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真田は強いアル!かかってこいアルよ!(弐)

真田雪之ちゃん、アナスタシア中等部1年生。でも、操るキャラは智将真田幸村。東宮院ファンドのおエラさん方相手に、上田城で奮戦します。いや、史実以上の大戦果を上げそうです。

「総務部長、何をしてる!馬鹿かお前は!」

「副社長、思うように軍勢が操れません、援軍をください」

「仕方がない、秘書室長!」

「はい。副社長」

「お前の軍勢2千で総務部長を救え」

「はい」


 秘書室長は徳川秀忠の旗本衆である。だから精鋭であった。それが風のごときスピードで前線に来る。雪之ちゃんは、それを察知するとすぐさま兵を引く。引き方が鮮やかであっという間に兵をまとめると上田城に消えたのだった。


「逃がすか!追え!追え!」


 援軍を得て勢いを盛り返した総務部長は、またしても兵種を整理しないまま、城下町に引き込まれるように進んでいく。秘書室長の旗本部隊も加えての大軍である。だが、2人は悪夢を見る。町が、家が、燃え始めたのだ。来た方向の道以外はすべてうず高く積まれた薪で移動できず、3方向から炎が迫る!


「うあああ…」

「熱い…これじゃあ、全滅するぞ!退却だ、退却!」


 だが、悪夢は続く。


 唯一の退路になんと50人が横並びに並んだ鉄砲隊が6段構えで布陣してたのだ。総勢300の鉄砲隊だ。座り撃ちする一列目、立ち撃ちする2列目の百発一斉射撃が行われ、それが入れ替わると同じく2擊目が行われる。これが連続で続くのだ。もはや、唯一の退路は処刑場と化した。焼かれて死ぬか、鉄砲で撃たれて死ぬかだ。


 この地獄絵図の中で援軍に来た秘書課長が戦死、総務部長も旗下の軍勢1万がことごとく溶けるように消失し、周りを守る兵はわずか500程度になってしまった。


 外様の仙谷秀久と真田信幸が兵を出して、この退路の鉄砲隊を追い払わなければ、総務部長以下全軍全滅となったであろう。


 徳川方の大敗北である。


 一命を救われた総務部長であったが、救ってくれた2人の外様プレーヤーに対して、


「遅い!なぜ、もっと早く助けにこなかった!このバカが!」


と怒鳴り散らす。二人とも是清に金で雇われた一般プレーヤーであったから、総務部長は完全に見下した態度であった。


「そんなこと言ってもなあ?」

「そうそう、俺たちもあっ気に取られちゃったですよ」


 二人ともクスクス笑っている。この偉そうなおっさんが、中1の女の子に軽くひねられて、顔もすすで真っ黒だったからだ。


「うるさい!バイトの分際で貴様ら…。クビだ、クビ!」

「おっさん、助けてやったのにそりゃないだろう!」

「そうだ、そうだ。あのままじゃ、おっさん、死んでたぜ」


そこへ副社長が割って入る。


「ケンカは止めろ!今は事態の収拾が先だ。総務部長、お前の失態がどれくらいか、分かっているのか?」

「ふ、副社長…」


「8千5百だ。この一戦で8千も失ったのだぞ!是清様から拝領した軍勢が!」


 この戦いが始まる当初は、華麗に勝利し、五代帝治郎翁に認められて、華やかに独立するつもりだった副社長であったが、この失態をどう取り繕うか頭がいっぱいになった。この小心者なところが、是清が裏切らないと踏んだ彼の性格であったのだが、結果的に完全に裏目に出るのであった。


「絶対に上田城は攻め落とす!そうじゃないと、社長からどんな仕打ちがあるか!」


副社長、徳川秀忠が自ら指揮して、上田城攻略に取り掛かる。


その準備を横目で見ながら、バイトの仙谷久秀と真田信幸は、2人でこそこそと相談していた。


「おい、何だか馬鹿らしくね?このグループ」

「俺もそう思う」

「金は前金で20万頂いているし」

「俺たち、20万分の働きはしたよな?」

「じゃあ、ふけるか?」

「ただフケただけじゃつまらん。どうだ、あの女の子の方に寝返るってのは?」


「おお…それいいかも。あのおっさん達、ムカつくからなあ。それに比べて、あの真田幸村ちゃん…かわええ…」

「東宮院ファンドの社員以外は、可愛い幸村ちゃんの方に付くのは賛成だろう。チャンスがあったら、寝返ろうぜ」


 東軍第2部隊で外様プレーヤー中心に裏切りの相談が密かに行われていた。


ムカつくおじさんより、可愛い女の子を助けたいと思うわな。金よりもやっぱり、こっちでしょう!という若者は多そうです。

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