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西軍が集結するまで岐阜城は死守するわ!(六)

 伏見城が短期で落ちたのも束の間。東軍が予想以上の早さで美濃に集結し、岐阜城めがけて進撃してきます。史実と違う展開になりつつあります。現役アイドル織田麻里さんが守る岐阜城を西軍は守ることができるか?

「麻里様、犬山城が落城しました!」


岐阜城にこもる織田麻里は、そう伝令から告げられる。


「で、敵の動きは?」

「この岐阜城に攻めかからんと準備しています」

「今日は時間がないけれど、明日には確実に来るわね?」

「御意」


 一応、ゲームの戦闘時間は夜七時から十時までとなっている。まもなく十時になろうとしているので、攻めかかてくることはないであろう。


 織田麻里は、城の守りを固めると共に、大垣城の石田美鳴の元に援軍を要請する使者を派遣する。実のところ、大垣城も兵力に余裕があるわけではない。この岐阜城にどれだけの援軍が送れるであろうか。東軍の先遣部隊には取り囲んで兵糧攻めなどの長期間に渡る攻撃はしてこないのは明白で、東軍本体が来るまでにこの岐阜城を攻め落とし、西軍の前線基地である大垣城を孤立させようという腹であろう。


 史実では、織田秀信は家臣の反対を押し切って籠城策を一蹴し、野戦を選択した。木曽川沿いの渡河ポイントに陣を敷いて戦ったが、所詮は多勢に無勢。破れて籠城することになる。火のように猛攻撃してくる東軍に押されてあっという間に開城せざる羽目になった。

 

織田麻里は、史実の秀信のように無謀な策を取らなかったとはいえ、自分が指揮する兵力は6千程度で、とても東軍の4万近い兵力の前では、死守できないと感じていた。



 大垣城では軍議が開かれている。と言っても、この城にいる諸将は石田美鳴(石田三成)に小西雪見(小西行長)、島津維新入道(伊集院教経)の3名しかいない。兵力は1万程度であった。


「このままでは岐阜城が危ないです」


美鳴が口火を切った。


「だが、この大垣城には兵力が少ない。打てる手はほとんどないぞ」


 維新入道は困った顔で思案する。自分の兵力もわずか800であるから、どうしようもない。美鳴のことが心配で、島津維新入道として参加してみたが、このキャラの関ヶ原で果たす役割は、非常に限られていることを改めて思わざるを得ない。


 小西雪見は雪見で、美鳴の主催する軍議には意欲が湧いてこない。先日の一件で、狩野舞と大介を巡る鞘当を繰り広げたが、よく考えてみれば、最大のライバルはこの2つ下の石田美鳴であることを薄々感じていたのだ。そんなライバルのために積極的になれない。


彼女のこのゲームに参加する理由の一点は、島大介との関係を深めたいだけであったのだから。


「発言することを許して頂ければ…」


俺は軍議に口を挟む。島左近としての俺の立場では、この大名級の軍議に口を出せないのであるが、主君である美鳴の許可を得れば可能であった。


「意見していいわ」

「姫、私を兵1500と共に、岐阜城へ援兵として派遣してください」

「そ、それは…ダメだわ」


 美鳴は俺の申し出を拒否する。その程度の兵では焼け石に水で、岐阜城に送れば自分に取って大事な家老を失ってしまう。戦略以上に美鳴にとっては心情的に許可できなかった。


「姫!この岐阜城攻防は、関ヶ原の戦いで重要です。史実のように初期の段階で失うことは西軍にとって敗因となりえます」


「だが、1500程度では支えられないだろう」


維新入道も口をはさむ。


だが、俺には勝算があった。


第一に東軍は短期決戦であること。

 しばらく支えて長期戦の様を感じれば必ず撤退することは間違いない。東軍の作戦は関ヶ原の決戦で西軍をまとめて葬ることが基本だ。時間のかかる城攻めはしない。


第二に西軍の主力の集結が近いこと

 3日もがんばれば、西軍の援軍が到着するはずだ。浮竹さん(宇喜多秀家)や吉乃ちゃん(大谷吉継)が来れば、形勢は逆転できる。


第三に俺自身に守れる策があったこと。

 この「戦国ばとる2」で名軍師と名高い俺には、この城を守る作戦を指揮する自信があった。織田麻里さんとその親衛隊もレベルが高く、経験もあるが俺ほどではない。つまり、兵力よりも俺がブレーンとして行くことが重要なのである。


第四に敵は大垣城を攻めてこないこと

 これは風魔の小太郎による情報であった。ハッキングでもしたのか、東宮院是清(徳川家康)から、黒田メイサ(黒田長政)に宛てた書状メールが手に入ったのだ。そこには、自分が到着するまで、石田美鳴には手を出すなという命令がなされていた。


これは、このゲームを始めた趣旨からいえば、当然であって、東宮院自らが美鳴に引導を渡したいのであろう。自分が美鳴の元を離れても大丈夫だと思われた。だからといって、大垣城の守りを手薄にすることも危険なので、裂ける兵力は1500が限界とみたのだ。


 俺はそう判断し、その上で出した策であった。美鳴はしばし考えた。そして決意したのか、軽くうなずいた。


「それでは、島左近!あなたに兵1500を与えます。岐阜城に救援に向かいなさい!」

「はっ!姫」


こうして史実にはない島左近の岐阜城救援部隊が向かうことになった。


美鳴ちゃんの元を離れて、岐阜城へ向かう主人公。現役アイドル様と共闘していくさ)をします。


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