置してあるが、毛利の軍団は総勢3万余と大軍だけに予断は許さない。




ドンドンドーン…と西の方で音がする。たぶん、鉄砲の音だろう。私こと長束英美里は、南宮山の麓に陣を敷いている。一応、これも仕事のうちだから我慢しているけれど、状況的にさすがの私もまずいような気がしていた。ここに来てから戦闘らしきことは全くしていないし、どうも安国寺先生と吉川専務の仲がギクシャクして居心地が悪いのだ。しかも、最近、ちょっとうっとおしい人が私の陣にやってくるから、その相手でゲーム時間が終わってしまう。


「え・み・り・ちゃ~ん!」


(来た、来た、来やがったです!)


そのうっとおしい人って、長谷家部さん。彼、この地に来てから、


「左近ちゃんに振られた。左近ちゃんに裏切られた」


と、自分の彼女のことをブチブチ言って、しょうがないから、話を聞いてあげていたら、急に、


「もう左近ちゃんのことは忘れました!僕は新しい恋に生きます!」


と宣言しやがったのです。


「はいはい、じゃあ、自分の陣に戻りましょうね!」


と言ってあげたら、何故か毎日、私の陣へ遊びに来る。こちらも暇なので相手をしていたら、どうも彼の言う新しい恋の相手って、私のことらしい。マジ勘弁して!です。


「えみりちゃん、今度、映画見に行かない?それとも海へ行こうよ!」

「長谷家部さんは、学生さんで夏休みだからいいけど、私は仕事があるんです。夜は夜でこんなゲームに参加しないといけないし」

「そのゲームでいろいろ教えてあげたじゃん。そのお礼をしてくれてもいいんじゃない?」


 まったく、この男は恩着せがましい。確かに伏見城攻防戦の後、長谷家部さんの手ほどきで、私も安国寺先生も戦闘中の指揮の仕方は、なんとかできるようにはなってきたけどね。


「でも、長谷家部さん、私にモーションかけてていいんですか?彼女さんが怒りません?」

「もう左近ちゃんのことはいいんだ!」

「でも、話を聞く限り、なんだか誤解してるような気がしますよ」


 確かに長谷家部さんが当初話していた左近ちゃんの人間像から、実は男と同棲してましたとか、結婚してましたなどとは思えない。姓が同じなら兄妹という可能性の方が高い。そもそも、この長谷家部さんという人、悪い人じゃないけど、早とちりというか、妄想癖があるというか、冷静に物事を考えられないお人のよう。つまり、「筋肉バカ」という部類です。複数の女の子と器用に遊べなさそうなところは好感だし、スポーツ系男子で体ががっちりして男らしいところは私も好みだけど、あまりにデリカシーがない男です。


「でも、やっぱり、僕は思ったんだ。左近ちゃんは、超美人でちょっと普通の女の子って感じがしないんだよなあ。僕には高嶺の花というか、近寄りがたいというか…。それに比べて、えみりちゃんは、普通というか、立場的に僕と合っている感じがするだよな」



(おお!鈍い長谷家部君も左近ちゃんがただの女の子(男)じゃないことを感じたのか!)

・・・主人公の突っ込み


(それって、なんだか失礼しちゃう!つまり、私は平凡だからってことでしょ!)


 いくら本当でもズバリ、言われるとちょっとムカつく。確かに、西軍に参加している美少女軍団に比べると、私の立ち位置は友人A的な背景に登場するモブ子であることは否定しないけれど。


「まあ、それは置いておいて、どうも戦いが始まったようよ。西の方が騒がしいから。あれは鉄砲の音でしょ?」


 南宮山の麓からでも、鉄砲らしき音とそれに続くときの声が聞こえた。戦いが始まったのは間違いない。


「僕の部隊の物見の報告はまだだけど、たぶん、始まっているね」

「じゃあ、私の陣地でこんな話している暇はなんじゃない?敵の徳川家康は、私たちの目の前にいるんでしょ?桃配山って、ここを駆け下った先にあるのでしょう?」

「ああ。兵力は3万。大部隊だ」

「安国寺先生も盛んに、駆け下りましょうって山頂の吉川専務に進言しているのだけど、一向に腰を上げないみたい」


「もしかすると、もしかだな」


 急に長谷家部さんが神妙な顔になる。こういう顔をするとつい忘れていたが、この人はアナスタシア大のエリート学生であることを思い出す。私より、よほど優秀なのだ。


「もしかしてって?」

「山頂の毛利軍団、東軍に寝返ったんじゃないか?」

「え?」


私は驚いた。(寝返ったってどういうこと?)


「安国寺弁護士とえみりちゃんは、知らないみたいだし、もし、そうなら僕も含めて大ピンチだよ」

「ど、どういうことですか?」

「つまり、山頂の毛利2万が攻めかかってくる。前面には東軍の1万がいるから、僕たちは全滅だな」

「ぜ、全滅って…。軽く言いますね」

「ゲーム上じゃキャラロストだけど、捕まると女の子キャラだと結構、辱めを受けるよ。みんな狼だからなあ」

「辱めって、ゲームの中だけでしょ?電源切ればそれで終わりでしょ」

「そりゃそうだけど、なんだかゲームキャラと同化しているから、気分は良くないでしょ」


(確かに、気分は良くない。電源切ってもネット上のゲームで自分のキャラが服ひっぱがされたり、犯されたり、処刑されるなんて絶対嫌だ)


「私たちだけで討って出るのは?西軍が有利なら、毛利だって動くでしょう?」

「前面には東軍の抑えとして1万がいるし、攻めかかると毛利も決断を早めちゃうかもしれないよ。今は動かないで様子を見るのが得策だよ。大丈夫、いざとなったら、えみりちゃんは僕が守るから」


 そう言われると、この長谷家部さんに頼らざるを得ない。私の軍勢がたったの1千5百しかいないのだから、仕方がない。安国寺先生の軍団を入れても3千だ。


(あ~ん、どうしよう?安国寺先生、なんとかしてくださいよ~)



戦国ばとる2は18禁ゲームではありませんが、キャラの服を引っ剥がすことぐらいはゲーム上でできるという噂あり。うおおお!それじゃあ、女性キャラはちょっとエロい展開になってしまいます。英美里ちゃんに安国寺先生、ちょっとやばいんじゃ!?西軍が負けたら、エロ展開に事欠かなくなる(笑)

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